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動画広告の効果測定で活用する指標とは?目的別で重視すべき指標や確認方法を紹介
動画広告で成果が出ているかどうか確かめるには、効果測定が欠かせません。視聴回数や総再生時間など多数の指標を確認し、分析・改善していくことで、はじめて成果が得られます。
しかし、広告初心者の方の場合、どの指標を確認すればいいかわからないという方もいるでしょう。
本記事では、効果測定で活用する指標を目的別に紹介します。Google広告とYahoo!広告での指標の確認方法も把握できますので、ぜひ参考にしてください。
動画広告でよく活用される指標
動画広告でよく活用される指標として、以下の11個があります。
- 表示回数(インプレッション数)
- 視聴回数
- 平均広告視聴単価(CPV)
- 視聴率(視聴完了率)
- 動画再生時間の割合
- 総再生時間
- リーチ
- フリークエンシー
- エンゲージメント数
- エンゲージメント率
- ビュースルー コンバージョン(VTC)
それぞれ定義や計算式について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
参考:YouTube 広告と視聴に関する指標について
参考:動画を利用した広告のパフォーマンスデータを確認する
表示回数(インプレッション数)
表示回数(インプレッション数)は動画広告が表示された回数のことをいいます。
表示回数がカウントされる条件は「インストリーム広告」と「インフィード広告」で異なり、以下の表のようになります。
それぞれの広告の特徴も踏まえて条件を把握しましょう。
広告の種類 | 広告の特徴 | カウントされる条件 |
---|---|---|
インストリーム広告 | YouTubeのようにユーザーが視聴している動画の前後や途中に再生される広告 | インストリーム広告の再生が開始されたとき |
インフィード広告 | SNSやWebメディアなどのコンテンツの途中で表示される広告 | サムネイルが表示されたとき |
視聴回数
視聴回数はユーザーが動画広告を視聴したときにカウントされる指標です。
視聴の定義もインストリーム広告とインフィード広告で違うので見てみましょう。
広告の種類 | カウントの条件 |
---|---|
インストリーム広告 | ・30秒以上の動画広告の場合、30秒間視聴されたとき ・30秒以下の動画広告の場合、最初から最後まで視聴されたとき ・広告のインタラクティブ要素をクリックしたとき |
インフィード広告 | サムネイルをクリックして動画のページが読み込まれたとき |
インストリーム広告で1分の動画が20秒だけ再生された場合、表示回数は1回となりますが、視聴回数は30秒未満のためカウントされません。
また30秒以上の動画が20秒しか視聴されていない場合でも、インタラクティブ要素(例えばバナー)をクリックすると視聴回数がカウントされます。
視聴回数は表示回数と異なり、ユーザーが広告を意識して見ているかが重視されます。
ただし、YouTubeの広告でよく見られる一定時間スキップできない広告(バンパー広告)は、Google 広告では視聴回数にカウントされません。
平均広告視聴単価(CPV)
平均広告視聴単価は動画広告が1回視聴されたときに発生した費用の平均金額のことです。
広告費の支払い方法を視聴回数に応じて支払いが発生する「広告視聴単価制」にした場合や投資対効果を算出する指標に活用できます。
平均広告視聴単価は以下のような計算式で求められます。
平均広告視聴単価(円)=費用(円)÷視聴回数(回)
費用が10万円で視聴回数が1万回だったときの平均広告視聴単価を求めてみましょう。
10万円÷1万回=10円
結果、1回あたりの広告視聴単価は10円になることがわかりました。
インプレッション単価が表示回数で算出されるのに対し、平均広告視聴単価は視聴回数で計算されます。
参考:広告視聴単価制の概要
視聴率(視聴完了率)
視聴率は広告の表示回数に対する視聴回数の割合のことです。
以下の計算式で求められます。
視聴率(%)=視聴回数(回) ÷表示回数(回)×100
視聴回数が500回、表示回数が5,000回の場合の視聴率を求めてみましょう。
500回 ÷ 5,000回×100=10%
計算によって10%の人が広告を視聴していたことを把握できます。
視聴率が低い場合、訴求力の低い広告であると考えられるため、動画内容の改善が必要です。
視聴率は業界によって異なりますが、10%~15%が標準値です。
動画再生時間の割合
動画再生時間の割合では、以下の数値について把握できます。
- 動画再生時間の25%以上視聴した人の割合
- 動画再生時間の50%以上視聴した人の割合
- 動画再生時間の75%以上視聴した人の割合
- 動画を最後まで(100%)視聴した人の割合
計算式で表すと以下のように指標を求められます。
動画の〇%視聴したユーザーの割合(%)=動画の〇%まで見たユーザーの数(人)÷ 動画の再生が始まった回数(回)×100
*〇%には25%、50%、75%、100%のいずれか入ります。
たとえば、以下の条件における各割合の動画再生時間の割合を見てみましょう。
- 10人のユーザーが20秒の動画広告の視聴を開始
- 13秒で5人のユーザーが離脱(ブラウザを閉じる、または別の動画をクリック)
- 3人のユーザーが18秒で離脱
- 2人のユーザーが広告全体を視聴
この場合、それぞれの割合は以下のように計算できます。
- 動画再生時間の25%(5秒)以上視聴したユーザーの割合:100%
- 動画再生時間の50%(10秒)以上視聴したユーザーの割合:100%
- 動画再生時間の75%(15秒)以上視聴したユーザーの割合:50%
- 動画を100%(20秒)視聴したユーザーの割合:20%
再生率 | 離脱タイミング | 動画再生時間の割合 |
---|---|---|
25%(5秒) | 10人離脱なし | 100% |
50%(10秒) | 5人が13秒で離脱(65%) =5人は50%まで視聴 | 100% |
75%(15秒) | 3人が18秒で離脱(90%) =5人は50%まで視聴 | 50% |
100%(20秒) | 2人が完全視聴 | 20% |
動画再生時間の割合を知ることで、「何秒で離脱されやすいか」を把握できます。
総再生時間
総再生時間は、ユーザーが動画広告を再生した時間の合計時間を把握できる指標です。
総再生時間は動画が再生されてからスキップか停止されるまでの時間が計測されます。
総再生時間レポートを活用することで総再生時間の閲覧が可能です。
ただし、以下の動画広告のみでしか確認できませんので注意しましょう。
- インストリーム広告
- スキップ不可のインストリーム広告
- バンパー広告
リーチ
リーチは動画が表示されたユーザー数を表す指標です。
デバイスやネットワーク、ブラウザなどが異なる条件で動画広告が視聴されても同じユーザーが見たと判断された場合、リーチは1とカウントされます。
たとえば、一人のユーザーが以下の条件で広告を見たとしましょう。
- iPhoneでSafariとYouTubeアプリを使用
- PCでGoogle Chromeを使用
この場合、表示回数は3回になります。
しかし、全員同じユーザーが利用しているため、リーチは1とカウントされます。
フリークエンシー
フリークエンシーは「ユーザー1人に対して何回広告が表示されたか」を表します。
フリークエンシーが多いほどユーザーが広告を見る頻度が増えるため、認知されやすくなるでしょう。
ただし、広告に興味のないユーザーに対して高頻度に広告表示されると逆効果になることも考えられます。
この場合、フリークエンシーキャップという機能を活用することで、フリークエンシーの上限値を設定できます。
フリークエンシーキャップを設定することで、一人のユーザーに対して同じ広告が表示される回数を制限できるので、逆効果だと考える回数以上に表示されないようにすることが可能です。
エンゲージメント数
エンゲージメント数は広告が表示された後、ユーザーが広告に関連する何かしらのアクションを行ったときにカウントされる指標です。
広告によってエンゲージメントがカウントされる条件が異なり、以下の表のように設定されています。
広告の種類 | エンゲージメントがカウントされる条件 |
---|---|
10秒未満のインストリーム広告アプリ訴求動画広告 | 以下のどちらかの条件でカウントされます。 ・動画広告を最後まで視聴したとき ・広告がクリックされたとき |
10秒以上のインストリーム広告アプリ訴求動画広告 | 以下のどちらかの条件でカウントされます。 ・動画広告を10秒以上視聴したとき ・広告がクリックされたとき |
インフィード広告 | 以下のどちらかの条件でカウントされます。 ・ミュート状態の動画広告を10秒視聴したとき ・サムネイルをクリックし動画再生ぺージで動画全体を視聴した場合 |
スキップ不可のインストリーム広告バンパー広告 | 広告がクリックされたとき |
エンゲージメントを確認することで、動画広告の成果がわかります。
エンゲージメント率
エンゲージメント率は表示回数に対するエンゲージメント数の割合のことです。
計算式では以下のように表します。
エンゲージメント率(%) =エンゲージメント数(回)÷ 表示回数(回)×100
表示回数が1,000回、エンゲージメントが200回の場合以下のようにエンゲージメント率が計算されます。
200回÷ 1,000回×100=20%
エンゲージメント率が高いほど視聴者が興味を持つ広告を作成できていると判断できます。
ただし、エンゲージメント数は表示回数や視聴回数と比べるとカウントの条件が複数あるため、他の指標より正確でないことを注意しましょう。
ビュースルー コンバージョン(VTC)
ビュースルーコンバージョンは以下の条件でコンバージョンが発生したときにカウントされる指標です。
- ユーザーに広告が表示されたときは広告の視聴や広告のクリックがなかった
- 一定期間過ぎた後、広告(※)以外の別の方法でサイトにアクセスし、コンバージョンに至った
※ここでいう広告は動画広告と同じ広告アカウントから配信されている広告を指します。別の広告アカウントや別媒体の広告は広告以外と認識される可能性があります。
ビュースルーコンバージョンによって、間接的に広告の効果があったことを確認できます。
- 動画広告は、近年非常に注目を浴びています。動画を活用して、多くの情報やインパクトのある訴求ができるため、幅広く活用されています。ただし、広告を出稿して完了ではなく、運用データを分析して次に繋げることが成果向上には必要です。動画広告の効果を検証するための指標の意味や仕組みをしっかり理解していきましょう。
【目的別】動画広告で重視すべき指標
動画広告で重視すべき指標は「認知度向上・ブランディング」と「商品やサービスの購入検討・問い合わせ」の2つの目的によって異なります。
適切な広告運用ができるよう、以下を読んで自社で確認すべき指標を把握しましょう。
認知度向上・ブランディング
認知度向上・ブランディングの場合、以下のように広告の視聴に関連する指標を活用しましょう。
- 視聴回数
- 視聴率
- 平均広告視聴単価
- エンゲージメント数/単価
- リーチ
- フリークエンシー
- 指名検索数(商品やサービスなど固有名詞の検索ボリューム数)
- ブランド認知度(ユーザーが自社商材について認知しているかを表す指標)
自社商材を知ってもらうには多くのユーザーに広告を届けることが重要です。
視聴者数を把握するために、リーチや視聴回数は必ず確認しましょう。
何度も広告をユーザーに届けないと記憶に残りにくいため、フリークエンシー設定についても確認しましょう。
また、できるだけ費用を抑えながら広告を運用するために、平均広告視聴単価やエンゲージメント1回ごとの単価も見ておきましょう。
商品やサービスの購入検討・問い合わせ
商品やサービスの購入検討やお問い合わせが目的の場合、以下の指標を確認しましょう。
- 視聴率
- 動画再生時間
- エンゲージメントのうち広告がクリックされた割合
- コンバージョン
- ビュースルーコンバージョン
購買意欲の向上やお問い合わせへの行動促進のためには「動画がどれだけユーザーに影響を与えたか」が重要になります。
ユーザーの視聴時間や行動に関わる指標があまり良い数値でない場合は「何秒あたりで離脱されやすいのか」といった動画広告の課題を見つけましょう。
- 動画広告の効果を得ていくためには、目的(KPI)の設定をする必要があります。あらゆる広告のうち動画広告を通して得たいものを明確にしておくことで次の打ち手や改善点の洗い出しが容易になります。目的(KPI)の達成に際して、現状との乖離を各指標をもとに見出すことで動画自体の質を上げていくことも可能になります。
動画広告の指標を確認する方法
Google 広告とYahoo!広告における動画広告の指標の確認方法を紹介します。
Google 広告
Google 広告で動画広告の指標を確認する場合、広告を配信するYouTubeチャンネルとGoogle 広告アカウントのリンクが必要です。
ここでは、リンクする方法を解説してから確認方法を紹介します。
- YouTube Studio にログイン。「設定」→「チャンネル」をクリックしてください。
- 「詳細設定」→「アカウントをリンク」をクリックします。
- リンクの名前とGoogle 広告のIDを入力してください。「完了」→「保存」をクリックします。
- Google 広告アカウントでリンクを有効にすることで、YouTubeアカウントとのリンクが可能になります。
参考:サービス間のリンク設定: YouTube チャンネルと Google 広告アカウントをリンクする
続いて確認方法を紹介します。
- 左メニューの「動画」をクリックしてください。
- 動画の掲載結果の概要が表示されるため、各指標を確認できます。
- 「Analytics(ログ解析)」をクリックすることで、指標や成果の分析結果を閲覧できます。
Yahoo!広告
Yahoo!広告で動画広告の指標を確認したい場合、パフォーマンスレポートを作成する必要があるため、作成方法を紹介します。
- レポートの作成方法として広告管理ツールの「レポート」をクリックし「レポート・テンプレート作成」を押してください。
- 「プリセットを読み込む」という設定画面が表示されますが、今回は新規で作成するため「閉じる」ボタンを押します。
- 以下の項目を入力しましょう。
・テンプレート名
・データの集計期間
・レポートを出力するときのファイル形式
・レポートの作成スケジュール
・確認したい動画広告の指標 - 「レポートのプレビューを表示する」ボタンを押して問題なければダウンロードを押しましょう。CSV形式でダウンロードされ、各指標を確認できます。
- 「保存」をクリックすることで作成したパフォーマンスがテンプレートとして登録されます。
参考:リーチレポート【ディスプレイ広告】
参考:動画を利用した広告のパフォーマンスデータを確認する
動画広告の効果を改善する3つの方法
指標の確認方法を把握できても、広告の改善につなげられなければ効果測定の意味がありません。
動画広告で良い成果を出すために、以下の3つの改善方法を実施してみましょう。
- ターゲティングを見直す
- 動画の尺を短くする
- 動画の内容を見直す
方法1:ターゲティングを見直す
商材の購入検討や問い合わせ増加が目的であれば、自社商材に興味のあるユーザーにターゲットを絞り込みましょう。
関心の高いユーザー層に届けることで広告の視聴率やクリック数が増え、コンバージョンにつながりやすくなります。
ただし、絞りすぎると動画を見る人が少なくなるため注意が必要です。
方法2:動画の尺を短くする
視聴率や動画再生時間の割合が少ない場合、動画の時間が長いことが原因だと考えられます。
動画時間が長いとユーザーに飽きられやすいため、伝えたいメッセージを簡単に伝えられるよう工夫しましょう。
とくに動画広告は最初の5秒が重要です。
5秒でユーザーに興味を持たないとスキップするためです。
株式会社ネオマーケティングが実施した動画広告の調査によると、9割以上の人が動画をスキップすることがわかりました。
参考:20歳~69歳の男女1000人に聞いた「動画広告の接し方に関する調査」
できるだけ広告を最後まで見てもらうためにも、ユーザーに刺さる情報を最初に記載し、短く簡潔に訴求できる広告を作成しましょう。
方法3:動画の内容を見直す
動画の内容を見直して重視しているKPIが改善するように働きかけましょう。
動画や画像クリエイティブの改善は具体的には以下の方針で改善が見込めます。
- 動画にストーリー性を持たせる
- 動画で訴求するベネフィットを明確にする
動画広告にストーリー性を持たせることで最後まで視聴してくれる可能性が高くなります。
ストーリー性があることで視聴者が共感しやすくなり、自社商品・サービスに関心をもちやすくなるためです。
自社商材のターゲットに合わせてユーザーの悩みを解決できるサクセスストーリーのような動画を作成することで、ユーザーの購買意欲を高められるでしょう。
また、配信している動画クリエイティブが適切なベネフィットを訴求できているかも確認しましょう。
返品保証や効果はメリットで、ベネフィットではありません。
自社の商品を通してユーザーがどんな便益を得られるか?を明確にし、その便益をストーリー性と共に訴求できるようなクリエイティブを目指しましょう。
- 動画広告の効果は、クリエイティブが非常に大きく影響してきます。ターゲティングの見直しも必要ですが、そもそものクリエイティブの制作方針を見直すことも必要です。誰にどういう動画を見せるのか?を事前に定めて制作に取り組みましょう。動画制作では、アテンションのとり方や視聴継続率の伸ばし方などユーザーに飽きさせない工夫を凝らすことが重要です。
動画広告の効果を高めるために目的にあった指標を測定しよう
動画広告では、目的別で指標を確認することが大切です。
たとえば、認知度向上やブランディングが目的の場合、視聴回数やリーチなどユーザーが視聴したことがわかる指標を測定しましょう。商品やサービスの購入検討や問い合わせ増加が目的の場合は、コンバージョンや動画再生時間など、ユーザーの行動や視聴時間に関わる指標を確認することをおすすめします。
効果測定をして目標数値に達していなかった場合は、改善策を考案し、実行しましょう。ターゲティングの設定や動画の尺の短縮などさまざまな施策をためしてみてください。
なお、動画広告で成果を出すためのノウハウが不足していると感じている場合は、広告運用の代行会社に依頼するのもひとつの手です。
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