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SEOはPL脳ではなく、BS脳で考えるべき。
SEOに携わっていると「SEOで効果が出るまでの期間」や「投資回収期間」について頻繁に議論になります。
SEOで効果が出るまでの期間については、過去に弊社なりにまとめましたが、結論すぐに効果が出るものではありません。
従って、投資回収期間も長くなります。
SEOへの社内理解がないと、SEO担当者やSEOを実行する部署が、次のような見られ方をすることも多いです(実体験)
- 細かい施策を色々やってるけど、成果に繋がっているのか不明
- 記事をたくさん書いているけど、事業貢献しているのか不明
- SEOは、特に何もしなくても変わらない
- SEOへの投資はただ赤字を垂れ流しているだけじゃないか
そして最終的には「運用型広告に予算を使う方が事業貢献度が高いので、SEOへの投資は辞める」となります。
SEO担当者にとっては悲しい結末ですし、事業目線でもSEOへの投資を全カットするのは健康的ではないと思います。
そこで本記事では、SEOへの投資の考え方を述べさせていただきます。
SEOへの社内理解が深まり、肩身の狭い思いをしているSEO担当者が少しでも救われると嬉しいです、
SEOはPL脳で考えるべきではない
PL脳・BS脳とは、朝倉祐介さん著『ファイナンス思考 日本企業を蝕む病と、再生の戦略論』に登場する造語です。
PL脳とは、「短期的な損益計算書上の収益を優先し、ともすると将来の成長を犠牲にしかねない姿勢」のことを指します。
要は、四半期や1年などの短期的な単位で、かけた費用以上に売上が上がらなければ実行しないと考えるような思考です。
「SEOに投資するくらいなら、運用型広告に全予算を使う方がいいよね」という考えは、PL脳的発想に近いかもしれません。
冒頭にも述べた通り、SEOは成果が出るまでに時間がかかるため、すぐに成果を求める場合には不向きです。特に四半期や1年でコストを上回るリターンを得るのはかなり難易度が高いでしょう。
しかしながら、SEOは一度育てば、中長期的に利益を返し続けてくれる「資産」になる強みもあります。
運用型広告が予算を割かなくなれば一切の効果を返してくれなくなるのに対し、SEOは育っていれば一切予算を割かなくとも効果を返し続けます。
Semrushの下記の図がわかりやすいイメージです。
- PPC(運用型広告)は、短期間で成果が出るが、続かない
- SEOは、短期間では成果が出ないが、長い期間積み上がっていく
どちらの施策が良いと言う話をしたいのではなく、短絡的に「事業貢献度が高いのは運用型広告である」と見るのは建設的ではないですし、事業フェーズや中長期的なビジョンに沿って投資配分を考えるべきです。
たとえばコロナ影響で、多くの企業が広告宣伝費を削減しましたが、SEOをコツコツ育ててきた企業は広告宣伝費をストップしても利益を生み出し続けることができました。
逆に運用型広告に頼り切りだった企業は、広告宣伝費がなくなる(もしくは減少する)ことで大きなダメージを食ったはずです。
SEOコンサルティングを事業展開して日々クライアント様のSEOに携わる我々の感覚では、コロナによってSEOへの投資の重要性を再認識した企業は多かった気がします。
たとえパンデミックではなくともSEOが育っていれば、広告宣伝費を別の施策(例えば新規事業開発の人件費)に使う意思決定もできるはずです。
PL脳で短期的な利益だけを考えてデジタルマーケティングの資産形成をしていないと、中長期的に勝ち続けることが難しくなる場合も多いでしょう。
だからこそ、SEOへの投資はPL的発想ではなく、BS的発想で捉えるべきだと考えます。
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SEOはBS脳で考えるべき
BS脳とは、長期的視点で「資産」を作っていく姿勢のことです。
SEOへの投資は、BS脳で考えるべきです。
何度も述べていますが、SEOはすぐに効果を出すことは苦手です。
よって、どうしても投資回収期間は長くなります。
しかしながら、一度効果が出てくれば、基本的には大きなアップデートで飛んだりしない限りは、効果を出し続けてくれます。
よって、PLを短期的に悪くしたとしても、BSは時間が立つにつれて健全な状態になってくるでしょう。
冒頭に紹介したファイナンス思考の書籍では、PLとBSの繋がりを下記のような図で解説されています。
ざっくり述べると、投資によって資産を増やし、その資産で事業利益を創出し、利益を純資産にしていく(もしくは再投資してく)といった感じです。
デジタルマーケティングの予算配分でも、PL脳で短期的なROI(投資対効果)ばかりを追いかけるのではなく、長期的に資産を作る”投資目線”も取り入れましょう。
コツコツとSEOに投資をし続けていれば、いつかSEOに助けられる日が来るはずです。
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SEOへの投資は、Googleの利用料としての「税金」として捉えるのもあり
SEOへの投資を “税金” として捉えるという発想を以前教えてもらい、なるほどと思った経験があります。
特に大企業などで開発リソースが限られていたり、デジタルマーケティングの予算配分を精緻なロジックをもとに組む必要がある場合だと、SEOへの投資をロジックを立てて語るのは難しいです。
たとえば、2021年のページ体験をスコアリングした Core Web Vitals がSEOの順位決定要因になりました。
Core Web Vitalsの対策をする際には、技術的な大改修が必要になったり、そもそものサーバースペックを上げるなどコストもかかる打ち手が多くなりがちです。
SEO担当者が、「Googleが順位決定要因に Core Web Vitals を組み込むので、改善をしましょう。開発リソースをください。」と言っても、大企業などで投資対効果順で開発工数を割り振っている場合には、次のような質問が飛んでくるはずです。
「結構莫大な工数がかかりそうだけど、結局それってどれくらいのリターンが見込めるの?」
Core Web Vitalsの件に関していえば、将来的に順位決定要因になると言われているものであり、それをやったらどれだけ効果があるのか(≒ やらなければSEOパフォーマンスが下落するのか)はわかようがありません。
また、SEOは競合との相対比較なので競合が対応するかどうかによっても効果の出方は変わってきます。
そうなると、「効果もよくわからないのに、莫大な開発工数を当てるのは無理」となります。至って真っ当な意思決定ではあります。
しかしながら、SEO担当者の目線から言えば、順位決定要因になると言われているからには、絶対に改善したいですし、長い目で見たときにどうせ改善すべきとなるのであれば、早く改善しておいた方が良いに決まっていると考えるはずです。
SEOへの投資は、このジレンマが常に、永遠に、付き纏ってきます。
そんなときに「SEO対策の工数(予算)は、Googleのプラットフォームから無料で集客をさせてもらっている分の税金である」と捉える考え方を教えてもらいました。
要は、一定の工数(予算)を四半期や年度ごとに置いてしまって、そのいただいた税金(工数)を、SEO担当者が運用者として責任を持って運用していくという投資方針です。
こうすることによって、読めるはずもない効果を読むためのシミュレーションに莫大な時間を無駄に溶かすことがなくなったり、やるべきと分かっていても効果が現時点では読めない将来的な投資の施策がNGになることがなくなります。
SEOの工数や予算は、SEOの中だけで使い方を考えていけば良いので、SEO担当者やSEOの部署で、その工数をどのように使うかをポリシーを持って優先順位づけをしていくだけで良くなるでしょう。
本質的なことに時間が使えるようになり、事業目線でも成果が出るようになる、かなり建設的な考え方であると信じています。
最後に、開発工数や予算を”税金”としてもらうためのTipsを3つ紹介します。
- まずは、小さくても良いからSEOで目に見える結果を出すこと
- SEOが重要であることを社内で認識してもらうこと
- SEOは中長期的投資であったり、競合との相対評価であったり、効果が読めないなどの特性を理解してもらうこと
少し熱くなり文章も長くなってしまいましたが、当時の自分のように悩むSEO担当者に届けば幸いです。
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まとめ
SEOはPL脳ではなく、BS脳で考えるべき、またSEOへの投資は税金として捉えるのもありだという意見を述べました。
デジタルマーケティングのチャネルとして、SEOほど中長期的な資産となる優秀なチャネルは他にないと信じています。
コツコツとSEOを資産として積み上げていくことは、長期的に見れば間違いなく大きな事業インパクトがあるでしょう。
なかなか厳しい目を向けられがちなSEO担当者やSEOの部署ですが、ぜひSEOはBS的な投資的視点で考えるべきだと社内で啓蒙していっていただければと思います。
SEO担当者の社内的見られ方が少しでも改善すると本記事を書いて良かったなあとなりますので、ぜひ何か成果が出たらこっそり教えてください。
「会社としてSEOをやるのが決まったけど、中々承認が得られない…」という担当者様は多いでしょう。下記記事ではSEOをやる際の社内稟議の通し方を解説しています。
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