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リマーケティング広告とは?仕組みや始め方から効果的な運用ポイントも解説!
Google 広告やYahoo!広告などのWeb広告のなかには、リマーケティング(リターゲティング)広告があります。
リマーケティング広告は、自社サイトに訪問して離脱したユーザーに広告を配信できる広告です。すでに興味のあるユーザーに配信して訴求することで、商品・サービスを知らない人に宣伝するよりも顧客を獲得できる可能性があります。
本記事ではリマーケティング広告の概要や仕組み、設定手順を紹介します。効率的にコンバージョン数を増やしたい方は、ぜひ参考にしてください。本だけでなく、成果を出しやすくなるコツを知ることができますので、ぜひ参考にしてみてください。
リマーケティング/リターゲティングとは
リマーケティングとは、自社のサイトに訪れたが途中で離脱したユーザーに広告を配信して、再訪問を促すことです。一度、サイトを訪れたことのあるユーザーは、商品やサービスへの興味や購買意欲が高いです。
リマーケティングはそういった見込みの高いユーザーに広告配信をするため、コンバージョン率が高くなりやすい効果的な施策であるとされています。
リマーケティングと似た名称に「リターゲティング」がありますが、各広告媒体における名称が異なるだけで、基本的には同じです。
各広告媒体での、リマーケティングの名称は以下です。
- Google:リマーケティング
- Yahoo!:サイトリターゲティング
- Facebook:リターゲティング
なお、この記事では名称を「リマーケティング」に統一して解説します。
リマーケティング広告の仕組み
リマーケティング広告は、自社サイトに来訪したユーザーへCookieを付与し、そのユーザーをリスト化して広告を配信する広告手法のことです。
Cookieとは、自社サイトに訪れたユーザーに付与されるもので、ユーザーのWebサイト履歴やログイン情報などをブラウザ上に一時保存する仕組みです。これによりユーザーを特定・識別をし追跡が可能になります。
あくまでWebサイトの閲覧履歴や行動などのアクセス記録のみで個人情報の記録はされません。また、一定期間が過ぎると自動的にデータが無効になります。
配信方法は、Google 広告の場合は「グローバルサイトタグ」とよばれるタグをサイトに設置することで自社サイトへ来訪したユーザーをリスト化することができ、そのリストをターゲットとして広告を配信します。
リマーケティング広告の3つのメリット
リマーケティング広告は既に商品・サービスに興味関心を持っているユーザーに広告配信できるのが魅力ですが、広告運用においては3つのメリットがあります。
- 興味のあるユーザーとの接点を再び持てる
- ユーザーの意図に合わせたクリエイティブ制作ができる
- コンバージョン率が高い
リマーケティングのこれらのメリットについて、詳しく解説します。
興味のあるユーザーとの接点を再び持てる
一般的に、サイトを訪問したユーザーがページ遷移して途中で離脱する割合(離脱率)は50%程度、高い時で90%にもなると言われています。
つまり、商品やサービスに多少なりとも興味を持っている半数以上のユーザーがページ閲覧中に何らかの理由で離脱してしまっていることになります。
こういった過去サイトを訪問した興味関心度の高いユーザーと再び接点を持ちアプローチすることで、自社商品やサービスを思い出してもらい、コンバージョンに繋げることができます。
また、人は単純接触回数が多いものに好感を抱きやすいという性質を持っているため、リマーケティング広告でユーザーの目に留まる回数を増やすだけでも効果的といえます。
ユーザーの意図に合わせたクリエイティブ制作ができる
広告効果を最大限に高めるためには、ユーザーの意図に合わせたクリエイティブで広告配信することが肝心です。
例えば、ECサイトで登山用アウターの商品ページに訪問して途中離脱したユーザーに対して、登山用アウターの魅力が詰まったクリエイティブで広告配信すれば注意を惹きやすくなり、ページへの再来訪を促すことで期待できます。
クリエイティブ制作では、アナリティクスツールを活用してサイトに訪問したユーザーの閲覧履歴や検索キーワードの情報をもとにユーザーの検索意図を推測し、特定のユーザーが興味を惹きやすいクリエイティブを制作することが重要です。
ユーザーの意図を汲んだクリエイティブを制作し広告配信ができればコンバージョン率向上が期待できます。
コンバージョン率が高い
リマーケティング広告の配信対象となるのは、過去に一度でもサイトに来訪した履歴があるユーザーのため、これまで全く接点のなかったユーザーよりも興味度合いが高く、購入や問い合わせに繋がりやすいです。
つまり、既に商品やサービスを知っている意欲的なユーザーに対して集中的にアプローチができるため、高いコンバージョン率を期待できます。
商材によっては、リマーケティング広告が適していないケースもあります。
トラブル対応サービスなど緊急性が高い商材は検討期間が短いため、リマーケティング広告では効果を上げにくい傾向があります。
その場合は、リスティング広告のようなユーザーニーズと連動性の高い広告で対応するのがおすすめです。
リスティング広告について、詳しくはこちらを参照ください。
一方で、緊急性の高くないものや高級商材、選択肢や種類が多い商品については検討期間が長いため、リマーケティング広告の相性がよく、コンバージョン率が高くなりやすい傾向にあります。
リマーケティングの注意点
リマーケティング広告を配信しても、なかなか成果が出ないこともあります。
そういう場合は以下のポイントに注意してみてください。
- リストの設計に左右される
- リストの母数が溜まっていない
- リストの配信設定を間違えている
リマーケティング広告の注意点を、以下よりくわしく解説します。
リストの設計に左右される
リマーケティング広告の成果は、ユーザーリストの設計に大きく左右されます。どのようなユーザーをリスト化して、どのように運用コントロールをしていくのかを事前に設計することが大切です。
ユーザーの興味や購買意欲の度合いによってリスト分けを行ない、質の高いユーザーリストを作成することが非常に重要になります。
サイトのどの地点、どのページで離脱したユーザーか、どのくらいの期間内にサイトに訪問したユーザーかで、リストの質が決まります。
例えば、「ランディングページ→問い合わせフォーム→サンクスページ」というサイト構成の場合、フォームまで到達したユーザーのみをリストに含めるのか、ランディングページを訪問したユーザーすべてを配信対象リストに含めるのかでリストの質が異なります。
フォームまで到達したユーザーのみにすれば、母数は少なくなりますが商品への興味はかなり高いでしょう。一方で、ランディングページを訪問したユーザーすべてを対象にすれば、母数は多くなりますが商品にあまり興味のないユーザーも含めることになります。
リストの母数が溜まっていない
リストの母数(配信対象リストのユーザー数)が蓄積されていないと、リマーケティング広告を配信するメリットが少なくなってしまいます。
Googleのリマーケティング広告の場合は最低でも100、Yahoo!の場合は最低1,000件のリストが必要です。最低リスト数に到達しないと、そもそもリマーケティング広告を配信できないので注意が必要です。最低リスト数を超えていたとしても、ギリギリの母数しかない場合は配信できてもほとんど表示されない可能性もあります。
リマーケティング広告の配信は、ある程度リストの母数が溜まってから行うのをおすすめします。
リストの配信設定を間違えている
リマーケティング配信を行なう際に、リストの配信設定を間違えていると当然配信はされなくなります。
よくある間違いとして、Google 広告で配信設定を「モニタリング」にしてしまうことで、ターゲットリストに限定した広告配信ができていない状況があります。
モニタリングは全体に広告配信をし、特定のユーザーの配信結果を取り出す機能です。はじめからリストを限定して広告を配信するには「ターゲティング」を設定する必要があります。
モニタリングとターゲティングは混同されやすいので、設定時には注意が必要です。
参照:「ターゲティング」と「モニタリング」設定について – Google 広告 ヘルプ
Google 広告の場合は、「リマーケティング」メニューの「オーディエンス」から「ターゲット設定」にチェックを入れることで設定できます。
リマーケティング広告が配信できる媒体
リマーケティング広告を配信できるのはGoogleやYahoo!だけではありません。
以下の7つの代表的な広告媒体でもリマーケティング広告を作成・配信できます。
- Google広告(GDN)
- Yahoo!広告(YDA)
- Facebook広告
- Instagram広告
- LINE広告
- Criteo広告
- X(旧Twitter)広告
リマーケティング広告で必要な3つの事前設定
リマーケティング広告を配信するには、以下の3つの事前設定が必要です。
- リマーケティングタグの設置
- リマーケティングリストの作成
- リマーケティング配信予定のキャンペーン(または広告グループ)との紐付け設定
これらの事前設定について、Google 広告とYahoo!広告を例に詳しく解説していきます。
リマーケティングタグの設置
リマーケティング用のタグを自社サイトに設定する主な方法として、以下の2つの方法があります。
- 自社サイトのコードに直接追加
- Googleのタグマネージャーを使って追加
今回は、Googleのタグマネージャーを使って追加する方法を解説します。
<コンバージョンID取得の流れ(Googleの場合)>
- 「ツール」→共有ライブラリ内から「オーディエンスマネージャー」に入り、
「データソース」のGoogle広告タグ詳細をクリック - 画面下部の「タグを設定する」の「Googleタグマネージャーを使用する」をクリック
- コンバージョンIDをコピー
<リターゲティングID取得の流れ(Yahoo!の場合)>
- 共有ライブラリー内から「ターゲットリスト」に入り、「オーディエンスソース」のサイトリターゲティングタグをクリックをし、「タグ・IDを表示」
- カスタムオーディエンスID(サイトリターゲティングID)もしくはサイトジェネラルタグ・サイトリターゲティングタグのソースコード内の「”yahoo_retargeting_id”」に記載のあるIDをコピー
<グローバルサイトタグ設置の流れ(Googleの場合)>
- 「Googleタグマネージャー」内の「タグ」で新規作成
- タグタイプの選択で「Google広告のリマーケティング」を選択
- コピーしたコンバージョンIDを入力し、トリガーを「All Pages」に設定
- 作成したタグにチェックを入れ、プレビューで動作確認をして「公開」を行い完了
<サイトジェネラルタグ・サイトリターゲティングタグ設置の流れ(Yahoo!の場合)>
- テンプレートの「タグテンプレート」から検索ギャラリーをクリックし、
- 検索窓でYahooを検索し、「Yahoo広告 サイトジェネラルタグ」「Yahoo広告(ディスプレイ広告) – サイトリターゲティングタグ」を選択し、ワークスペースに追加する
- タグから新規でタグの設定をクリックし、
- 2で追加した種類のタグに、それぞれのタグを設定
- サイトリターゲティングタグは「yahoo_retargeting_id」にIDをペースト。サイトジェネラルタグ・サイトリターゲティングタグともにトリガーを「All Pages」に設定
- サイトリターゲティングタグは、詳細設定にあるタグの順序付けの「任意の名称(リターゲティングタグ)が発効する前にタグを配信」にチェックをし、設定タグを「任意の名称(サイトジェネラルタグ)」を選択
- 作成したタグにチェックを入れ、プレビューで動作確認をして「公開」を行い完了
リマーケティングリストの作成
自社サイトにグローバルサイトタグを設定できたら、ユーザー条件を設定し、リマーケティングリストを作成します。
<リマーケティングリスト作成の流れ(Googleの場合)>
- 「オーディエンスマネージャー」内の「オーディエンスリスト」から、青い十字ボタンをクリックし「ウェブサイトを訪れたユーザー」を選択
- 対象URLや有効期間等の必要情報を入力し、「セグメントを作成」をクリック
<オーディエンスリスト作成の流れ(Yahoo!の場合)>
- 共有ライブラリー内から「オーディエンスリスト」に入り、「オーディエンスリスト」の「オーディエンスリストを作成」をクリックし、「ウェブサイト訪問ユーザー」を選択
- 対象URLや有効期間等の必要情報を入力し、「作成」をクリック
キャンペーン(または広告グループ)との紐付け設定
リマーケティングリストを作成できたら、リマーケティング配信予定のキャンペーン(または広告グループ)との紐付け設定を行います。紐付けしないと広告を配信できないので、必ず設定が必要です。
<リマーケティングリストと配信リストを紐付けする流れ(Googleの場合)>
- 「オーディエンス、キーワード、コンテンツ」→「オーディエンス」から「オーディエンス セグメント を追加」をクリック
- 「キャンペーン」もしくは「広告グループ」からオーディエンス セグメントを編集するレベルを選択
- 紐付けたいキャンペーンもしくは広告グループを選択
- 「ターゲティング」を選択
- 「閲覧」にある「ユーザーがお客様のビジネスを使用した方法」を選択
- 作成したリマーケティングリストを選択し、「保存」をクリック
<リマーケティングリストと配信リストを紐付けする流れ(Yahoo!の場合)>
- 「オーディエンスリスト」タブから紐付けたいキャンペーンと広告グループを選択をし、決定して進むをクリック
- 「オーディエンスリストを指定して配信」の選択をし、事前に作成したオーディエンスリスト名の配信にチェックを入れて、設定をクリック
標準的なリマーケティングリスト作成のポイント
リマーケティング広告のリスト作成には、以下のポイントに沿って作成することをお勧めします。
- サイトのどのページに訪問したユーザーに配信するか決める
- コンバージョンまでの期間を把握する
- 申し込み手前で離脱したユーザーリストを作る
- 目標達成(コンバージョン)したユーザーをリストから除外
- 条件の切り口を変えて多様なリストを試す
リスト作成の標準的なポイントについて、詳しく解説します。
サイトのどのページに訪問したユーザーに配信するか決める
リマーケティングリストを作成するときは、Webサイトのどのページに訪問したユーザーに配信するか決めるのがポイントです。
サイトのどのページに訪問したかで、ユーザーの訪問意図や興味、購買意欲の度合いを推測できます。
例えば、商品ページや購入ページ、問い合わせフォームに訪問したユーザーは比較的購買意欲が高いと考えられます。
一方で、トップページだけ訪問してすぐに離脱したユーザーは、商品やサービスの認知はしているが購買意欲は低いと考えられるでしょう。
このように、ユーザーのファネル(行動の段階)ごとにリスト設計をすることを意識する必要があります。
リスト作成の際には、LPや商品ページだけでなく、コラムなど記事ページを閲覧しているユーザーも対象に含めて設計していくことをおすすめします。
コンバージョンまでの期間を把握する
商品によって、ユーザーが比較検討してから購入(コンバージョン)に至るまでの期間は異なります。
衝動買いできるようなものであればコンバージョンまでの期間は比較的短くなりますし、高級品やリフォームなどは、比較検討に時間を要しますので比較的長めに設定しても一定の効果を得られる傾向にあります。
リマーケティング広告では「◯日以内に訪問したユーザー」というように、ユーザーの検討期間を考慮したリスト設計が可能です。リスト作成時は、商材の性質も考慮に入れながら日数を設定することをおすすめします。
設定できる日数は最長で540日です。
申し込み手前で離脱したユーザーリストを作る
フォームやカートページまで辿り着いたものの購入直前で離脱したユーザーは購買意欲があると考えられます。
一般的に、離脱したユーザーは初回訪問から7日以内に再度訪れてコンバージョンする可能性が高いです。
そのため、リスト作成時には「申し込み手前で離脱したユーザーリスト」を別途作成することをおすすめします。
フォームやカートページといった深い階層まで来訪した購買意欲の高いユーザーリストを作成し、適切なタイミングでリマーケティング広告を配信できれば、コンバージョン率の向上が期待できるでしょう。
目標達成(コンバージョン)したユーザーをリストから除外
目標達成(商品を購入やお問い合わせ等のコンバージョン)したユーザーをリストから除外することもできます。
一度コンバージョンしたユーザーが短期間のうちに再度コンバージョンする可能性は低く、無駄な広告配信に繋がってしまうリスクがあります。
リピート商材など再コンバージョンを促したい場合は、専用のリストを作成して広告配信することをおすすめします。
条件の切り口を変えて多様なリストを試す
リマーケティング広告では、さまざまな条件でリストを作成できます。
Googleアナリティクスと連携させると、より細かい条件でリストの作成が可能です。
<作成できるリストの例>
- ◯日以内にサイトに訪問したユーザーのリスト
- 特定のデバイス(スマートフォンなど)を使用しているユーザーのリスト
- 特定の年齢・性別のリスト
さらにユーザーの行動を細かく特定することで、コンバージョンを促すような広告をピンポイントで作成し、配信できます。
条件の切り口を変えて多様なリストを作成し、それぞれのリストに合ったクリエイティブを作成することで、より成果につながる広告配信をすることができます。
リマーケティングリスト活用のコツ:配信だけでなく除外にも使う
作成したリストは、配信リストだけでなく除外リストとしても活用できます。
例えば、商品を購入していないユーザーに限定して広告を配信する場合、リストを以下のように設計できます。
- 商品を購入したユーザー:リマーケティングリストを「除外」リストとして活用
- 商品を購入していないユーザー:リマーケティングリストを「配信」リストとして活用
サイトに訪問したユーザーのなかで、コンバージョン(購入や申込みなど)に至らなかったユーザーに限定して広告を再度配信して、購入見込みのあるユーザーにだけアプローチを仕掛けることで広告費用の削減や広告のクリック率やコンバージョン率の向上を図ることができます。
リマーケティング広告でより効率的に集客しよう
リマーケティング広告は、自社サイトを訪問して離脱したユーザーに広告を配信し、再訪問やコンバージョンを促す広告です。Google 広告やYahoo!広告をはじめ、FacebookやLINE広告、X(旧Twitter)広告などで配信できます。
各広告媒体の管理画面からグローバルサイトタグを取得し、自社サイトに設置することでユーザーのCookie情報を特定でき、リマーケティング広告配信リストを作成できます。
さまざまな条件で多様なリストを作成し、適切なタイミングで広告を配信できれば、コンバージョン率の向上が期待できるでしょう。
なお、運用型のディスプレイ広告は、細かい設定を適切に行うことが必須です。適切なクリエイティブ、タグ設定、オーディエンスリスト作成、地域、配信面の設定など、項目は多岐にわたります。
一口にリマーケティング広告といっても事前設計や手法により配信パターンはさまざまです。
ユーザーの質や訪問ユーザーのモチベーションごとのリスト設計、ユーザーの意図を汲んだクリエイティブで成果が左右される複雑な広告となっています。
リマーケティング配信の成果に伸び悩んでいる、もしくはそもそも運用の設計でつまずいている場合は、広告運用の経験が豊富な代行会社に依頼することも検討しましょう。を
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