【戦略】検索クエリがない領域でSEOを展開する方法

過去に複数回、検索クエリがそもそも存在していない領域でのSEOにチャレンジする機会がありました。

SEOに詳しい方なら理解していただけると思いますが、検索クエリがない領域でのSEOは難易度が高くなります。そもそもSEOをやるべきなのか?という所から考える必要があるでしょう。

ただ、検索クエリがない領域だからといってSEOを諦めてしまうのはもったいなく、仮にその領域でSEOで成功させることができれば、領域シェアを総取りできる可能性を秘めています。

本記事では、検索クエリがない領域でのSEOの展開の仕方・戦い方を、これまでの経験や事例を踏まえて解説します。

この記事でわかること
  • 前提、SEOは既に存在する検索クエリを刈り取る施策
  • 検索クエリがない領域で、SEOを展開していくのか
  • 検索クエリにない領域でSEOをするときの考え方

「世の中にコンセプトが浸透していないプロダクト・サービス」「ニッチな領域で展開しているB2Bサービス」を運営したり、広めたりしたいと考えている方には、とくに参考になると思うのでぜひお読みください。

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目次

前提、SEOは既に存在する検索クエリを刈り取る施策である

SEOとは「人々が検索エンジンで何かを検索した際に、自社のコンテンツを提供することによって、サイトへの流入数を獲得し、その先の目的達成を目指す施策」です。

そもそも検索クエリが存在していなければ、需要刈り取る層)がないため、基本的にSEOは不可能です。

しかし、SEOは「検索」という主体的なユーザー行動だからこそ、ディスプレイ広告やSNS等と比べて、ユーザーが求めている意図が明確であり、CVRが高い特徴もあります。

SEOはユーザーが狙い撃ち可能=CVRが高い

SEOで流入を獲得できれば、顕在化しているユーザーを刈り取ることができるため、多くのコンバージョンを獲得できます。よって、可能な限り、SEO経由での流入数は獲得したいはずです。

しかし、領域によっては顕在化した検索クエリが全く存在しなかったり、もしくは非常に限られていたりすることがあるでしょう。

たとえば次の場合には、検索クエリが非常に限られてきます。

  • 世の中にコンセプトが浸透していないプロダクト・サービス
  • ニッチな領域で展開しているB2Bサービス

私も上記の2領域の両方のSEOを経験したことがありますが、キーワード調査をして狙っていくクエリに優先度をつけていくような通常のSEO対策のステップが利用できず苦戦した思い出があります。

ここからは、私自身の上記の経験も踏まえながら、検索クエリがない領域で、どうSEOを展開していくのかについての考えをご紹介いたします。

検索クエリがない領域で、どうSEOを展開していくのか

元も子もないですが、大前提として検索クエリがない領域でのSEOは非常に難易度が高いです。

そもそもSEOを実行すべきかどうかの判断は慎重に行うべきだと思います。

ただ、SEOは検索クエリ(需要)とコンテンツ(供給)をマッチングさせる施策になるため、狙い撃ちをして自社の求めるコンバージョンを獲得しやすい特性があるため、チャレンジする価値は大いにあるでしょう。

SEOの考え方

非常に難易度は高いですが、クエリがない場合には次の2パターンの考え方があります。

  • 既にある世の中に存在する概念(クエリ)に乗っかる
  • まだないクエリを世の中に生み出す

本記事では、潜在クエリからリード獲得をして、その後ナーチャリングしていくなどは一旦省き、自分たちが対策すべきビッグ・ミドルワードをどう作っていくかをメインに検討しています。

上記の2パターンのうち「まだないクエリを世の中に生み出す」のは、SEOというよりもサービスのコンセプトメイキングの領域になるでしょう。

本記事では「既にある世の中に存在する概念(クエリ)に乗っかる」の事例をご紹介いたします。

既にある世の中に存在する概念に乗っかった事例

自社の提供したいプロダクトやサービスのコンセプトが、市場に浸透していない場合には、検索クエリが生まれることはありません。

一つのやり方として、既に世の中に存在するクエリの概念を変えていくやり方があります。

事例としては、レンタルスペース事業を運営するスペースマーケットさんの例が参考になります。

スペースマーケットが「レンタルスペース」というキーワードに乗っかった事例

スペースマーケットは「ユニークなスペースをレンタルする」というサービスコンセプトを持つサービスです。

サービス開始当時は、そのコンセプトがターゲットユーザーにリーチしていないことがわかったそうです。

スペースマーケットサービスページ

当時は、世の中に「ユニークなスペースをレンタルする」という概念が存在しなかったため、潜在顧客がスペースマーケットを見つけるためのクエリがありませんでした。

その際に、スペースマーケットは、サービスを広める上で打ち出せるわかりやすい既存ワードがないかを探し、「レンタルスペース」というワードにたどり着いたそうです。

SEOおたく

サービスを見つけるためのクエリを新しく作るのではなく、既に存在しているワードから近しいものを選んだ形ですね。

しかしながら、サービスリリース開始当時の「レンタルスペース」というワードの世の中のイメージは、当時のGoogleの検索候補として挙がっていたような「倉庫」や「会議室」のイメージでした。

「レンタルスペース」に対する世の中的認知と、スペースマーケットが提供したい概念とは異なっていたのを、各種施策によってレンタルスペース自体のイメージや紐づく言葉を作り直しました。

スクロールできます
レンタルスペースに対するイメージ
2014年当時の世の中「倉庫」や「会議室」のイメージ
スペースマーケットが
提供したかった概念
「ユニークなスペースをレンタルする」というイメージ

これにより、サービスコンセプトの浸透が狙えると考えて施策を行っていったそうです。

具体的には、SNSやメディアでPRをする際に「レンタルスペース」というキーワードを意図して使うように社内統制をしたそうです。

下記は、「アメリカの野球場で株主総会をしよう」のようなイメージのスペースマーケットのPR施策です。

PR施策も掛け合わせて「レンタルスペース」という世の中の概念を変えていった
PR施策も掛け合わせて「レンタルスペース」という世の中の概念を変えていった

参考:スペースの価値観を変えるシェアビジネス マスメディアは戦略的に使う

「今まで使ったことのない珍しい場所を借りられるサービスなんだ!」ということを全面に出すPRを続けることによって、SEOへの成果を返しながら、利用ユーザー数はSEO対策をしてから10倍以上に伸びたそうです。

実際、スペースマーケットが2014年にサービスリリースをした後の2015年後半あたりから、レンタルスペースの検索数は右肩上がりで上がり続けています。

「レンタルスペース 」の検索数の推移(Googleトレンド)
「レンタルスペース 」の検索数の推移(Googleトレンド)

既存のクエリの概念をSEO以外の力も借りながら変えていき、最終的にはSEOでその領域のシェアを取り切るというのは戦略的に参考になります。

検索クエリにない領域でSEOをするときの考え方

実際、どのように考えて既にある世の中のクエリを見つけて、乗っかっていけば良いのかを経験や事例を踏まえて解説します。

クエリを考える際には、ターゲットユーザーの悩みを解決できると気づいてもらえるようなコンセプトを見つける必要があります。

どのクエリにするのかを考える際には「Will・Can・Must」のフレームワークが有効です。

  • Will:提供したいもの、実現したいこと
  • Can:実現可能性が高いこと
  • Must:社会から求められていること
コンセプトメイキングをする際のフレームワーク

Will(提供したいもの、実現したいこと)の部分でクエリを考えてしまうと、まだ世の中にコンセプトが浸透していないため、検索経由での流入が得られません。

逆に、Must(社会から求められていること)だけにフォーカスして探していても、自社サービスとのコンセプトマッチができないため、流入を獲得する意味がないでしょう。

要は、自社が提供したいもの、実現可能性が高いこと、社会から求められていることの3つが重なるポイントにあるクエリを見つけることが重要です。

そのためには、ターゲットユーザーが似ているプロダクト・サービスから考えたり、提供価値から考えたりするのが良いでしょう。

重なるポイントにあるクエリを見つけることが重要

ワードが見つかれば、サイトやPR施策、SNS施策で文言を使い続けていき、少しずつ世の中やターゲットユーザーにそのコンセプトを浸透させていきましょう。

抽象度が高く、少し難しい内容にはなるかと思いますが、ニッチなエリアで戦う方や、世の中にまだない価値を提供しようとしている方にとって少しでも参考になっていれば幸いです。

事例:スペースマーケットのWill・Can・Must

スペースマーケットの事例の場合には、下記のWill・Can・Mustがあったと想定されます。

  • Will:”ユニークな”スペースをレンタルできる世界を作ること
  • Can:世の中にある様々な空きスペースをレンタルできること
  • Must:会議室や倉庫などの空きスペースを時間貸しできること(≒ レンタルスペースの概念)

スペースマーケットのリリース当初は、世の中に「ユニークなスペースをレンタルする」概念は存在しなかったものの、「会議室や倉庫をレンタルすること」という世の中から求められているMustの需要がありました。

そのMustの概念に乗っかり、会議室や倉庫だけではなく、野球場などの”ユニークな”スペースもレンタルできるのだということを「レンタルスペース」という単語を使って世の中に浸透させていったのがスペースマーケットです。

スペースマーケットの事例は、すでに需要が顕在化しているMustの概念と、自社が提供できる(したい)Can・Willの概念が合わさったところにある単語を見つけることができれば、検索クエリがない領域でも一気にSEOでグロースできると証明した事例の一つといえるでしょう。

まとめ:クエリがない中でどうSEOを展開するかを検討できると成果が出せる

検索クエリが存在しない領域でSEOを展開していくための方法論をご紹介しました。

既に存在しているワードに乗っかって、その意味合いをSEO以外の施策も掛け合わせながら変えていったスペースマーケットの事例は、コンセプトが世の中に浸透していない中で戦う企業にとっては参考になるのではないでしょうか?

どのクエリにするのかを考える際には「Will・Can・Must」のフレームワークを使って、自社が実現したいことやできること、市場から求められていることから考えるのがおすすめです。

クエリがないからといって完全にSEOを諦め切るのではなく、クエリがない中でどうSEOを展開していくかを検討できるとより大きな成果が出せるでしょう。

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この記事の執筆者

竹内渓太のアバター
竹内渓太 SEOコンサルタント

株式会社LANYの代表。株式会社リクルートホールディングスにデジタルマーケティング職で新卒入社。3年間デジタルマーケティングに従事。その後、株式会社LANYを創業。大規模サイトのSEOが得意。

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