2023年のSEO – Googleの目指す方向性と我々が対策すべきこと

LANYアドベントカレンダー24日目の記事です。

2022年も大きくSEOが動いた年だったように思います。

Googleコアアルゴリズムアップデートをはじめとする、検索アルゴリズムの変更も多く行われました。

日付アップデート
2022年12月15日スパムアップデート
2022年12月5日ヘルプフルコンテンツアップデート
2022年10月19日スパムアップデート
2022年9月20日プロダクトレビューアップデート
2022年9月12日コアアルゴリズムアップデート
2022年8月25日ヘルプフルコンテンツアップデート
2022年7月27日プロダクトレビューアップデート
2022年5月25日コアアルゴリズムアップデート
2022年3月23日プロダクトレビューアップデート
2022年2月22日PC向け ページエクスペリエンスアップデート
参考:コアアップデートを含むGoogleアルゴリズムアップデート履歴のリスト

また、アップデート以外にも色々な変化がありました。

  • Googleユニバーサルアナリティクスのサポート終了(≒ GA4への強制移行)
  • サブディレクトリ施策(サイト貸し施策)の横行
  • AIライティングの急成長

様々な変化のあった一年でしたが、2023年もGoogleは更に変化(進化)を続けていくことは間違いありません。

本記事では、2022年のSEOを振り返りつつ、2023年のSEOの傾向と対策について解説します。

この記事でわかること
  • 2022年のSEOの振り返り
  • 2023年のSEOの傾向と対策

2023年もSEOで戦っていく皆様にとって少しでも参考になる記事となっていれば幸いです。

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目次

2022年のSEOの振り返り

2022年のSEOを振り返ると、Googleのアルゴリズムの変化の方向性は以下のように感じます。

  • 他プラットフォーマーへの対抗
  • スパムへの対抗

Googleは営利企業であり、利益をあげ続けるためには「Google検索を多くの人に使ってもらうこと」が最重要課題です。

多くの人がGoogleを使い続けてくれるために、より良い検索アルゴリズムを組んで、適切な情報を適切な人に届けられる状態を目指しています。

その視点に立った時に、Google離れが起きていく要因としては、以下の2点が大きいはずです。

  • 検索の形によって、プラットフォームを使い分けるユーザーが増えていくこと
  • 検索結果の品質が低くなり、他検索エンジンなどを利用するユーザーが増えていくこと

要は「Googleを使うよりも他の何かを利用した方が欲しい情報にアクセスしやすいよね」となってしまえば、Googleを利用するユーザーが減少し、広告収益が大幅に減っていく構図です。

だからこそ、ユーザーの検索という可処分時間を寡占できるように検索アルゴリズムを磨き込んでおり、その脅威となっている他プラットフォーマーやスパムへの対抗をし続けているのが昨今の状況に思います。

具体的にどのような形でGoogleが対抗しているのかを、私なりの意見で書いていければと思います。

他プラットフォーマーへ対抗するためのアルゴリズム改善

ここ数年でのGoogle以外のプラットフォーマーの成長も著しく、多くの方が複数のプラットフォームを自分なりに使い分けているかと思います。

パッと思いつくだけでも次のようなプラットフォームを利用されているのではないでしょうか。

  • Twitter
  • Instagram
  • TikTok
  • YouTube
  • Amazon

その他にも国別に人気のプラットフォームがあったりもします。

ご自身の使い分けを考えてみても面白いかと思いますが、各プラットフォームごとに特性があり、得たい情報に対して向き不向きがあります。

たとえば、下記のイメージです。

プラットフォーム特性 / 向いているもの
Twitter“いま起きている”最新の情報を得るのに向いている
Instagram写真や動画付きの各種口コミや情報を得るのに向いている
TikTokショート動画で暇つぶしをするのに向いている
YouTube長尺動画で暇つぶしをするのに向いている
Amazon商品購入や実際に購入した方のレビュー情報を得るのに向いている

使い方は人それぞれなので一概にはまとめられませんが、上記で大きくはずれていないかと思います。

そのため、”いま起きていること” を知りたければ人々はTwitterを開きますし、カフェやファッションなど写真付きでの口コミやおすすめ商品が知りたければInstagramを開きます。

また、暇つぶしなどの受動的検索の場合にはTikTokやYouTubeに流れるでしょう(YouTubeはGoogleなので問題ないですが)

SEOおたく

そんな状況の中で、すべての検索の入口となりたかったGoogleがだんだんと利用されることがなくなってきて、様々なプラットフォームで直接的に行動をスタートさせる人々が増えてきました

Googleが使われなくなれば、リスティング広告がクリックされる数も少なくなり、ディスプレイネットワークとしてのGoogle広告の収益も減っていくでしょう。

だからこそ、他プラットフォーマーにユーザーを取られないように色々な工夫をしているのが昨今の状況に見えています。

たとえば、Twitterトレンドのように、Google検索タブに「話題の検索キーワード」を表示するようになりました。

話題の検索キーワード
Google検索に表示される「話題の検索キーワード」

他にも、検索結果上にショート動画を多くの場面で出すようにもなりました。

ショート動画
検索結果上のショート動画枠

Googleの機能開発や検索結果面の変更だけでなく、アルゴリズムアップデートでも他プラットフォーマーへの対策を講じています。

ここ数年で何度も実施されている「プロダクトレビューアップデート」は、商品に関する口コミやレビューを検索するユーザーをAmazon等の他プラットフォームに取られないための工夫です。

What Google Search Isn’t Showing You“(Google検索ではわからないもの)というタイトルで投稿されたNewYorkerの記事が話題になっていましたが、”Google is dying(Googleは死んだ)”のブログを引用して次のように述べられています。

When it comes to product reviews or recipes, Brereton argued, results from Google’s search engine “have gone to shit.” Rather than settling for the default, those who want to know what a “genuine real-life human being” thinks of a certain product have learned work-arounds, such as adding “Reddit” to their searches to bring up relevant threads on that platform. NewYorker

要は、レシピや商品レビューを検索すると、Googleの検索結果は広告とアフィリエイトリンクで埋め尽くされたサイトしか出てこず、本当に求めている「リアルな情報」が出てこないと。

本物の情報を知りたいユーザーは、Redditなどのプラットフォームに行くかもしれませんし、Amazonの商品レビューを直接見に行くかもしれません。

そうなってくるとGoogleで商品レビューを検索するユーザーの数が減少してしまい、広告収益モデルのGoogleとしては大きな痛手を負います。

このように、他のプラットフォーマーの成長やユーザーの動向を踏まえてアルゴリズムを磨き込み続けているように思います。

今回紹介した内容だけでも、次のことが仮説立てられます。

  • 情報の最新性は重要になっていく(対Twitter)
  • 商品レビューの品質で求められるレベルはどんどん高くなっていく(対AmazonやReddit)
  • ショート動画の重要性は高まっていく(対TikTokやInstagram)

実際に、2022年は最新情報を評価する「フレッシュネス指標」が評価比重として重く、動画を組み込んだコンテンツなどが大きく評価されてきました。

今後も他プラットフォーマーとの戦いが繰り広げられていくのは間違ありません。

ぜひご自身の参入領域で見たときに、Googleは「どのようなコンテンツが好まれるのか」「どのような方向性に改善をしていきそうか」を考えて、先手を打てると良いでしょう。

スパムへ対抗するためのアルゴリズム改善

Google検索アルゴリズムの進化の歴史は、スパムとのいたちごっことも言えます。

スクロールできます
評価スパム
被リンク評価が高まる被リンク売買が横行
情報を網羅しただけのコンテンツが評価されるキュレーションメディアが横行
ドメイン評価が高まるサブドメ施策やサブディレ施策が横行

何かしら大きく重要視される指標が見つかれば、そこをハックして検索結果を占有しようとするスパマーが登場します。

過去の歴史を見るには、数年間単位でスパムが横行し、その後のアルゴリズムアップデートやペナルティによってルールが変わり、スパムサイトが撲滅させられるのが常です。

昨今の検索結果の問題点は「サブディレクトリ問題」でしょう。

過去のキュレーションメディア時代の問題から、YMYL領域を中心に「信頼できる情報以外は出さない」ようなアルゴリズムに変わってきています。

Googleが信頼できる情報かどうかを判断するために利用しているのが下記の2つです。

  • 「ドメイン」
  • 「運営元」

裏を返せば、ドメインと運営元が信頼に値するものであれば、そこに掲載されている情報が信頼性に欠けていても上位表示できてしまうのが現在のアルゴリズムの盲点です。

そこを突いて、信頼できるドメインのサブディレクトリを借りてメディアを立ち上げ、高単価アフィリエイト商材で売上を立ててレベニューシェアをするような手法が流行しています。

クリニックや新聞社のドメインに付随する別の会社が運営しているメディアの評価が大きく上がってしまっています。

SEOおたく

我々は、他の人の施策や考えに対して何かしらの意見を言うべきではないと考えているため、これまで特段サブディレクトリ施策に対して意見を述べてきませんでしたが、検索結果の状態としては「あるべき姿」ではないとは思います

Googleとしても課題自体は認識済みであり、対処法を模索している状況かと思うので、過去の歴史のように遠くない将来で淘汰されると考えています

Googleが重要視する指標を特定し、そこをホワイトハットな形で強化していくことができれば、中長期的に勝ち続けられるドメインになると信じています。

スパムとの戦いは今後も終わらないかと思いますが、きちんとホワイトハットで戦う方々が評価される検索結果になることを願っています。

2023年のSEOの傾向と対策

2022年のSEOの振り返りや、直近の傾向を踏まえて、2023年のSEOに対する予測をしていきます。

下記のキーワードが重要になると考えています。

それぞれ解説していきます。

①ユーザーの最終目的を達成すること

ユーザーの最終目的が達成されるサイトの評価が高くなっていくと予想しています。

検索クエリは次のように分類できます。

スクロールできます
クエリ概要
Goクエリ
(ナビゲーショナルクエリ)
特定のサイトを探している
Doクエリ / Buyクエリ
(トランザクショナルクエリ)
何かをしたい / 買いたい
Knowクエリ
(インフォメーショナル)
何かを知りたい

たとえば、DoクエリやBuyクエリであれば、何かしらの行動を起こすのがユーザーの最終目的です。

その場合に、情報だけを提供するサイトではユーザーの最終目的を達成できません。

一方で販売ページなどを保有するECサイトでは、Knowクエリのような「知りたい」の最終目的を深く満たすことは難しいでしょう。

だからこそ、今後はクエリごとに「最終目的」が達成されるサイトでなければ、そのクエリでの上位表示は目指しづらくなるのではないかと考えています。

具体事例として、2022年9月のアップデートの傾向としても「ユーザーの最終目的が達成できるサイトが順位上昇する事例」がありました。

下記は、1つのページでも「トランザクショナルクエリでは順位下落、インフォメーショナルクエリでは順位上昇」などの変動が見えた事例です。

具体事例

その他にも、音楽に関するクエリでは「歌詞」や「音楽情報」を提供するサイトではなく、実際に音楽が聴けるサイトの順位が軒並み上昇していた点も裏付けるファクトの一つかと思います。

具体事例

よって、自分自身が対策しようとしているクエリは「最終的に何が達成したくてユーザーが検索しているのか」「ユーザーの便益・ベネフィット」を事前に明確にした上で、コンテンツ制作をしていくのがおすすめです。

また、今後の流れとして、情報提供型メディアが伸びづらくなることも考えられるので、ECサイトなどのトランザクションができるサイトをドメイン内に立ち上げていくことも、SEO視点では必要になっていくでしょう。

②オリジナリティ(独自性)を入れること

常に重要視されてきた指標ではありますが、オリジナリティは今後も引き続き重要度は高いと予想しています。

Google視点に立てば、クロール・インデックスし切れない量のWebページが世の中には存在しており、重複コンテンツやユニーク性の低いコンテンツはインデックスしたくないはずです。

コンテンツ作成者にSEO対策の知見がある場合には、検索結果で上位表示されているコンテンツを正解の形と捉え、1ページ目にあるコンテンツの「最大公約数」に近いコンテンツが量産されていきます。

そうなると、そのページでしか手に入らないオリジナル情報などはほとんど存在しない状態になり、どのページを検索結果に表示してもユーザーが得られる情報は同じという状態になってしまうでしょう。

だからこそ、そのページでしか手に入らない情報が含まれているページの評価は高くなっていき、将来的にはオリジナリティが高くなければインデックスされることすら難しくなるのではないかとすら思います。

オリジナリティを出すためには次のことができるでしょう。

  • 一次情報を入れる
  • Google検索では手に入らない情報を入れる
  • 情報のアウトプット(伝え方)を工夫する

自分で体験した情報を入れてみたり、書籍やYouTube、専門家へのインタビューなどの情報ソースを利用してみたり、同じ情報を取り扱う場合でも、独自のアウトプット方法(画像、動画、音声などのマルチメディアも含む)を試してみたり。

オリジナリティの出し方は無限大ですし、ここがAIライティングでは担保しづらい部分でもあると思います。

作成するコンテンツに何かしらのオリジナリティを加えられるように工夫をしていきましょう。

③マルチメディアで対策すること

情報の形の最適解がテキストではない場合も多くなってきました。

他プラットフォーマーの成長にも関係しますが、ユーザーが情報を取得する際の最適な形を学習し始めており、下記のような様々な形で求められるようになってきています。

  • 画像
  • 動画
  • 音声
  • スライド

発信する情報ごとに最適な情報の形を考えて、マルチメディア化しながら対策をしていけると良いでしょう。

中でも「動画」や「ショート動画」の成長は、今後も伸び続けていくはずです。

テキストで発信している内容を動画化してみたり、長尺動画を切り抜いてショート動画にしてみるなど、一つのコンテンツを複数の形に変換して発信していくのも重要になるでしょう。

検索クエリごとにどの情報の形が最適化も読み解きながら、発信するコンテンツをマルチメディアを駆使して作成していくことをおすすめします。

まとめ:2022年のSEOの振り返りと2023年のSEOの予想

2022年のSEOを振り返ると、Googleのアルゴリズムの変化の方向性は以下のように感じました。

  • 他プラットフォーマーへの対抗
  • スパムへの対抗

直近の傾向を踏まえて、2023年のSEOに対する対策は下記です。

  • ユーザーの最終目的を達成すること
  • オリジナリティ(独自性)を入れること
  • マルチメディアで対策すること

SEOは常に変動し、正解がない一種のスポーツだと思っています。

いかに日々の変動や事象から仮説を出し、検索アルゴリズムの向かっている方向を予想して、先手を打てるかが中長期的な成果に関わってくるポイントです。

この記事でご紹介した内容も、決して正解ではありませんが、みなさまがご自身のサイトのSEOを考える上で、少しでも参考になっていれば幸いです。

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2023年のSEOの傾向予測と対策

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  • 2022年のSEO振り返り
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この記事の執筆者

竹内渓太のアバター
竹内渓太 SEOコンサルタント

株式会社LANYの代表。株式会社リクルートホールディングスにデジタルマーケティング職で新卒入社。3年間デジタルマーケティングに従事。その後、株式会社LANYを創業。大規模サイトのSEOが得意。

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