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【データベース型サイト】のSEOで意識すべき3つのポイントと改善事例
SEOの中でも、データベース型サイトと記事型メディアではやるべき対策は大きく異なります。
データベース型サイトのSEOは、細かい仕様策定も多くなり地味な業務も多くなりますが、一つの施策で大きな成果を出すことも可能です。
本記事では、国内最大規模のHRサービスのインハウスSEO担当者として4年間に渡って、大規模データベース型サイトを中心にコンサルティングをしてきた私が下記を解説します。
- データベース型サイトとは?
- データベース型サイトのSEOで意識すべき点
- データベース型サイトのSEO改善の事例
記事の後半では、DB型サイトのSEO改善事例を解説しています。データベース型サイトのSEOに取り組む方に少しでも参考になれば幸いです。
LANYがデータベース型サイトのSEOに取り組む際のプロセスや具体的な施策イメージをおまとめしたデータベースSEOのメソッドをまとめた資料も作成しています。
下記のリンク先から無料でダウンロードできますので、ぜひお役立てくださいませ。
データベース型サイトとは?
まずは、データベース型サイトを定義させてください。
データベース型サイトとは「多くのデータを持ち、そのデータを元にページが自動で増えていくサイト」です。
具体的には、ECサイトや求人、不動産、グルメなどの情報掲載サイト、口コミ投稿サイトやQ&AサイトなどのUGCサイト(ユーザー投稿型サイト)などが挙げられます。
データベース型サイトの種類
データベース型サイトの種類で代表的なものは次のようなものです。
種類 | サイト |
---|---|
ECサイト | Amazon |
ECサイト | 楽天 |
求人サイト | Indeed |
求人サイト | タウンワーク |
不動産サイト | SUUMO |
不動産サイト | ホームズ |
グルメサイト | 食べログ |
グルメサイト | ホットペッパーグルメ |
CGMサイト | Quora |
CGMサイト |
データベース型サイトは、大量の情報が適切な粒度でまとめられているため、ユーザーが何か情報を探索する際に重宝されます。
調べたい条件で絞り込みながら情報を探せるため、欲しい情報にたどり着きやすい構造です。
データベース型サイトのサイト構造
データベース型サイトのサイト構造は、次のようなイメージになることが多いです。
「詳細ページ」と「詳細ページをまとめた一覧ページ(リストページ)」を大量に保有しながら、サイトを構成します。
どれくらい大量のページ(インデックス)を保有しているのかを、先程ご紹介した有名なデータベース型サイトの例をもとにまとめました。
サイト | インデックス数 |
---|---|
Amazon(co.jpドメイン) | 39,800,000 |
楽天(itemのサブドメインのみ) | 18,100,000 |
Indeed | 58,100,000 |
タウンワーク | 6,410,000 |
SUUMO | 8,350,000 |
ホームズ | 11,400,000 |
食べログ | 73,700,000 |
ホットペッパーグルメ | 10,200,000 |
Quora | 91,400,000 |
157,000,000 |
site:コマンドで簡易的に調査しているかつ、ドメイン全体で見ているわけではないので実態とは異なります。このくらい大量なページがあるんだと思ってもらうのが意図なのでご容赦ください。
数百万〜数億ページのインデックスがあることがわかってもらえたかと思います。
記事型メディアであればせいぜい100〜10万インデックス程度ですので、桁違いにページ数が多いことがわかるでしょう。
だからこそ、記事型メディアのように1ページ1ページを磨き込んでいくSEOは全く通用しません。
データベース型サイトは、サイト全体でのクロール・インデックスの最適化や内部リンクの戦略的設計、ページテンプレート単位での改善などのダイナミックな改善をしていく必要があります。
ここからはデータベース型サイトのSEOで意識していくべき点を紹介します。
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データベース型サイトのSEOで意識すべき点
データベース型サイトのSEOで意識すべき点を次の3つの点です。
要は、大量に保有するコンテンツをクロール・インデックスさせ、それぞれのページをきちんと取りたいクエリに反応させて、クエリとのテーママッチを高めて順位を上げていく流れです。
それぞれ簡単にご説明します。
データベース型サイトのSEOで意識すべき点を無料ダウンロードする>>
クロール・インデックスを最適化する
データベース型サイトでもっとも重要なのが「クロール・インデックスの最適化」です。
大規模なデータベース型サイトでは、クロール・インデックスの最適化の重要度がより増します。
Googleをはじめとする検索エンジンがページを検索結果に表示するまでのプロセスは下記です。
簡単に述べると、下記の流れです。
- URLをクロールキュー(クロール待ち列)に入れる
- 優先度の高いURLからクロールする
- 必要に応じてレンダリングキュー(レンダリング待ち列)に入れる
- 優先度の高いURLからレンダリングする
- URLをインデックスする
- URLをランキングする(≒ 検索結果に出る)
すべてのURLがクロールされるわけでもインデックスされるわけでもありません。
大量のURLがある場合には、検索エンジン側で優先度を適切に付けながらクロールをしていくため、優先度の低いURLはなかなかクロールされない事象が起こります。
大規模サイトのGoogleサーチコンソールのカバレッジレポートを確認すると、除外のURLが多いことがありますが、次のステータスになっていることが多いです。
- クロールキューに入っておりクロールの順番待ちをしているURL(検出 – インデックス未登録)
- クロールされたものの何らかの理由でインデックスされていないURL(クロール済み – インデックス未登録)
これらのステータスのURLを適切に対処し、インデックスさせていくことで流入獲得ページ数が増えたり、主要な一覧ページの順位が上がったりします。
具体的に、どのようにクロール待ちURLをクロールさせたり、クロールされたけどインデックスされていないページをインデックスさせたりしていくかは本記事では深く解説しません。
簡単にまとめると次のような打ち手が効きます。
- 不要なクロール導線を制御する(nofollowやrobots.txtでのdisallow施策、JSリンクへの変更)
- レコメンドリンクなどで被内部リンク数を増やす
- sitemap.xmlを最適化する
- データの出し方を工夫することでサイト内重複率を下げる(メインコンテンツ・サブコンテンツ)
- ページの表示速度を速める
要は、①インデックスする価値のあるページだときちんと認識させること、②適切なクロール導線を担保すること、③サイト全体のクロール効率を上げることが大切です。
より詳細に打ち手を考えていきたい方は、下記のGoogle公式ドキュメント「大規模なサイト所有者向けのクロール割り当て管理ガイド」なども参考にしてみてください。
どのようなURLであればきちんとクロール・インデックスされるかのヒントになると思います。
また、データベース型サイトを運用している方で「ページネーションの取り扱い」について困っている方は、下記記事も合わせてお読みください。
無料ホワイトペーパー「【LANY流】GSCインデックスレポート-よくある除外ステータスへの対応」はこちら>>
PLPを一致させる
PLP(Preferred Landing Page)とは「サイト運営者側でどのキーワードには、どのページを表示させたいというページ」になります。
たとえば、「新宿 バイト」のキーワードに対しては、新宿のアルバイトが一覧になっているページを表示したいはずですが、場合によっては何らかの理由で、新宿のカフェのアルバイト一覧ページが表示されてしまう場合があります。
PLPが一致していない場合には、次のようなデメリットがあります。
- 検索順位が上がりづらい(検索意図合致率が低くなるので)
- ユーザー行動が悪くなりがち(CVRが低くなる)
大量のページを保有するデータベース型サイトでは、PLPが不一致になる場合も多いので、適切にモニタリングすることを推奨します。
モニタリングとしては下記のイメージです。
キーワード | PLP | 順位 | ヒットページ | PLP一致 |
---|---|---|---|---|
バイト | example.com/バイト/ | 3 | example.com/バイト/ | ○ |
新宿 バイト | example.com/バイト/新宿/ | 6 | example.com/バイト/新宿/カフェ | × |
新宿 バイト カフェ | example.com/バイト/新宿/カフェ | 1 | example.com/バイト/新宿/カフェ | ○ |
新宿 バイト カフェ 未経験 | example.com/バイト/新宿/カフェ/未経験 | 3 | example.com/バイト/新宿/カフェ | × |
サイト運営者側で設定したPLPとヒットページが一致しているかを確認しながら「PLP一致率」を一つのKPIにするのもおすすめです。
PLPが一致してくることで、検索順位もCVRも上がるのでKPIとして設定するには優秀な指標になります。
PLPが不一致の場合の要因としては、主には次のどちらかです。
- PLPページがインデックスされていない
- PLPページの評価が低くカニバリが発生している
PLP不一致のキーワードがあれば、そもそもPLPがインデックスされているか、インデックスされている場合にはなぜ他のページの方が評価されているのかを深堀りましょう。
評価が低い場合にも個別ページで対策していくのではなく、ページテンプレート単位で対策していくことになると思いますので次の「ページテンプレートごとにテーママッチを改善する」の打ち手などが参考になるかと思います。
クエリとのテーママッチを高める
データベース型サイトは記事型サイトと異なり、ページ単位ではなく、ページテンプレート単位で改善をしていきます。
- データベース型サイト
-
ページテンプレート単位で改善する
- 記事型サイト
-
ページ単位で改善する
たとえば、求人サイトの例で言えば「新宿 バイト カフェ」のページの順位を上げたいと思えば、「エリア×職種」のページテンプレートに施策を打ちます。
エリア×職種のページテンプレートに施策を打つことで、「新宿 バイト カフェ」だけでなく「池袋 バイト カフェ」や「新宿 バイト 居酒屋」など大量のページが一気に改善されます。
ページテンプレートごとに改善する際に重要になるのが「クエリとのテーママッチ」です。
Googleが順位を決める流れとしては、検索クエリの意図解釈とページの目的理解をそれぞれ行い、もっともマッチしているページを検索結果に並べます。
よって、検索順位を上げるためには、各種ページテンプレートの目的(テーマ)をきちんとGoogleに伝えていく必要が出てきます。
データベース型サイトでクエリとのテーママッチを高めるためには、下記の2要素が重要になります。
ページテンプレート要素の改善
ページテンプレートの要素では、次の3点をそれぞれ改善しましょう。
- メタタグ要件(Title, meta descriptionなど)
- メインコンテンツ(一覧ページなら詳細カセットの内容など)
- サブコンテンツ(メインコンテンツ以外のリンクカセットやその他カセット)
ディレクトリマップなどを用いてページテンプレートごとにメタタグが最適化されていることやページテンプレートのワイヤーフレームを調査して、きちんとテーママッチした内容になっているかを分析しましょう。
サイト全体の要素の改善
サイト全体での要素としては、次の観点で施策を打ちましょう。
それぞれ簡単に解説します。
適切な内部リンクが集める
データベース型サイトでは、パンくずリストや検索パネル、各ページテンプレートのサブコンテンツとしての内部リンクカセットなどを用いて内部リンクをつなぎこみます。
PCサイトでもスマホサイトでも適切な形で内部リンクをつなぎ込んであげましょう。
下層ページを適切にインデックスさせきる
データベース型サイトでは「評価の高い下層ページが多くインデックスされることで、上層ページの評価が上がる」ことが多いです。
下層ページの種類は「一覧ページの深い階層の掛け合わせページ」(新宿 バイト > 新宿 バイト カフェ>新宿 バイト カフェ > 未経験、のような形)や「一覧ページの下に紐づいている詳細ページ」などです。
詳細ページは次の図がわかりやすいです(「ECサイトのSEO戦略 LANY SEOおたくさんYouTubeコラボ」のYouTubeにてこの辺りは詳しく解説しています)
一覧ページと詳細ページの繋ぎ込みを改善する
リストページ(一覧ページ)の評価をあげるためには、下層にある一覧ページや詳細ページを適切にインデックスさせ、それらの評価をあげていくことが重要です。
また、特に詳細ページと一覧ページの間の繋ぎ込みは重要で、意識すべき観点としては次のようなものがあります。
- 複数の一覧ページに紐づいている詳細ページをどこにリンクで繋ぎ込むか
- 詳細ページが一覧ページの対策キーワードと関連していることをどのように伝えるか
前者は具体例としては、とある求人ページがあった際に、その求人は新宿のカフェ一覧でも表出しますし、おそらく近隣エリアの代々木や渋谷などにも表示される可能性があります。
その際に、どのエリアに内部リンクを紐づけるのかは優先度マスタなどを用いて決めておく必要があるでしょう。
この辺りは非常に細かくサイトの表側に出てこない部分なので地味な業務になりますが、データベース型サイトのSEOに取り組む上では肝になってきたりもするので丁寧にやることをおすすめします。
また「詳細ページが一覧ページの対策キーワードと関連していることをどのように伝えるか」については、詳細ページのメタタグに上層の一覧ページの対策キーワードを入れてあげるなどのテクニカル面の施策が効いたりします。
この辺りは、具体的な施策というよりかは、観点を抑え、運営するデータベース型サイトの特性に合わせて施策を立案していけるとより成果につながるでしょう。
データベース型サイトのSEO担当者でトラフィックが伸びないと悩んでいる方は、下記の記事も合わせて参考にしてください。
データベース型サイトのSEO改善事例
LANYが実際にコンサルティングに入ったデータベース型サイトで大きく改善できた事例をピックアップして紹介します。
1. 専門求人サイト
建築業界の求人を紹介するデータベース型サイトに半年間のプロジェクトで入った際の事例です。
当初、主要ページがインデックスされ切れていなかったり、ページテンプレートごとのテーママッチ度が低い課題がありました。
そこでLANYでは、次の3点を実施。
- ディレクトリ構造(URL構造)の大規模な整理を実施
- 徹底的なクロールコントロール
- 主要ページの検索順位上昇施策
その結果として、セッション数が199%改善、平均検索順位も20位上昇するなどの成果を出すことができました。
より具体的な改善内容については、次の事例記事にて紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
2. お土産情報データベース型サイト
日本中のお土産情報をまとめたデータベース型サイトにて、クロール・インデックスのコントロールを行った結果、セッション数が300%改善しました。
主には、下記の3点を実行しました。
- 低品質コンテンツのクロール制御
- sitemap.xmlの最適化
- 内部リンク導線の改善
データベース型サイトでは、クロール制御によって大きく成果が出ることも多いです。
詳しくは下記の事例記事にて解説していますので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。
3.学習塾のデータベース型サイト
学習塾を紹介するデータベース型サイトを支援し、インデックス数・CV数増加につながった事例です。
競合サイトが伸びているなか、自社が抱える課題が数多くあるものの、施策に優先順位をつけるのに苦戦していました。
そこでLANYのSEOコンサルティングを通して、次の3点を実施しました。
- 初期から中長期にかけての施策を計画
- サイトマップの見直し
- インデックスコントロールをはじめとするベースSEOの徹底
より具体的な改善内容については、次の事例記事にて紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
4.新卒就活生向け求人サイト
新卒就活生向け求人情報を紹介するデータベース型サイトを支援した事例です。
基礎的な施策は実行できていたものの、インパクトある改善には至らなかったそうです。とくにインデックスされにくい課題がありました。
そこでLANYでは、次の2点を実施しました。
- 不要なページへの内部リンクの設定を変更
- robots.txtの見直し
結果として、インデックス数は約119%、クロール済みインデックス未登録数は約420%と大幅な改善を実現しています。
より具体的な改善内容については、次の事例記事にて紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
データベース型サイトのSEOは、テクニカルな要素も多く、少し難易度は高くなります。
その分、施策の効果が出た時のインパクトは記事型メディアと比べても非常に大きく、その面ではやりがいになるでしょう。
- クロール・インデックスを最適化する
- PLPを一致させる
- クエリとのテーママッチを高める
本記事でご紹介したデータベース型サイトのSEOで意識すべき点が、少しでも運営サイトのSEO改善にとって参考になれば幸いです。
また、データベース型サイトのSEOをする上で重要になる内容を下記のお役立ち資料(無料)にもおまとめしていますので、ぜひご興味のある方はダウンロードしてみてください。
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【無料お役立ち資料】
データベース型サイトで
意識すべき点と施策
- データベース型サイトとは?
- データベース型サイトで意識すべき3つの点
- データベース型サイトの具体施策5選