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ECサイトの作り方・構築方法|種類や手順・ポイント・費用を解説
自社商品の認知度・売上を高めたい、顧客層を広げていきたいと考えている方のなかには、ECサイトの制作を検討している方も多いのではないでしょうか。
ECサイトは、時間や場所の制約がなく幅広い顧客に商品を販売できるマーケティング手法です。自社に見合ったECシステムを使って立ち上げることで、ビジネスの成長と成功を促せます。
本記事では、ECサイトの作り方について解説します。ECシステムの種類や特徴、成功のポイント、費用相場などを解説しますので、どのようにECサイトを作ればよいか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
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ECサイトの作り方・構築方法の種類
ECサイトを作るときに必要な構築システムは以下の通りです。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ECモール | 集客力に優れている | オリジナリティを出しにくい |
ASP | 専門知識不要ではじめやすい | カスタマイズの自由度が低い |
クラウドEC | 常に最新の状態でシステムを利用できる | ある程度のコストが必要になる |
パッケージ | 拡張性や機能が充実している | 定期的なアップデートが必要になる |
オープンソース | デザインの自由度が高い | セキュリティ面に懸念がある |
フルスクラッチ | ゼロから自由に設計できる | 莫大なコストと時間がかかる |
それぞれのメリットとデメリットを把握して、自社の目標を実現できる構築システムを選択しましょう。
ECモール|複数のショップが集まるプラットフォーム
ECモールとは、オンライン上に複数のショップを集めたプラットフォームのことです。具体的には、Amazonや楽天市場などのECサイトが該当します。
メリット | デメリット |
---|---|
・集客力がある ・専門知識が不要 | ・ランニングコストがかかる ・マーケティング施策を立てにくい |
ECモールの最大のメリットは、すでに高い知名度を誇るため、ほかのシステムに比べて集客力が強い点です。既存のプラットフォームに出店することで、はじめての出店者でもある程度の売上が見込めるでしょう。
一方、デザインの自由度が低く、機能のカスタマイズにも制約がある点はデメリットといえます。初期費用やランニングコストも発生するため、事前に必要な費用をしっかり確認しておくことが重要です。
ASP|手軽にはじめたい初心者向け
ASPとは、クラウド上でシステムを構築できるサービスのことです。主に「無料ASP」と「有料ASP」の2種類があります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
無料ASP | ・初期費用や月額利用料が無料 ・専門知識が不要 | ・決済手数料が高い ・カスタマイズの自由度が低い |
有料ASP | ・無料ASPより機能が充実している ・カスタマイズしやすい | ・月額利用料が発生する ・オリジナリティを出すのが難しい |
無料ASPはコストがかからず、手軽にはじめられる点が魅力です。システムに関する知識がないECサイト初心者でも、かんたんに立ち上げられます。デメリットとして、自由度が低く、既存の自社システムとの連携が難しい点には注意が必要です。
一方、有料ASPは機能の拡張性やサポートが充実しているため、より柔軟な運営ができます。最新のトレンドやニーズに応じた新サービスの利用も可能です。ただし、売上がないときでも月額利用料が発生するため、コスト面での負担がデメリットとなるでしょう。
クラウドEC|クラウド上のプラットフォームを使用
クラウドECは、クラウド上のプラットフォームを利用してECサイトを構築できるサービスです。ASPとパッケージのメリットを兼ね備えており、さらなる売上アップを目指したいときに適しています。
メリット | デメリット |
---|---|
・常にシステムが最新状態を保てる ・デザインや機能のカスタマイズができる | ・コストがある程度かかる ・ソースコードの把握ができない |
クラウドECの最大のメリットは、自動でシステムが更新されるため、常に最新の状態を維持できる点です。必要なサービスのみを選んで利用するカスタマイズも可能で、コストを抑えた運営ができます。
一方、ソースコードが開示されていないため、自社管理に移行できない点がデメリットです。さらに、自社のプラットフォームではないため、サービス提供会社が倒産した場合、突然ECサイトの運営ができなくなるリスクがあることを認識しておきましょう。
パッケージ|必要な機能をパッケージ化
パッケージは、ECサイトの構築に必要な機能が一式として提供されるシステムです。カート機能や顧客管理など、ECサイト運営に欠かせない基本的な機能がそろっています。
メリット | デメリット |
---|---|
・拡張性や機能が充実している ・デザインをカスタマイズできる | ・コストがかかる ・システムが古くなる |
パッケージは必要に応じて機能を追加でき、構築にかかる時間が短い点が大きなメリットです。デザインの自由度も高く、自社のオリジナリティを反映させたいときにも適しています。
一方で、初期費用やランニングコストが高いため、売上が見込めない企業には不向きです。また、システムが古くなる可能性があるため、顧客のニーズやトレンドにあわせて定期的なアップデートが求められます。
オープンソース|カスタマイズ性が高い
オープンソースは、無料で公開されているソースコードを使って自由にECサイトを構築するシステムです。代表的なCMSとして「WordPress」が広く利用されており、SEO対策やブログ運営に適しています。
メリット | デメリット |
---|---|
・使用料がかからない ・デザインの自由度が高い | ・専門的な知識や技術が必要 ・セキュリティ面に要注意 |
オープンソースの利点は、誰でも無料でソースコードを利用できるため、サイトに必要な機能を自由に追加できる点です。ライセンス費用も発生しないため、コストを抑えつつオリジナリティあふれるECサイトを構築できます。
しかし、オープンソースを活用するには、プログラミングやシステムに関する一定の技術力が必要です。不具合や障害が発生した場合は自社での対応が求められるため、セキュリティ対策に関する知識も重要となるでしょう。
フルスクラッチ|ゼロから独自で構築可能
フルスクラッチとは、ゼロからプログラミングを用いて完全オリジナルのECサイトを構築する方法です。「ユニクロ」や「ZOZOTOWN」など、主に大規模なECサイトが採用しています。
メリット | デメリット |
---|---|
・ゼロから自由に設計できる ・備えたい機能をすべて装備できる | ・莫大なコストがかかる ・構築に時間がかかる |
フルスクラッチの最大の魅力は、デザインや機能性において自由度が非常に高い点です。システム全体を自社で開発・管理するため、不具合やトラブルが発生した際にも迅速に対応できます。
ただし、システムの構築には、以下のようなプログラミング知識が必要です。
- HTML
- Python
- Java
- JavaScript
- PHP
フルスクラッチでECサイトを構築するには、プログラミングに関する専門的な技術をもつ人材の確保が不可欠です。また、初期費用やランニングコストが高額なため、年商が数十億円規模でないとフルスクラッチの導入は現実的ではないでしょう。
ECサイトの作り方・構築方法【8ステップ】
ECサイトの作り方は、以下の8ステップです。
- 運営方針を決める
- 要件定義をおこなう
- カートシステムを選定する
- 決済方法を選定する
- サイトのデザインを制作する
- 商品登録・諸設定をおこなう
- テスト注文をする
- オープンする
ひとつずつ解説していきます。
1.運営方針を決める
まずは、どのようなECサイトを運営したいのか方針を明確にしましょう。具体的には、以下の点を検討する必要があります。
- どのような商品を販売したいのか
- どのくらいの売上規模を目指すのか
- どのくらい予算があるのか
- どのような価値を提供したいのか
- 運営や制作は誰が担うのか
少なくとも、提供する商品や構築費用については明確にしておきましょう。とくに、費用はECサイトの運営に大きな影響を与えるため、自社のリソースや予算に見合っているかを慎重に検討することが重要です。
2.要件定義をおこなう
運営方針が決まったら、必要な機能やカートシステムなどの仕様を定義していきます。要件定義とは、ECサイトで実現したいことを具体的に決めるプロセスです。
たとえば、サブスクリプションモデルや定期販売を取り入れたい場合は、定期サービスに対応したカートシステムを選ぶ必要があります。一方で、特別な機能が不要であれば、一般的な構築システムで問題ありません。
どのような機能が必要で、取り入れたいものは何かを要件定義としてまとめ、社内外の開発メンバーが共通の認識をもてるようにしておきましょう。
3.カートシステムを選定する
要件定義が完了したら、必要なカートシステムを選定します。カートシステムとは、ECサイトにおける決済機能を備えたシステムのことです。運営上、日常的に使用するものであるため、できるだけ操作がスムーズでストレスが少ないシステムを選びましょう。
提供するサービス会社によって、月額利用料やサポート内容は大きく異なります。自社の要件にあったカートシステムをいくつか選定し、それぞれの見積もりを取り寄せて比較・検討しましょう。
4.決済方法を選定する
次に、ECサイトで導入する決済方法を選定します。数ある決済手段のなかでも利用者の多い「クレジットカード」と「コンビニ決済」は最低限対応しておきましょう。
ECサイトの売上を伸ばすためには、ユーザーが複数の決済方法から選べるようにすることが重要です。使い慣れた決済方法がないECサイトは、ユーザーに不便を感じさせ、離脱を招きやすくします。
最近では電子マネーやコード決済など、さまざまな決済手段が普及しています。自社のECサイトに訪れるユーザー層を想定し、適切な決済方法を選定しましょう。
5.サイトのデザインを制作する
ECサイトのデザインはブランドイメージを大切にしつつ、ユーザーにとって使いやすいものを目指すことが重要です。構築システムには、多くのデザインテンプレートが用意されているものの、商品の詳細ページに使用する画像は自社で制作する必要があります。
画像制作でポイントとなるのが「購入へのつながりやすさ」です。商品画像は複数枚用意し、質感やサイズ感、使用イメージがしっかり伝わるようにしましょう。
商品ページから購入に至るまでの導線を意識したリンク配置や、ページの読み込み速度の改善など、ECサイトの回遊性を高める工夫も大切です。売上に直結するサイトデザインを意識し、制作に取り組んでいきましょう。
SEOに効果的な内部リンクの設置については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
サイトの表示速度を分析できるツールについては、以下の記事で詳しく解説しています。ツールの使い方を知りたい方は、こちらもあわせて確認してみましょう。
6.商品登録・諸設定をおこなう
デザインが完成したら、ECサイトで販売する商品の情報を登録します。商品の画像や説明文をデータとして作成し、CSVファイルを使って一括登録しましょう。
商品情報のデータ作成には時間がかかるため、あらかじめ作業時間を見込んでおくことが重要です。ECサイトの制作と並行して写真や説明文を準備しておけば、スムーズに進行できます。
商品登録後は、必ず価格や商品説明に誤りがないか確認をし、間違った情報が掲載されないよう慎重に準備を進めましょう。
7.テスト注文をする
ECサイトオープンの準備が整ったら、最後にテスト注文を実施します。ECサイトで問題なく購入できるか、受注処理がスムーズにおこなわれるか、実際にカートシステムを使って確認しましょう。
さらに、商品の決済から顧客への確認メール送信など、さまざまな項目について抜け漏れがないかをチェックします。もし問題点が見つかればすぐに改善し、スムーズに利用できる状態に整えておきましょう。
8.オープンする
テストが完了すれば、いよいよECサイトのオープンです。ECモール以外の構築システムの場合、自然にアクセス数が増えるわけではないため、集客施策が必要になります。
たとえば、SNSで告知をしたり、プレスリリースを配信したりして、幅広いユーザーに認知してもらえるようにしましょう。そのあとも、ユーザーの流入経路やCVRなどさまざまなデータを計測し、定期的に分析をおこなうことも重要です。
分析と改善を繰り返しながら、自社の目的を達成するECサイトにしていきましょう。
ECサイトを作るときの費用相場
ECサイトの制作にかかる費用は「10~1,000万円以上」と幅広くなっています。主な理由は、使用するシステムや機能によって費用が大きく異なるためです。
また、構築システムによっては無料で利用できるものもあれば、初期費用が低くても月額利用料が高いものもあり、料金形態の違いにも注意が必要となります。費用相場を参考にしながら、自社の目標や予算に合った構築システムを選択していきましょう。
ECサイトの詳しい構築費用については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
ECサイトの作り方・構築方法で押さえたい5つのポイント
ECサイトを作るときに押さえておきたい主なポイントは、以下の5つです。
- 自社の売上規模に見合ったECシステムを選択する
- SEO対策をしてアクセスを増やす
- 必ずセキュリティ対策をおこなう
- 定期的にアップデートをおこなう
- サポート体制が整っているかを確認しておく
内容をしっかり把握して、自社のECサイト作りに取り組んでいきましょう。
自社の売上規模に見合ったECシステムを選択する
ECシステムを選択する際は、自社の売上規模に見合ったものを選ぶことが非常に重要です。システムの構築と運営には、以下のようなコストがかかります。
- 販売手数料
- 決済手数料
- システム利用料
- オプション手数料
- 振込手数料
売上に見合わないシステムを選ぶと費用だけがかかり、利益を上げるのが難しくなってしまいます。初期費用だけではなく、運営にかかるランニングコストも考慮し、自社の売上規模やビジネスの成長にあわせて最適なECシステムを選びましょう。
SEO対策をしてアクセスを増やす
ECサイトの集客手段のなかで、もっとも重要なのがSEOです。SEO対策を実施することで自然検索からのアクセスを増加させ、購買意欲の高いユーザーを効果的に獲得できます。
主なSEO対策は、以下の通りです。
SEO対策 | 具体的な内容 |
---|---|
キーワードリサーチ | 商品ページやブログ記事に盛り込む適切なキーワードをリサーチする |
コンテンツの最適化 | 商品説明やブログ記事の内容を充実させる |
内部リンクの設置 | サイト内の回遊性を高める |
また、アイテム数が少ないECサイトはGoogleからの評価が上がりにくく、検索結果で上位に表示されるのが難しくなります。コンテンツやアイテムを充実させ、より多くのユーザーの目に留まるよう最適なSEO対策を施していきましょう。
SEOで重要なキーワード選定については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
必ずセキュリティ対策をおこなう
ECサイトでは多くの顧客情報を取り扱うため、十分なセキュリティ対策が必須です。サイトではクレジットカード情報の登録もおこなわれるため、万が一情報漏洩が発生した場合、顧客に甚大な被害を与えるだけではなく、自社の信用も大きく損なわれてしまいます。
ECシステムを選定する際は、どのようなセキュリティ対策が施されているかを必ず確認しましょう。サイトのセキュリティを強化することで顧客は安心して利用でき、新規顧客の獲得やリピーターの増加につながりやすくなります。
定期的にアップデートをおこなう
主に以下のECシステムは、定期的なアップデートが必要です。
- パッケージ
- オープンソース
- フルスクラッチ
アップデートを怠るとシステムが古くなり、システムエラーやアクセス不能といった不具合が生じる恐れがあります。セキュリティ面でも脆弱になり、顧客が安全に利用できないECサイトになってしまうリスクが高まるでしょう。
ECサイトは一度制作したら終わりではなく、定期的なアップデートを重ねることが重要です。時代のニーズやトレンドにあわせて、ECサイトを進化させていきましょう。
サポート体制が整っているかを確認しておく
ECサイトの制作や運営において不具合や不明点が発生した場合、どのようなサポートを受けられるかを事前に確認しておくと安心です。
とくに、ECサイト初心者や自社に専門的な知識をもつ人材がいない場合、サポートなしでの運営は不安が多く残ります。また、大規模なECサイトになるほどシステムは複雑化し、サポートが必要となる場面も増えてくるでしょう。
サポート体制はECシステムによって異なり、手厚さにも差があります。多少の費用がかかっても、安心してECサイトを運営するために必要な投資として、サポート体制を整えておきましょう。
ECサイトを作ってビジネスの幅を広げよう
ECサイトとは、インターネットで自社の商品やサービスを販売するサイトのことです。
ECサイトを作るには、6つのECシステムから自社に適したものを選択する必要があります。コストや制作にかかる時間などを考慮し、スムーズな運営を実現できるECシステムを見つけましょう。
自社でECサイトの立ち上げが難しいときは、支援会社に依頼するのも方法のひとつです。専門的な知識と経験をもとに立ち上げられるほか、維持管理のサポートも受けられます。
LANYでは、サイトの制作からリニューアルまで包括的に支援しております。ECサイトの制作でお悩みの方は、ぜひ一度LANYへご相談ください。