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BtoB向けリスティング広告の運用ポイントは?成果を出す戦略を解説
本記事では、BtoBに特化したリスティング広告の運用方法を徹底解説します。
検索ボリュームが少なく高CPC(クリック単価)な環境でも成果を出すには、効果的なキーワード選定が重要です。加えて、ターゲティングの精度向上やマイクロコンバージョン設計、配信時間帯の最適化など、具体的な施策を組み合わせることで、より高い成果が期待できます。
これらの手法を適切に実践することで、高額・特殊なBtoB商材でも営業部門から評価される「質の高い問い合わせ」の獲得につながる可能性が高まるでしょう。
LANYでもリスティング広告の運用代行を実施しており、お客様の商品やサービスの内容をもとに、集客・成果に貢献いたします。現役最前線で活躍する担当者が成果につながる広告戦略を提案しているので、広告運用に課題を感じる方はお気軽にお問い合わせください。
BtoBのリスティング広告とは?

BtoBのリスティング広告とは、企業向けの商材やサービスを検索エンジン上で宣伝し、見込み顧客を獲得する広告手法です。BtoBリスティング広告の基本的な概念と、その仕組みや種類について紹介します。
- リスティング広告の仕組み
- リスティング広告の主な種類
まずは、リスティング広告の基本を理解し、効果的な広告戦略を立案する知識を身に付けましょう。
リスティング広告の仕組み
リスティング広告は、ユーザーの検索行動に連動して広告が表示される「検索連動型広告」の一つです。ユーザーが検索エンジンで入力したキーワードに基づき、広告が検索結果ページに掲載されます。
たとえば「BtoB マーケティングツール」と検索すれば、そのニーズに関連した広告が表示される仕組みです。広告の掲載順位は「広告オークション」で決まり、主に以下の2つの要素によって評価されます。
入札単価 | 広告主が設定する、キーワードごとに支払う最大金額 |
---|---|
広告の品質 | 広告文の関連性、クリック率の見込み、遷移先ページの利便性などが評価される指標 |
これらを掛け合わせた「広告ランク」によって掲載順位が決まるため、単に高い入札単価を設定するだけではなく、広告の品質改善も成果に直結します。さらに、クリックされるまで課金されない「クリック課金型(PPC: Pay Per Click)」であるため、ターゲットとなる見込み客に対して効率的に広告費を投下できるのも特徴です。
広告の品質について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。



リスティング広告には代表的な3つの媒体があります。
配信面やボリューム、クリック単価などに違いがあるため、目的や商材に合わせた使い分けが重要です。
媒体 | 配信面 | 特徴 | CPCの傾向 |
---|---|---|---|
Google広告 | Google検索、検索パートナー | 国内検索エンジンでシェア1位。リーチ数が最大でBtoBでも主力媒体。 | 高め |
Yahoo!検索広告 | Yahoo! JAPAN、提携パートナー | 月間8,500万人以上が利用。40代以上の利用が多く、CPCも比較的抑えめ。 | 普通 |
Microsoft広告 | Bing | 配信量は少ないがCPCが低め。競合が少なく、効率良く成果が狙える。 | 低い |
企業のマーケティング戦略や目的に応じて、これらの広告の種類を適切に選択し、場合によっては組み合わせて活用しましょう。
Google広告・Yahoo!広告については、以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。


BtoCリスティング広告との違い
BtoBリスティング広告が、一般的な消費者向けのBtoCリスティング広告と比べてどのような違いがあるか紹介します。企業間取引を対象とするBtoBマーケティングでは、広告戦略を立てる上でBtoCとの違いを理解しておくことが非常に重要です。
- 検索ボリュームが小さい
- ターゲットが限定されやすい
- CPCが高い
- 検討期間が長い
これらの違いを知ることで、BtoB特有の課題に対応し、より効果的な広告運用を目指せます。
1.検索ボリュームが小さい
BtoB向けのキーワードは、BtoC向けに比べて検索ボリュームが全体的に少ない傾向があります。これは、広告の対象が不特定多数の消費者ではなく、特定企業の担当者に限定されるためです。
たとえば「ワイヤレスイヤホン おすすめ」のようなBtoCキーワードは、月間数万回以上検索されることがあります。しかし、「人事評価システム 中小企業」といったBtoB向けの専門的なキーワードでは、数百回程度にとどまるケースも珍しくありません。
BtoB商材は取り扱う分野が専門的であり、検索するユーザー層も限定されるためです。こうした特性から、BtoBリスティング広告では、大量のアクセスを狙うよりも、ターゲットと合致した「質の高いアクセス」をいかに獲得するかが成功の鍵となります。
2.ターゲットが限定されやすい
BtoCの場合、ユーザーの興味・関心によってさまざまなターゲットを想定できるため、戦略にあわせたターゲットを設定しやすいのが特徴です。
一方、BtoBのターゲットは、サービス・製品を利用するであろうユーザーに絞られるため、ターゲットが限定されやすい点にBtoCとの違いがあります。
ターゲットが限られることから、リスティング広告で対策すべきクエリのバリエーションが比較的少なく、他社との競合が発生してCPCが高くなったり、ニッチなキーワードにはそもそも広告枠がなかったりする点に注意が必要です。
LANYでは、ある程度ターゲットが限定されているなかでも、ニーズを絞り込んでクエリを選定したり、競合性が高いクエリでもなるべく費用をおさえて配信する方法を模索したりするなど、細かい調整や運用を行っています。
3.CPCが高い

BtoBリスティング広告では、1クリックあたりの広告費用である「CPC(クリック単価)」が、BtoC広告と比較して高くなる傾向があります。
これはBtoB商材の特性によるもので、企業向けの製品やサービスは取引単価が高く、契約後に長期的な関係に発展しやすいため、LTV(顧客生涯価値)も高くなります。その分、広告主にとって1クリックの価値が大きく、入札単価が上昇しやすい構造になっているのです。
したがって、BtoB広告においてはCPCの引き下げそのものを目的にするのではなく、いかに成果につながるクリックを効率良く集められるかが問われます。無駄な広告費を抑えるには、精度の高いターゲティングや除外キーワードの設定が基本です。また、ROASやCPAといった費用対効果を指標に、適切な入札戦略と予算配分を行うことが成果につながります。
4.検討期間が長い
BtoB商材の導入や購入は、BtoCと比べて検討期間が長くなる傾向があります。個人が数日で意思決定する買い物とは異なり、企業では情報収集や複数ベンダーとの商談、社内稟議、契約など複数のステップを踏むため、導入までに数ヶ月かかることも珍しくありません。
その間、顧客は以下のような行動をしながら判断を進めます。
- Webサイトの閲覧
- 資料請求
- セミナー参加
- 製品デモ体験
- 営業担当との打ち合わせ
そのため、BtoBリスティング広告では、広告クリック後すぐに問い合わせや成約に至ることは少なく、初期段階での接点づくりが主な役割となります。
資料請求やセミナー申込といったマイクロコンバージョンを評価対象に含め、中長期的な視点で受注や売上への貢献度を測ることが重要です。
また、検討期間の長さから、目標を設定しにくい側面があります。リスティング広告のみで受注を獲得できるケースは稀であり、目標に達していないからといってリスティング広告は効果がないと判断しないことが大切です。
リスティング広告はユーザーとの接点としての役割がメインであるため、SEOやセミナーなどマーケティング全体で効果を測定したうえで、広告に絞った効果の分析を別軸で行い改善につなげましょう。
BtoBリスティング広告のメリット
BtoB企業がリスティング広告を活用することで得られる、主なメリットを3つ紹介します。BtoBマーケティングには特有の難しさがありますが、リスティング広告はその課題を解決する有効な手段となり得ます。
- メリット①見込み顧客に直接アプローチできる
- メリット②広告費を調整できる
- メリット③即効性がある
具体的なメリットを理解し、自社のマーケティング戦略に活かしましょう。
メリット①見込み顧客に直接アプローチできる
BtoBリスティング広告の最も大きなメリットは、自社の製品やサービスを能動的に探している企業担当者に、直接アプローチできる点にあります。これは、リスティング広告がユーザーの検索キーワードに基づいて、広告を表示する対象を絞り込めるためです。
たとえば、ある企業の担当者が業務課題を解決するために「クラウド型勤怠管理システム」と検索した場合、関連するシステムの広告を表示することで、まさに情報を求めているタイミングで自社サービスを認知してもらえます。
効率的に商談につながる可能性のある顧客層へアプローチできる点は、BtoBマーケティングにおいて非常に有効です。
メリット②広告費を調整できる
リスティング広告は、広告費用を柔軟に管理・調整できる点も大きなメリットの一つです。多くのプラットフォームでは、広告がクリックされた分だけ費用が発生する「クリック課金(PPC)」方式が採用されています。
そのため、1日あたりやキャンペーン全体の予算上限を自由に設定できます。たとえば、「今月はこのキャンペーンに10万円まで」など、具体的な金額で管理可能です。また、運用中も管理画面で表示回数・クリック数・コンバージョン数などをリアルタイムに確認でき、データに基づいた入札単価や予算配分の調整が行えます。
「費用対効果が悪いキーワードの単価を下げる」「クリック率の高い広告に予算を追加する」といった柔軟な対応が可能です。テレビCMや新聞広告のように、一度出稿すると修正が難しい従来型広告と比べて、この運用の自由度は大きな利点といえるでしょう。
メリット③即効性がある

リスティング広告は、施策を開始してから効果が現れるまでのスピードが速い、「即効性」もメリットとして挙げられます。一般的に、広告アカウントの設定を行い、広告文やキーワード、ランディングページなどを作成・登録し、プラットフォーム側の審査を通過すれば、すぐに広告の掲載を開始できます。
早ければ、設定した当日から検索結果や提携サイトに広告が表示され、自社サイトへのアクセスを集めたり、見込み顧客からの反応を得たりすることが可能です。
キャンペーンの開始や一時停止、広告内容の変更なども管理画面から迅速に行えるため、市場の反応を見ながら柔軟に対応できます。新製品の発売時や期間限定のプロモーションなど、短期間で成果を出したい場合に特に有効な手法といえるでしょう。
BtoBリスティング広告のデメリット
BtoBリスティング広告を活用する上で考慮すべき、デメリットや注意点について2つ紹介します。
- デメリット①自社運用のハードルが高い
- デメリット②認知拡大に向いていない
BtoBリスティング広告は多くのメリットを持つ一方で、運用には特有の難しさや不得意な側面も存在します。これらの点を事前に理解し、適切な対策を講じることで、リスクを回避し、より効果的な広告運用ができるでしょう。
デメリット①自社運用のハードルが高い
BtoBリスティング広告で成果を出すには、専門的な知識と戦略的な運用が不可欠です。検索ボリュームの少なさ、高いクリック単価、長い検討期間など、BtoB特有の課題を踏まえた運用が求められます。
具体的には、ターゲット企業の業種や規模、担当者の役職に合わせたキーワードの選定。
さらに、意思決定のプロセスに応じた広告文やランディングページの設計・改善が重要です。
もし社内に十分なノウハウやリソースがない場合は、担当者の育成や専門人材の採用を検討するのも一つの手です。また、BtoB領域に強みを持つ広告代理店に運用を委託するのも、有効な選択肢となるでしょう。
LANYでもリスティング広告の運用代行を実施しており、お客様の商品やサービスの内容をもとに、集客・成果に貢献いたします。現役最前線で活躍する担当者が成果につながる広告戦略を提案しているので、広告運用に課題を感じる方はお気軽にお問い合わせください。
デメリット②認知拡大に向いていない

BtoBリスティング広告は、製品やサービスを能動的に探している顕在層へのアプローチに適しています。しかし、企業名や製品をまだ知らない層への認知拡大には限界があります。
検索行動が起点となるため、そもそも検索しない層には情報が届きにくいという特性があるからです。一方、ディスプレイ広告は視覚的に幅広い層へアプローチできる一方で、関心の薄いユーザーにも表示されやすく、費用対効果が下がるリスクも伴います。
特に新規参入フェーズでは、リスティング広告だけで十分な認知を獲得するのは難しいかもしれません。そのような場合は、業界専門メディアでの記事掲載やプレスリリース、展示会出展などと連携し、リスティング広告は比較・検討フェーズを支える役割として活用することが望ましいでしょう。
BtoBリスティング広告の成果を出す戦略設計
BtoBリスティング広告で確実に成果を出すために不可欠な、戦略設計のステップについて紹介します。
- ターゲット設定:ペルソナ設定とマーケティングファネルの活用
- 目標設定:KGI・KPI設計
- 予算策定:目標達成から逆算する投資計画
行き当たりばったりで広告を配信するのではなく、事前の計画段階で「誰に」「何を」「どのように」「いくらで」達成するのかを明確に定義することが、広告投資の成功確率を高める鍵となります。
1.ターゲット設定:ペルソナ設定とマーケティングファネルの活用
BtoBリスティング広告の効果を高めるには、まずターゲット顧客の明確化が欠かせません。具体的には、理想的な顧客像(ペルソナ)を設定し、その人物が購入に至るまでの心理や行動を、マーケティングファネルに沿って整理します。
ペルソナが具体的であればあるほど、適切なキーワードや広告メッセージを設計しやすくなり、無駄なクリックを抑えて費用対効果を高められます。たとえば「従業員300名の製造業、クラウド移行を検討中の情報システム部課長」といった形で、業種や役職、課題、検討状況まで具体化するとよいでしょう。
その上で、ファネルの各段階(認知・関心・比較・導入)ごとに検索行動や求められる情報を想定し、施策を最適化していきます。さらに、特定企業群に絞って戦略的にアプローチするアカウントベースドマーケティング(ABM)の導入も有効です。
2.目標設定:KGI・KPI設計
BtoBリスティング広告では、ターゲットを定めた後、何を達成したいのか明確な目標設定が不可欠です。目標が曖昧だと運用の方向性が定まらず、成果の評価も困難になります。
そこで重要となるのが「KGI(重要目標達成指標)」と「KPI(重要業績評価指標)」です。KGIは最終的なビジネス成果、KPIはその達成に向けた中間指標を示します。
目標の種類 | 具体例 | ポイント |
---|---|---|
KGI | 半年間で有効商談数50件獲得 | 最終的なビジネス成果 |
KPI | 月間リード獲得数(例:資料DL)100件 | KGI達成に必要な中間成果 |
リード→商談の転換率 5% | プロセスの効率を示す指標 | |
商談獲得単価(CPA) 50,000円以下 | 費用対効果を示す指標 |
KGIとして「半年で商談50件獲得」、KPIとして「月間100件の資料DL」などを設定し、プロセスごとの効率や費用対効果も指標化します。これにより改善活動の指針が明確になり、成果も正しく評価できます。
3.予算策定:目標達成から逆算する投資計画
ターゲットと目標が定まったら、次は目標達成に必要な広告予算を計画します。ここで重要なのは「使える金額」ではなく、「目標達成に必要な金額」から逆算して考えることです。
感覚的に予算を決めると、効果が出ない箇所に過剰投資したり、成果が出る前に資金が尽きたりするリスクがあります。予算の算出は、たとえばKPIとして設定した月間リード数と、1リードあたりの想定獲得単価(CPL)を掛け合わせて計算します。
月20件のリードを1件1万円で獲得すると仮定すれば、必要な月間予算は20万円です。また、目標クリック数とCPC(クリック単価)をもとに試算する方法もあります。なお、これらの数値はあくまで目安であり、実際の広告成果に応じて柔軟に予算を見直すことが重要です。逆算による計画は、社内での説明や投資判断の根拠としても有効です。
BtoBリスティング広告の効果を高めるポイント7選
BtoBリスティング広告の成果を最大化するために押さえておきたい、具体的な7つの運用ポイントについて紹介します。戦略設計に基づき広告運用を開始した後も、継続的な改善が不可欠です。
- 購買意欲の高いキーワード&ロングテールキーワードで出稿する
- 除外キーワードを設定する
- ターゲットを絞った価値訴求コピーを作成する
- 広告表示オプションを活用する
- 時間・曜日・デバイス・地域で配信設定する
- マイクロコンバージョンを設定する
- 広告クリエイティブとLPメッセージに一貫性を持たせる
ポイントを実践することで、広告の費用対効果を高め、質の高いリード獲得につなげましょう。
1.購買意欲の高いキーワード&ロングテールキーワードで出稿する

BtoBリスティング広告で費用対効果を高めるには、戦略的なキーワード選定が不可欠です。特に以下のようなキーワードへ注力することが重要です。
- 購買・問い合わせ意欲が高いキーワード
- 「見積もり」「比較」「導入支援」など、検討フェーズのユーザーを狙ったキーワードはコンバージョン率が高い傾向にあります。
- 具体的でニッチなロングテールキーワード
- 「中小企業向け 製造業 在庫管理システム クラウド」などのロングテールキーワードは検索数は少ないものの競合も少なく、高品質なリード獲得につながります。
キーワードプランナーなどのツールを活用し、ターゲットがどのような言葉で検索するのかを深く分析することが、成果に直結する第一歩です。
また、BtoCのニーズが含まれるキーワードにも注意が必要です。たとえば、「アプリストア」というキーワードは、最適なアプリストアを探している一般のユーザーのニーズが含まれます。そのためアプリストア対策を提供しているBtoB企業がリスティング広告を出稿した場合、ターゲットから除外すべきユーザーにもリーチしてしまいます。
「アプリストア」というビッグキーワードよりも、「アプリストア 対策」「アプリストア 最適化」といった複合キーワードの方が、BtoBのニーズに絞りながら出稿できます。データが蓄積され、コンバージョンされるユーザー属性が媒体に学習されたタイミングで、「アプリストア」といったBtoCニーズを含むキーワードにも拡張していくのがポイントです。
リスティング広告のキーワード選定の方法は以下の記事でも詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

2.除外キーワードを設定する
リスティング広告の費用対効果を高めるには、「除外キーワード」の設定が欠かせません。これは、自社の広告を表示させたくない検索語句をあらかじめ除外する機能です。
BtoB広告では、情報収集目的の学生や求職者、個人ユーザーなどによるクリックは、広告費の無駄になります。たとえば、法人向けソフトウェアを提供している場合は、「無料」「個人向け」「求人」「採用」などを除外設定することで、関係のない検索に対する表示を防げます。
また、広告配信後は「検索語句レポート」を定期的に確認し、実際の検索クエリから無駄なクリックにつながる語句を見つけて除外していくことも重要です。除外キーワードを継続的に見直すことで、広告の精度を高め、限られた予算を有効に活用できます。
除外キーワードの設定方法は以下の記事を参考にしてください。

3.ターゲットを絞った価値訴求コピーを作成する
リスティング広告の成果を左右する重要な要素の一つが広告コピーです。特にBtoBでは、ペルソナに刺さる具体的かつ価値重視のメッセージ設計が重要になります。
担当者は機能よりも「自社課題の解決」「導入効果(コスト削減・業務効率化など)」を重視する傾向にあります。広告文では、ターゲットが抱える課題に触れ、それをどう解決できるのか、どのような成果が得られるのかを明示しましょう。
たとえば「高機能なツール」ではなく、「営業を自動化し残業月15時間削減、売上向上を実現するCRMツール」のように、誰に・何を・どう伝えるかが大切です。また「無料トライアル」「資料ダウンロード」など行動を促すCTAも効果的です。
4.広告表示オプションを活用する
リスティング広告の効果を高めるには、基本の広告文だけでなく「広告表示オプション(アセット)」の活用が重要です。これは広告下部や横に補足情報を表示できる機能で、表示面積の拡大により視認性が高まり、クリック率(CTR)の向上や無駄クリックの抑制にもつながります。
BtoB広告では、特に次のオプションが有効です。
オプション名 | 機能概要 | BtoBでの活用ポイント |
---|---|---|
サイトリンク | 広告下部に複数リンクを表示。別ページに直接遷移させる。 | 「導入事例」「料金プラン」「FAQ」など、関心段階に応じた導線を作れる。 |
コールアウト | 短いテキストで特徴・強みを補足表示。クリックは不可。 | 「導入実績〇〇社」「業界No.1」など、信頼性や強みの訴求に有効。 |
電話番号表示 | 広告に電話番号を表示。ワンタップで電話がかけられる。 | すぐに問い合わせたい層向けに、直接のコミュニケーションを促進できる。 |
リードフォーム | 広告内に問い合わせフォームを表示。LP遷移なしで情報取得可。 | スマホユーザーからのリード獲得に効果的。送信率改善にもつながる。 |
これらを組み合わせることで、広告全体の成果向上が期待できます。
5.時間・曜日・デバイス・地域で配信設定する
リスティング広告の費用対効果を高めるには、「いつ」「どこで」「どのデバイスに」広告を表示するかを適切に管理することが重要です。
- 時間帯・曜日によるターゲティングを活用する
- BtoB企業では担当者が平日の日中に情報収集を行う傾向があるため、深夜や週末の配信を制限することで無駄な広告費を抑えられます。
- 地域ターゲティングで商圏に絞った配信を行う
- 商圏が限られている場合には、特定エリアのみに広告を配信するのが効果的です。
- デバイス別の成果を分析し、調整する
- PC・スマホ・タブレットそれぞれのパフォーマンスを分析し、効果の高いデバイスに入札を強化するといった調整も有効です。
これらの配信設定は一度で完了させるのではなく、レポートをもとに定期的に見直し、最適化を図ることが成果の向上につながります。
ただし、各条件の過度な絞り込みは避けましょう。条件を絞り込みすぎると、それだけコンバージョンの母数は減りやすくなり、媒体の学習が進まなくなるおそれがあります。十分に傾向を理解できないまま絞り込むことで、リーチできるはずだったユーザーとの接点を自ら閉ざしてしまうこともあるでしょう。
サービスを提供していない地域や対応時間外など、確実に広告費用が無駄になる場合を除いては、一定期間運用を続けてから配信設定を見直すのがおすすめです。
6.マイクロコンバージョンを設定する
BtoBでは、製品やサービスの検討期間が長く、契約までに時間がかかるのが一般的です。そのため、広告の効果を正しく評価するには、「マイクロコンバージョン」の計測が重要になります。
マイクロコンバージョンとは、資料ダウンロードやセミナー申し込み、料金ページの閲覧といった、契約前の行動を示す中間指標です。BtoB広告ではコンバージョン数が限られるため、こうしたマイクロ指標を追うことで、見込み客の関心度や離脱ポイントを可視化できます。その結果をもとに、以下のような取り組みも可能です。
- 入札調整や広告クリエイティブの改善
- 達成したユーザーをリスト化し、リターゲティング広告で再アプローチ
自社の購買プロセスに合った指標を継続的に分析することが、長期的な成果にもつながるでしょう。
また、マイクロコンバージョンには、リスティング広告の最適化に必要なデータの母数を担保する役割もあります。最終的なコンバージョンの前段階をマイクロコンバージョンとすることで、コンバージョンが発生しやすくなり、ターゲットに即した広告配信に最適化されやすくなるのです。
ただし、マイクロコンバージョンを活用しすぎると、本来発生させたいコンバージョンとは異なる地点でターゲットが最適化され、確度の低いユーザーが集まってしまうこともあります。具体的には、媒体の学習に必要とされる月30~50件のデータが集まっていない場合に、学習に必要なデータが蓄積されるまでマイクロコンバージョンを活用するのがおすすめです。
7.広告クリエイティブとLPメッセージに一貫性を持たせる
リスティング広告をクリックしたユーザーが最初に訪れるページがランディングページ(LP)です。このLPの体験が、問い合わせや資料請求などの次のアクションに大きく影響します。
特に重要なのは、広告文やLPのメッセージに一貫性を持たせることです。ユーザーは広告に書かれたメリットに期待してLPを訪れるため、内容が広告と異なっていたり、強調されていた情報が見つけづらいと、すぐに離脱されてしまう恐れがあります。
たとえば、「製造業向け生産管理システム」と訴求する広告であれば、LPの内容も製造業にフォーカスし、課題解決に直結する情報を中心に構成する必要があります。また、広告のキーワードをLP内に自然に反映させたり、デザインテイストを統一したりすることも重要です。広告とLPを一体として設計し、常に内容に齟齬がないか確認・改善することが、成果向上の鍵となります。
BtoBリスティング広告の効果測定と改善方法
BtoBリスティング広告の成果を客観的に評価し、継続的に改善していくための具体的な方法について紹介します。
- 広告の運用体制や測定ツールを整備する
- CPA・ROAS・ROIなどの重要指標を可視化する
- A/Bテストによる継続的な効果検証・改善を行う
- 営業フィードバックを活かした広告訴求を行う
広告を配信して終わりではなく、データを分析し改善を繰り返すことが、長期的な成功のためには重要です。
1.広告の運用体制や測定ツールを整備する
リスティング広告の効果測定や改善を継続的に行うためには、まず運用体制の構築や測定ツールの整備が必要です。
運用体制としては、リスティング広告の運用を理解している担当者ひとりで完結できる場合もありますが、効果測定にも注力できるよう、クエリリストの作成などのサポートを担えるメンバーがいるとよいでしょう。
効果測定に使用するツールとしては、以下を組み合わせて活用することがおすすめです。
広告媒体の管理画面 | 基本的な指標を把握するのに役立ちますが、クッキー規制などにより取得できるデータに制限がある場合があります。 |
---|---|
サードパーティツール | 指定期間のデータ取得や媒体横断の貢献度分析など、より詳細で正確な測定が可能です。 |
CRMツール/MAツール | 広告起点での商談化・受注など、顧客のステータスの可視化が可能になり、より本質的な広告評価ができます。 |
2.CPA・ROAS・ROIなどの重要指標を可視化する
BtoBリスティング広告の効果を正しく評価・改善するには、CPA・ROAS・ROIといった費用対効果指標の可視化が不可欠です。これらの数値をGoogle広告やアナリティクス、BIツールなどで定期的に確認・グラフ化することで、成果を多角的に判断できます。
- CPA(顧客獲得単価):広告費 ÷ コンバージョン数
- ROAS(広告費用対効果):広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100
- ROI(投資収益率):(利益−広告費) ÷ 広告費 × 100
たとえば、CPAが低くても利益につながらないケースや、CPAが高くても高単価契約によりROIが高いケースもあります。BtoBでは後者のような長期的視点が特に重要です。各指標を比較分析することで、本当に効果のあるキャンペーンやキーワードを特定し、予算配分や改善施策をデータに基づいて最適化しましょう。
また、CPAやROAS、ROIといった指標を追うことも大切ですが、どのキーワードや広告から受注につながったか、広告やWeb経由でどのようなコンバージョンが発生したかといった一次情報の活用も重要です。
媒体で確認できるデータは限定であること、BtoBはデータの母数が少ないことから、限られたデータだけでは広告効果を把握しきれない場合があるため、一次情報から傾向をつかみながら地道な調整を続ける必要があります。
3.A/Bテストによる継続的な効果検証・改善を行う
BtoBリスティング広告で成果を高めるには、データに基づく改善サイクルの実践が欠かせません。その具体策の一つが「A/Bテスト」です。
これは、広告文やLPの見出し・画像・ボタンなどの要素に2パターンを用意し、どちらがより成果を出せるかを比較検証する手法です。たとえば、「機能訴求の見出しA」と「導入効果を強調した見出しB」を用意し、CTRやCVRの数値を比較します。成果が良かったパターンを今後の施策に反映することで、改善の精度が高まります。
重要なのは、一度にテストする項目を1つに絞ることで、どの変更が結果に影響したのかを明確に把握することです。テスト対象は、LPのボタン色や文言、フォームの入力項目数、広告のターゲティング設定など多岐にわたります。こうした仮説検証を継続的に行うことが、ROIを高める鍵となります。
CVR改善については、以下の記事で具体的な施策を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

4.営業フィードバックを活かした広告訴求を行う
BtoBリスティング広告の目的は、単なるリード獲得ではなく、商談や受注につなげて事業成長に貢献することです。そのためには、広告データ(表示回数、クリック数、CPAなど)に加え、営業現場からの定性的なフィードバックを活用することが重要です。
営業担当者は、リードの役職や検討度合い、課題感、失注理由など、実際の接点から多くの情報を得ています。たとえば「特定キーワード経由のリードは商談化しにくい」といった声があれば、広告のターゲティングや訴求を見直すヒントになります。
逆に「特定機能の訴求に反応が良い」とわかれば、それを広告やLPに反映させる改善も可能です。マーケティングと営業が定期的に情報を共有する体制を整えることで、より受注につながる質の高いリード獲得が実現します。
リスティング広告以外におすすめのBtoB広告
BtoBマーケティングにおいてリスティング広告と並行して、あるいは異なる目的で活用できる、おすすめのBtoB広告手法について紹介します。
- ディスプレイ広告
- SNS広告
- 記事広告
リスティング広告は、特定のニーズを持つ顕在層へのアプローチに非常に有効です。その上で他の広告手法と組み合わせることで、より幅広い層へのアプローチや、異なる角度からの訴求が可能になり、マーケティング戦略全体の効果を高められるでしょう。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリ内の広告枠に表示されるバナーや動画形式の広告です。検索連動型広告とは異なり、ユーザーの属性や興味関心、閲覧履歴、または閲覧中のサイト内容に基づいて表示されるのが特徴です。
そのため、自社の製品をまだ検索していない潜在層にもアプローチでき、ブランド認知の向上に適しています。たとえばGoogle Display Network(GDN)を使えば、特定業界のWebサイトに広告を表示したり、自社サイト訪問者に対して他サイト上で広告を再表示するリターゲティングも可能です。

ただし、検索広告に比べてクリック率は低めで、バナーの疲弊などの課題もあります。そのため、主に認知獲得や検討初期層へのアプローチ、リターゲティングに活用するのが効果的です。明確なターゲティングと魅力的なクリエイティブが成果を左右します。
ディスプレイ広告の詳細は以下の記事で紹介しているので、参考にしてみてください。

SNS広告
Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、LinkedInなどのSNS広告は、BtoBマーケティングにも有効です。多くのビジネスパーソンがSNSを活用しており、各プラットフォームで詳細なターゲティングが可能だからです。
特にLinkedInは、企業名、業種、役職、スキルなどのビジネス情報をもとに、特定企業や職種のキーパーソンに広告を届けられます。たとえば「従業員1,000名以上の製造業の購買部門マネージャー」に絞って配信することも可能です。
FacebookやInstagramでは、登録情報や興味関心に基づいて「中小企業経営者」などへのアプローチが可能です。SNS広告はフィード内の自然な表示や動画、リード獲得特化型など多様な形式があります。ターゲットが利用するSNSとその特性を見極め、効果的な広告戦略を展開することが成果につながります。
記事広告
記事広告は、ニュースサイトや業界専門メディアなどに、編集記事と同様の形式で掲載される広告です。「ネイティブ広告」や「タイアップ広告」とも呼ばれ、バナー広告より自然な形で情報を届けられるため、ユーザーに読まれやすいのが特徴です。
製品の背景や開発ストーリー、導入効果や成功事例などを詳しく伝えられ、理解促進や信頼感の醸成につながります。たとえば、特定業界向けの専門メディアで、自社製品が解決できる課題や技術的な優位性を紹介する記事を配信することで、深い関心を引き出すことが可能です。
ただし「PR」「広告」などの表記は明確に行い、読者を誤認させない配慮が必要です。記事広告は、特に説明が必要なBtoB商材や新しいコンセプトの製品に適しており、媒体選定と質の高いコンテンツ作成が成功の鍵を握っています。
以下の記事やホワイトペーパーではBtoB企業向けの効果的な広告運用ポイントや手法を解説しています。あわせてご参考ください。

無料ホワイトペーパー「刈り取りではない!BtoBマーケティングで受注を獲る広告戦略 ~The Modelを活かした逆算思考とLTV/CACの考え方~」はこちら>>
まとめ
BtoBリスティング広告には、検索ボリュームの少なさやCPCの高さといった特有の課題があります。しかし、戦略的に設計・運用すれば、大きな成果を生み出すことが可能です。
成功の鍵は、まずターゲットとなるペルソナを明確に設定し、検討段階に応じたキーワードを選定することです。さらに、BtoBならではの価値訴求型コピーや、営業時間に合わせた配信スケジュールの最適化も効果的です。マイクロコンバージョンの設定や、広告とLP間のメッセージ一貫性も、CVRを高める重要な要素となります。
運用後は、CPA・ROASなどの指標を可視化し、営業現場からのフィードバックも取り入れながら継続的な改善を行いましょう。これらを徹底することで、質の高い見込み顧客の獲得と社内評価の向上を同時に実現できます。BtoBリスティング広告は、正しく運用すれば十分に投資価値のある施策になるでしょう。
LANYでもリスティング広告の運用代行を実施しており、お客様の商品やサービスの内容をもとに、集客・成果に貢献いたします。現役最前線で活躍する担当者が成果につながる広告戦略を提案しているので、広告運用に課題を感じる方はお気軽にお問い合わせください。