SEOに取り組んでいると、「トピッククラスター」という言葉をよく耳にしませんか?
トピッククラスターモデルとは、サイト構造を整える手法の一つで、2017年あたりから少しずつSEO界隈で認知されてきています。
最近では多くのブロガーやメディア運営者が用いるようになってきており、人気のSEO手法の一つです。
とはいえ、
- トピッククラスターモデルってなに?
- トピッククラスターモデルのなにが良いの?
- トピッククラスターモデルを作るにはどうしたらいいの?
など、多くの疑問が存在するでしょう。
そこでこの記事では、トピッククラスターモデルを徹底解説して、上記の疑問を解決していきます。
専門的な話も多くなっていますが、初心者の方でもわかりやすいように噛み砕きつつ、具体例や事例を用いて丁寧に解説していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
本記事の内容は下記のYouTube動画でも解説しています。実際にトピッククラスターを作る上で必要になるツールの使い方や具体的イメージなども画面収録をしながら解説していますので、ぜひ合わせてご視聴してみてください。
トピッククラスターモデルとは?
トピッククラスターとは、コンテンツを戦略的にまとめることによって、コンテンツ群や一つ一つのコンテンツのSEO評価を高める戦略です。
適切にトピッククラスターを作ることで、ユーザーにとってわかりやすいサイト構造になるだけではなく、検索エンジンにとっても読み解きやすく、評価しやすい構造になります。
適切な構造に整えることで、コンテンツ間で関連度の高いリンクジュースが渡し合えたり、内部リンクで記事同士の関係性や親子関係が検索エンジンに伝わりやすくなります。
そうすることで、コンテンツの順位が上がりやすくなるだけではなく、キーワードカニバリゼーションを防ぐことにもつながり、メディア運営をしていく上では欠かせない戦略となるでしょう。
記事が多くなってくるとどうしても内部リンク構造が煩雑になったり、関連度の薄い記事同士でのリンクが張り巡らされてしまったりと、徐々にユーザーにとっても検索エンジンにとっても理解しづらいサイト構造になっていきがちです。
そんな時に、サイト運営者がトピッククラスターモデルの概念を理解してサイト設計に活かせるようになっていると、無駄なくSEO的に強くなりやすいサイトに育てていくことができるでしょう。
SEO対策について網羅的に解説した記事内でも、内部リンクの重要性と内部リンク構造を構築する上でトピッククラスターモデルがいかに優れいているのかも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

ここからは具体的に、トピッククラスターモデルがどのような構造なのかを解説していきます。
トピッククラスターの具体的なイメージ

トピッククラスターの具体的なイメージは、上記の図のような構造です。
トピッククラスターモデルを作る上で、必要になる概念それぞれ簡単に整理します。
- ピラーページ(まとめ記事)
- クラスターコンテンツ(個別記事)
- 内部リンク
この後一つ一つを丁寧に解説するものの、ものすごく簡潔に述べると、ピラーページとクラスターコンテンツを特定のルールに従って内部リンクを張り巡らせる、そのまとまり全体でSEO順位を上げていく手法です。
それぞれの要素を一つずつ解説します。
ピラーページ
ピラーページとは、まとめページのことを指します。
トピッククラスター内で、中心となるページのことで、扱っているトピックを包括的にまとめたページです。
言語には、親子関係があることがほとんどで、例えばトピックが「SEO」だとしたら、その親キーワードは「SEO」で、子キーワードは「被リンク」「コンテンツマーケティング」「E-A-T」「クロールバジェット」などになります。
「SEO」と検索する人の意図は様々で、「SEOとはそもそも何か?」が知りたい人もいれば、「SEO対策の具体的な方法を知りたい人」もいれば、「どこかのSEO会社にコンサルティングを依頼したい人」もいるでしょう。
このように、SEOというキーワードで検索する多数の人の検索意図を満たすためには、より包括的なコンテンツが必要になるのです。
後ほど解説しますが、親キーワードに当たるような概念を持つキーワードは検索意図が多岐にわたるため、1ページですべての検索意図を満たすことは現実的ではありません。
だからこそ、Googleも「記事群として検索意図を満たすことができているか?」を評価対象にしていると考えられます。
とりあえず、ここでは「ピラーページとは、特定のトピックに対して包括的にまとめた記事のことである」と理解しておきましょう。
クラスターコンテンツ(個別記事)
クラスターコンテンツは、ピラーページを下支えする各個別コンテンツのことを指します。
ピラーページで扱っている包括的なトピックの詳細を一つ一つ掘り下げたコンテンツのようなイメージです。
先ほどの「SEO」のトピックの例なら、「被リンク」や「クロールバジェット」などの個別具体テーマを扱うコンテンツになります。
クラスターコンテンツをテーマごとにどの程度切り分けるかはとても重要で、適当に考えてしまうとカニバリを発生させる原因にもなります。
SEOツール等を用いて、適切なクラスターコンテンツを丁寧に選定していきましょう。

内部リンク
トピッククラスターを構成していく際に、もっとも頭を悩ませるのが内部リンクの張り巡らせ方です。
基本概念としては、ピラーページを「主」、クラスターコンテンツを「従」とした形で内部リンクを張り巡らせます。
より簡単に述べると、クラスターコンテンツからピラーページに向けて内部リンクを集約していくイメージです。
後ほど、トピッククラスターの作り方の箇所で作成時に意識すべきことをご紹介しますので、参考にしてみてください。
トピッククラスターモデルのSEO的メリット
トピッククラスターモデルの何が優れているのかを、SEO的な観点でご説明します。
少し専門的な内容になるため、初心者の方は無理に理解しようとしなくても大丈夫です。
そういうカラクリがあるのか程度に思っていただければと思います。
トピッククラスターモデルがSEO的に優れているポイントは、次の3点です。
- ミドルキーワードで上位表示が狙いやすくなる
- トピッククラスタ(記事群)全体の平均順位の底上げに繋がる
- ロングテールキーワード戦略を実施できる
それぞれ解説していきます。
ミドルキーワードで上位表示が狙いやすくなる
トピッククラスターモデルを構築すると、ピラーページの上位表示がしやすくなります。
先ほど説明した通り、ピラーページで対策しているキーワードは「包括的なトピック」になるため、いわゆるビッグ・ミドルキーワードに分類される「検索ボリュームが大きく、検索意図が多岐にわたるもの」です。
トピッククラスターモデルを構築することでピラーページの評価が上がる理由を理解するために、次の2つの概念について理解しましょう。
- リンクジュース
- キーワードごとのSEO対策のスコープ
リンクジュース
リンクジュースとは、各ページが持つSEO評価(≒ PageRank)がリンクによって他ページに渡る効果のことです。
リンクジュースが多ければ多いほど、ページのSEO評価は上がるため、順位も上昇する傾向にあります。
外部サイトから被リンクを獲得したり、内部リンクを特定の記事に寄せることで、順位が上がる裏には、リンクジュースというGoogleの根幹にある概念が存在していたのです。
トピッククラスターにおけるピラーページは、必然的にクラスターコンテンツからの内部被リンクが多くなります。
内部被リンクが多ければ、たくさんのリンクジュースが渡るため、ピラーページの評価が必然的に高まり、順位が上がりやすくなるのです。
また、「関連性が高いコンテンツ間のリンクの方が、より多くのリンクジュースが渡る」という概念もあり、単なる内部リンクよりかは同一のテーマからの内部リンクの方が価値が高くなります。
トピッククラスターでは、特定の親概念(トピック)の一部を切り出してクラスターコンテンツを作成するため、コンテンツ間の関連度は非常に高いです。
よって、ピラーページは関連度の高いコンテンツから大量の内部リンクを受け取るために、リンクジュースが大量に集まり、順位が上がりやすくなるのです。
リンクジュースについては、下記の記事で詳細に解説していますので合わせて目を通してみてください。

キーワードごとのSEO対策のスコープ
あまり意識されないことが多いですが、キーワードごとにSEO対策のスコープが異なる点も押さえておきましょう。
具体的には、下記の図のように、ビッグ・ミドル・ロングテールごとに対策すべきスコープは異なります。

キーワード種別 | 対策スコープ |
---|---|
ビッグ | ドメイン全体 |
ミドル | カテゴリ / トピッククラスタ |
ロングテール | ページ単位 |
上記のように、ミドルキーワードは「トピッククラスタ」を対策のスコープとして、上位表示を狙います。
先ほど軽く述べましたが、検索意図が多岐に渡れば渡るほど、ページ単位で検索意図を満たすことが不可能になります。
ミドルキーワードの検索意図はそれなりに多岐に渡るため、1ページですべての検索意図を満たそうとすると、ユーザービリティの悪い超ロングコンテンツになってしまうため、Googleとしても「コンテンツの塊」で評価しようとするのです。
よって、コンテンツの塊 ≒ カテゴリ / トピッククラスターで検索意図を満たすことができているかどうかが評価軸になるのです。
ミドルキーワードの上位表示を狙っていくためには、丁寧かつ戦略的にトピッククラスタを構築していく必要があります。
トピッククラスタ(記事群)全体の平均順位の底上げに繋がる
トピッククラスターで順位が上がりやすいのは、ピラーページだけではなく、それを支えるクラスターコンテンツも同様に順位が上がりやすくなります。
前述した通り、リンクジュースは、関連するコンテンツ間の方が流れやすく、クラスターコンテンツからピラーページに大量のリンクジュースが流れます。
そしてリンクジュースが集まったピラーページからクラスターコンテンツに向けても内部リンクが存在し、リンクジュースを一定割合返していくため、巡り巡ってトピッククラスター全体の順位が底上げされるのです。
この概念は非常にイメージしづらいですが、張り巡らされた内部リンクによってトピッククラスター内をリンクジュースが行ったり来たりして、最終的に全ページの平均順位の底上げにつながるようなイメージを持っていていただければ良いかと思います。
ロングテールキーワード戦略を実施できる

トピッククラスターモデルと、ロングテールキーワード戦略の相性は非常に良いです。
先ほど説明した通り、ロングテールキーワードはページ単位の評価で上位表示が狙えるため、トピッククラスターのクラスターコンテンツはページをきちんと作り込めば、ドメインがそこまで強くなくても上位表示を狙えます。
上位表示ができたクラスターコンテンツから、包括的なトピックをまとめたピラーページに読者を送客することによって、キラーページ(コンバージョンしやすいページ)に読者を送り込みやすくなります。
たとえ、クラスターコンテンツがコンバージョンから遠い検索ニーズに対応している記事であったとしても、クラスターコンテンツ→ピラーページ→キラーコンテンツのような導線を設置しておけば、コンバージョンにつながるかもしれません。
トピッククラスター × ロングテールキーワード戦略は、個人ブログや小規模サイトなどの「弱者のSEO戦略」として非常に優れていますので、ぜひ取り組んでみてください。
下記の記事では、ロングテールキーワードとはそもそも何なのか、その探し方や選び方を実際にツールを用いた具体例をもとに解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

上記の記事内容は下記の動画でも解説しています。合わせてご視聴いただくと、トピッククラスター × ロングテールキーワード戦略という昨今のブログやメディアで有用なやり方を学ぶことができるかと思いますので、ぜひ視聴してみてください。
トピッククラスターモデルの作り方
ここまで、トピッククラスターモデルとは何で、どのようなSEO的メリットがあるのかは理解していただけたでしょう。
ここからは実際にどのようにトピッククラスターモデルを作るのかの説明です。
具体的なステップと意識すべき点をそれぞれご紹介します。
トピッククラスターを作るステップ
トピッククラスターと呼ばれるくらいですので、まずはトピックを定めましょう。
ここで選定するトピックは、少し大きめの概念のものを選びます。
キーワードではないので、イメージは下記のような粒度です。
- 20代の転職活動
- TOEICの勉強方法
- コンテンツマーケティングの手法
そのトピックに興味がある人が検索するであろうビッグ・ミドルキーワードを選定しましょう。
そのトピッククラスターで最終的に上位表示を目指したいキーワードは何かを考えて、選定するのが良いです。
基本的には、1語もしくは2語程度のキーワードになるでしょう。
先ほどの例であれば、次のようなキーワードになるイメージです。
- 20代 転職
- TOEC 勉強方法
- コンテンツマーケティング
ピラーコンテンツが定まれば、その周辺のクラスターコンテンツを選定しましょう。
各種SEOツールを用いて、キーワードの洗い出しを行うのがおすすめです。
ここを雑にやってしまうと、キーワードカニバリゼーションが発生してしまい、トピッククラスターやドメイン全体の評価を押し下げることになりかねません。
キーワードマッピングを見ることができる有料のコンテンツマーケティング系のツール(キーワードマップやミエルカ、パスカルなど)を利用したり、AhrefsやSEMRushのような莫大なキーワードデータベースを持つSEOツールを利用することで選定が楽になります。
簡易的に実施するのであれば、OMUSUBIというツールが無料でサクッとトピックごとのキーワードのまとまりが見られるのでおすすめです。
ピラーページとクラスターコンテンツが定まれば、あとはそれらをどのように内部リンクで結ぶかを決めるだけです。
基本的な概念は、下記です。
- すべてのクラスターコンテンツからピラーページに内部リンクを送る
- クラスターコンテンツ間は、必要であれば内部リンクを送り合う
内部リンクの貼り方については、次のトピッククラスターを作る上で意識する点の箇所で詳細に解説します。
トピッククラスターモデルを作る上で意識すべき点
トピッククラスターモデルを作る際には、いくつか意識しておくべき点が存在します。
どれも絶対に守るべきルールではなく、個人的に推奨している点なので、あくまで参考になる部分だけ参考にしてみてください。
- クラスターコンテンツからピラーコンテンツへのリンクは、テキストリンクにして、アンカーテキストにピラーページの対策キーワードを入れる
- クラスターコンテンツからピラーコンテンツへのリンクは、なるべく冒頭に入れる
- クラスターコンテンツ同士のリンクは、クラスターコンテンツからピラーページへのリンクよりも下部に入れる
リーズナブルサーファーモデルの考え方に基づくのですが、専門的になりすぎるためここでは割愛します。
納得しないと前に進めないタイプの方は、ぜひリーズナブルサーファーモデルとランダムサーファーモデルについて調べてみてください。
トピッククラスターモデルに関してよくある質問
トピッククラスターモデルについての質問はかなり多くいただきます。
その中でも、頻繁にいただくものについて回答しておきますので、ぜひ参考にしてみてください。
- サイドバーやフッター等のコンテンツに関連性のないリンクを置くのはNG?
-
SEOでは、「body内部」と「body外部」のリンクの取り扱いが異なります。サイドバーやフッターのリンクは共通テンプレートで置かれていることがほとんどですので、そこからのリンクの価値は非常に低くなっています。有象無象のリンクをbody外部に置きすぎるのもよくないかと思いますが、トピッククラスターモデルを考える上では最低限「body内部」のリンクについて考えていけば大丈夫かと思います。
- 別クラスターページにリンクしていいのか?
-
基本的にはリンクしない方が良いです。トピッククラスターで重要なのが「不要な箇所へ発リンクしないこと」になります。よって別のクラスターページへのリンクは極力避け、本来リンクパワーを溜めておきたいトピッククラスターの中だけでリンクを張り巡らせる方が効果的です。ただし、SEOの最終目的はコンバージョンを生み出すことであるかと思いますので、順位を上げることに囚われすぎてコンバージョン導線のリンクを削除するなどの元も子もない判断をすることだけは避けたほうが良いと思います。
トピッククラスターモデルの作り方のまとめ
トピッククラスターとは何で、SEO的にどのようなメリットがあり、具体的にはどのように作るべきなのかを解説しました。
トピッククラスターとは、ピラーページ(まとめ記事)とクラスターコンテンツから構成される記事群のことで、そのトピック全体での平均順位の向上などに寄与することを説明しました。
新たに作る場合には、本記事で紹介した方法も活用しながら、内部リンク構造を意識して作成してみてください。
既存のサイトをトピッククラスターに構成し直す場合には、内部リンクの付け替えなど、それなりにパワーのかかる作業にはなるかと思いますが、効果は出やすいかと思いますのでぜひお時間がある際に取り組んでみてください。
ドメインや運営元を強化するのは昨今のSEOでは非常に重要ですが、それと同じくらいコンテンツやサイト設計に向き合うことも大切ですので、ぜひトライしてみてください。