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オウンドメディア運営におけるアトリビューションとアシストコンバージョンの活用方法
オウンドメディアを運営していると、お問い合わせやメルマガ登録、資料請求などのコンバージョンが起こることがあります。
しかし「どの記事からどうやってお問い合わせまでに繋がったのかがわからない…」といった疑問が生まれることがあるでしょう。
本当は、コンバージョンに記事Aが大きな影響を与えていたのに、コンバージョンした一番手前の記事の記事Bしか測定できないと、適切にオウンドメディアを改善できません。
そこで、コンバージョンまでの貢献度を分析するのにおすすめの方法がアシストコンバージョンを使った「アトリビューション分析」です。
アトリビューション分析とは「メディアごとのコンバージョンへの貢献度を測る分析方法」です。
要は、コンバージョンに至るまでの「どの記事が」「どれだけコンバージョンに貢献したのか」を分析できます。
本記事では、これまで数十社のオウンドメディア支援や運営をしてきた私が、オウンドメディア運営におけるアトリビューションの活用方法を解説します。
- アトリビューションとは
- アシストコンバージョンとは
- オウンドメディア運営における活用方法
本記事を読めば、どの記事をどれだけ改善するべきかがわかり、メディアを大きくグロースできるようになるでしょう。
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アトリビューションとは
アトリビューション(attribution)とは「帰因」「帰属」という意味の英語です。
デジタルマーケティングにおけるアトリビューションとは「メディアごとのコンバージョンへの貢献度を測る」意味で使われます。
コンバージョン(CV)において、発生した記事の貢献度が大きいのは当然ですが、それ以外の記事が全く貢献していないとは限りません。
たとえば読者が記事Aを読み、記事Bに遷移して読み、最終的に検索結果に戻ってから見つけた広告に入って、広告のLPからCVしたケースを考えてみましょう。
この時、CVがつくのは広告LPだけですが、記事AとBもサービスの認知獲得で貢献している可能性があります。
その時に記事A・Bには「アシストコンバージョン」というGoogle Analyticsの数値で貢献度を考えます。
この一連の流れを「アトリビューション分析」と呼びます。
今まではコンバージョンにつながったものだけを評価していたメディアでも、アトリビューションを分析することで、直接的なコンバージョン以外に貢献したコンテンツを評価できるようになります。
皆さんの記憶に新しいワールドカップでアトリビューションを考えてみましょう。
スペイン戦の決勝ゴールで田中碧選手が得点を決めましたが、田中選手にパスしたのは三笘選手です。さらにその前にパスを出したのは堂安選手でした。
ゴールを決めた田中選手だけを評価する世界だったならば、他の選手は報われませんよね。
他の選手も「アシスト」もしくは「アシストの起点になった」として評価されます。
ゴールを決めた選手だけを評価するのではなく、その前にドリブルやパスでチャンスを作った選手も評価すること、つまり、コンバージョンにつながったコンテンツだけではなく、その前に貢献したコンテンツも評価するのが大切です。
ちなみにアトリビューションはSEOコンテンツだけで活用するものではなく、デジタルマーケティングの手法全ての貢献度を確認できます。
広告をメインの施策にする場合も、広告がアトリビューション (アシストコンバージョン)の観点で貢献する場合もあります。
アトリビューションを計測する理由
アトリビューション分析をすべき理由は「コンバージョンを最大化できること」に他ありません。
アシストコンバージョンを使えば、コンバージョンを最大化するために以下のことができます。
- 読者の行動を可視化できる
- コンテンツごとに正しい役割を与えられる
- コンテンツを正しく評価できる
ユーザーはその場で即座に商品購入やサービス登録を行うとは限らないのが現実です。
商品やサービスによっては、購入や登録に時間を要するものも多くあります。(特に人生に与える影響度合いが大きいもの / 金額が高いもの)
CVだけを追っていると、コンテンツや広告の効果が出ていないように感じます。
記事のCVRが低い場合には大きく2つのパターンがあります。
- 読者に購入意欲はあるが、記事の中でCVしなかった
- 読者にそもそも購入意欲がなく、記事の中でCVしなかった
購入意欲がない読者に商品をおすすめしてもなかなか購入につながりにくいのは当たり前です。
たとえば転職に関する2つのKWを比べてみましょう。
キーワード | 検索意図 | CV |
---|---|---|
転職サイト おすすめ | 転職サイトを探しており、どこが良いサイトなのか知りたい | しやすい |
転職 タイミング 時期 | 転職を考えており、いつがベストなのか知りたい | ややしにくい |
「転職 タイミング 時期」で検索する読者も「転職したい」とは思っていますが、まずは時期を知りたいというのが最初にきるので、今すぐ転職サイトを使うかどうかは不明確です。
「転職 タイミング 時期」の記事で、強く転職サイトを訴求してもCVには繋がりにくいことも多いです。
一方で「転職 タイミング 時期」の記事でCVしないからと言って、この記事が無価値とは限りません。
コンテンツの目的はCVだけでなく、「サービスの認知獲得」や「課題の喚起」も含まれます。
この場合、「転職 タイミング 時期」では転職時期には転職サイトを適切に使う必要があることをきちんと記載して、CVさせたい記事へ内部リンクによって遷移させるなどの役割を与えてあげましょう。
コンテンツ / 施策にあった役割を与え、計測することで適切なコンテンツ / 施策の評価ができるようになります。
コンバージョンに至るまでの読者の具体的行動例
実際に読者がどのように商品やサービスの購入・登録をしているのか整理してみると、アトリビューションの意味が理解しやすくなります。
とある商品を購入するときに読者の行動パターンとしては下記のようなものが考えられます。
- 「〜〜 選び方」でどうやって商品を選ぶべきか知る
- 「〜〜 おすすめ」「〜〜 比較」で調べて、商品を比較検討する
- 広告でブランドAの広告を見て、商品が気になりクリック
- ブランドAの指名検索でコンバージョン
このように、読者は複数のサイトや広告を見た上で商品を購入します。
指名検索でサイトトップに入ってくるからと、CVが一番多いサイトトップばかりを評価して、他のコンテンツを蔑ろにしてしまうと、他のコンテンツでの流入が取れなくなったときに指名検索からのCVが減ってしまうこともあります。
商品を購入する時に、いきなり指名検索で購入する人は少ないのが一般的です。
たとえば「テレビ」を買おうと思った時に、いきなり東芝の「REGZA」を検索する人はなかなかいません。「REGZA」を認知するまでに、CMやウェブ広告、比較サイトなどの媒体を通ってきていることがほとんどです。
特に商品が高額なもの・人生に大きな影響を与える可能性があるもの(車や家など)は、コンバージョンまでの行動回数が多くなると言われています。
購入回数の多いものほど、アトリビューション分析によって、アシストコンバージョンでの評価を取り入れる効果が大きく出ます。
アトリビューションモデルの種類
アトリビューション 分析する上で、分析方法は複数パターンあります。ここでは以下の5つ紹介します。
接点モデル | 潜在層向けのコンテンツや手法(サービスの認知獲得やブランディング目的)の評価をする際に向いている。 |
終点モデル | 顕在層向けのコンテンツ(広告LPなど)や手法の評価をする際に向いている。コンバージョンを計測するのと同じ。コンテンツをどう評価して良いかわからない場合は、まずこれから。 |
線形モデル | 初回接触も途中の接触も、直接の経路もすべて等しく評価したい場合におすすめ。複数のマーケティングチャネルがある場合に、全て平等に評価できる。 |
減衰モデル | すべての経路を評価したいが、直接コンバージョンにつながった経路をより重要視したい場合には減衰を選ぶ。 |
接点ベースモデル | 直接コンバージョンにつながった経路と初回の経路は同じくらい重要だと考えている場合におすすめ。 |
接点モデル
接点モデルは、起点となった(読者とサイトの最初の接点となった)コンテンツだけを評価するモデルです。
サービスの認知獲得へ大きな貢献をしているという形で評価できます。
終点モデル
終点モデルは最後にCVが発生した記事のみを評価する形です。従来通りCVのみを重視します。
どのモデルを使って評価すべきかわからない場合には、まずこのモデルでCVを中心に計測してみましょう。
CVでの貢献が見られなければ、CV以外のところに着目してコンテンツを評価してみるのがおすすめです。
線形モデル
線形モデルは、読者がCVまでに接触したコンテンツ全て平等に評価するモデルです。
途中のコンテンツも最後のCVに繋がったコンテンツも同等に評価でき、複数のマーケティングチャンネルがある場合に使います。
減衰モデル
減衰モデルはCVに近かったコンテンツをなるべく評価する形です。
起点となったコンテンツも大事だけれど、CVが重要という場合に使います。
接点ベースモデル
接点ベースモデルは起点と最終CVとなった2つのコンテンツを重視して評価するモデル。
起点とCVを同等に評価する場合にはこのモデルを使いましょう。
アトリビューションモデルの活用例
Google 広告で掲載されている例を使って、上記で紹介した5つのモデルを活用するとどうなるかを解説します。
自分が長野県の軽井沢で「レストラン白樺」を経営しているとします。
あるユーザーが下記の順に検索し、それぞれ自社のコンテンツを見た後に、最後の検索で表示された自社の広告をクリックしてサイトにアクセスし、レストランを予約したとします。
- 「レストラン 長野県」
- 「レストラン 軽井沢」
- 「三ツ星レストラン 軽井沢」
- 「三ツ星レストラン 白樺 軽井沢」
その場合、アトリビューションモデルを使うと以下のような評価になります。
- 接点モデルを使用:最初のキーワード「レストラン 長野県」だけにコンバージョンへの貢献度が割り当てられる。
- 終点モデルを使用:最後のキーワード「三ツ星レストラン 白樺 軽井沢」だけにコンバージョンへの貢献度が割り当てられる。
- 線形モデルを使用:コンバージョンへの貢献度がそれぞれのキーワードに均等に(25% ずつ)割り当てられる。
- 減衰モデルを使用:コンバージョンまでの時間が最も短かったキーワード「三ツ星レストラン 白樺 軽井沢」に最も多くの貢献度が割り当てられ、最初に検索されたキーワード「レストラン 長野県」には最も少ない貢献度が割り当てられる。
- 接点ベースモデルを使用:「レストラン 長野県」と「三ツ星レストラン 白樺 軽井沢」のそれぞれに貢献度が 40% 割り当てられ、残りの「レストラン 軽井沢」、「三ツ星レストラン 軽井沢」には貢献度がそれぞれ 10% 割り当てられる。
どのモデルを使って分析するかによって評価されるコンテンツが変わるのがわかりますね。
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アトリビューション分析が向いている / 向いていないケース
自動車や家・マンションのように購入までのハードルが高く、購入までの比較検討が長いものは向いています。
向いている | コンバージョンまでにSEOやSNS、広告など複数のチャネルを経由する コンバージョンにおいて指名検索が多い コンバージョンに繋がるキーワードが偏っている コンバージョンまでの検討期間が長い |
向いていない | コンバージョンまでのチャネルが限られている コンバージョンまでの検討期間が短い(どこで購入しても差がない) |
一方で、すぐに購入できるもの(日用品や食品)はアトリビューション分析しても効果が出にくいです。
お菓子を買おうと思った時に、複数のサイトで検索するよりはAmazonや楽天でサクッと決めてしまう人が多いですよね。
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アシストコンバージョンとはアトリビューション分析をする上での指標の一つ
アシストコンバージョンとは「アトリビューション分析をする上での指標」の一つです。
アシストとは、コンバージョンに至るまでに発生した接点のうち、コンバージョンにつながった接点を除くすべての接点を指します。
アシスト コンバージョン レポートには、チャネルの役割と貢献度の概要が表示されます。チャネルがコンバージョン経路の中で果たす役割は 3 つです。
(アシスト コンバージョン レポート – キャンペーン マネージャー 360 ヘルプ)
- 終点: コンバージョンの直前に発生したインタラクション
- アシスト: コンバージョン経路に含まれる、終点以外のすべてのインタラクション
- 起点: コンバージョン経路内の最初のインタラクション
注意すべき点として、アシストコンバージョンの数値は、コンバージョンの数値とイコールになるわけではありません。
たとえば、オーガニック経由で検索し、さらにリスティング広告経由でコンバージョンした場合、コンバージョン数は1だが、アシストコンバージョンの数は2になります。
アシストコンバージョンを知っておくと、最適なCVポイントの設計ができるので、ぜひ使いこなせるようになりましょう。
アシストコンバージョンで調べられる指標
Google Analyticsを使うと以下のようなことがわかります。
それぞれ詳しく解説します。
流入経路別・チャネル別・ページ別のACV数
アシストコンバージョンを使えば、下記のどれがアシストコンバージョンとして貢献しているのかわかるようになります。
- どの経路(自然検索・SNS・広告)
- どの媒体(Twitter・YouTubeなど)
- どのページ
単純にSNS(Twitter/Instagramなど)にアシストコンバージョンが付いているなら、SNSでの露出を強化すればCV数の増加に繋げられる可能性が高まります。
コンバージョン達成までの日数
Google Analytics上で、接点のページ(ランディングページ)に入ってからコンバージョンするまで何日かかったか見られます。
コンバージョンまでの日数が長い場合はアシストコンバージョンを活用して改善するのに向いている可能性が高いです。
経路の位置
コンバージョンまでにそのコンテンツが何番目に見られたか確認できます。
- 起点に近い数字(1や2)が多い:認知獲得に貢献している可能性がある
- 終点に近い数字が多い:購入の後押しにつながっている可能性がある
読者の検索意図がCVから遠いような記事は起点に近い数字がつきやすくなります。
コンバージョン経路
読者がコンバージョンに至るまでにどのチャネルを経由してきたかもわかります。
たとえば、下記のように流れわかれば、よく読者が通る経路を強化すればCV数の増加に繋げられます。
- SNS→自然検索→リスティング
- 自然検索→ディスプレイ広告→LINE
また、経路が複数にわたる場合はアシストコンバージョンを活用しやすい傾向にあります。
アシストコンバージョンの具体的な活用例
アシストコンバージョンはコンテンツや施策の貢献度を知り、施策につなげるために活用します。
コンテンツ・施策の貢献度を知るために、まずは全てのCVを、「CVまでの経路」や「CVまでの日数」を把握してみましょう。
その後に個別に各チャネル・記事ごとのアシストコンバージョンの数・アシストコンバージョンがついている記事のCVまでの位置(起点・中間・終点)を確認して、それぞれの記事の役割を考えます。
そして、アクションとしてコンテンツや施策が一番効果を生みそうな仮説を考えて、施策を実行します。
たとえばブログ記事で、「CVはないけどアシストコンバージョンは多い・位置は終点に近い」コンテンツなら、「読者をコンバージョンさせる後押しができているのではないか」という仮説が出せます。
それならアシストコンバージョンが多くついている記事を中間LPに設定するというアクションにつながりますね。
広告で、「潜在層向けの広告LPにアシストコンバージョンがついている、最初の接点としての貢献が多く、その後に平均で5回ほど流入してからコンバージョンしている」場合には、「認知獲得の役割ができているのではないか」と推測できます。
その場合は、潜在層向けのLPを認知獲得・ブランディングよりの訴求にしてみるのも手段の一つです。
弊社が携わったメディアでも、「ブログ経由でCVが増えない」という状況でした。そこでアシストコンバージョンを見てみると、意外とアシストコンバージョンが生まれていることに気づき、KPIを変更しました。
実際に1年でアシストコンバージョンが1年で倍になり、メディアの貢献度が適切に評価されたということもあります。
まとめ
メディア運営では、目先のコンバージョンを指標におくことが多く、施策もコンバージョンに繋がるかどうかで判断しがちです。
ただ特にコンテンツ系のSEOでは、記事からCVしにしにくいジャンルや商材の場合も多く存在します。
そういったジャンル・商材のメディアで労力を欠けても、成果を実感できず、費用や工数を使わないという判断になってしまいます。
アシストコンバージョンという指標を使って、コンテンツの評価軸を変えれば、意外と貢献していることもあります。
ぜひアシストコンバージョン・アトリビューション 分析を使ってメディアを改善してみましょう。
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- 新規/リライト頻度・考え方
- 被リンク獲得方法
- モニタリング
メディア運営で成果が出ない方はぜひお使いください。
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