スタートアップのSEOの教科書|大企業SEOと渡り合う10の戦略

スタートアップのSEOの教科書|大企業SEOと渡り合う10の戦略
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急成長を目指すスタートアップにとって、マーケティング施策の中でもSEOが有効な手段になるケースは非常に多いです。

SEOは「無料集客」とも言われ、他の施策と比較して低コストでも実行できるのが魅力的です。さらに、ある程度の成果が出るところまでリソースを集中的に投下して施策をやり切ることができれば、それ以降はリソースをそこまで割かずとも、定常的に見込み顧客を集客し続けてくれます。

LANYは、年間100社以上の企業のSEOをご支援してきたSEOコンサルティングの会社です。大企業はもちろん、スタートアップのご支援も数多く行ってきました。

その経験を踏まえると、スタートアップのSEOは、大企業のSEOとはある程度考え方を変える必要があると捉えています。
本記事では、スタートアップのSEOで意識すべき10個のポイントをまとめてお伝えいたします。

なお、こちらの記事の内容をより詳細に解説した動画「【2024年最新版】スタートアップのSEOの教科書」もご用意しております。合わせてご視聴ください。

竹内渓太のアバター
執筆者

SEOコンサルタント

竹内渓太

株式会社LANYの代表。株式会社リクルートホールディングスにデジタルマーケティング職で新卒入社。3年間デジタルマーケティングに従事。その後、株式会社LANYを創業。大規模サイトのSEOが得意。

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目次

スタートアップのSEOで意識すべき10個のこと

スタートアップは、大企業と比べて資本力も人的リソースも少ないでしょう。

SEOは物量がものを言う世界でもあるため、大企業と同様の考え方で進めるのでは、太刀打ちすることは困難です。

また、SEOは中期的に取り組む施策として知られており、成果が出るまでに時間がかかる特性もあります。仮に進め方を間違えたり、途中で諦めたりしてしまえば、何の成果も得られませんでした、となるおそれもあります。

ぜひスタートアップならではのSEOを意識して、圧倒的な成果を出していきましょう。

※無料お役立ち資料:「BtoB企業がコンテンツマーケティングをやるべき理由」をダウンロードする>>こちらから

1.当たり前のSEOを、当たり前にやる

スタートアップであっても、当たり前のSEOは、当たり前にやり切りましょう。

SEOのベストプラクティスが世の中に浸透し、情報の非対称性がなくなってきた現代では、当たり前のSEOの水準は年々高まっています。

多くの企業が当たり前のSEOを、当たり前にやり切っているからこそ、やり切れていない企業は相対的にマイナス評価となってしまいます。

LANYでは下記のようにSEO評価要因を構造化したり、分析観点をまとめたりしておりますが、いずれのケースにおいても「やるべき」とされていることはある程度決まっています。

この当たり前のSEOをやれていなければ、どれだけ優れたコンテンツやUXを提供していたとしても、SEOで圧倒的な成果を出し切ることは難しくなります。

まずは、自サイトで「当たり前のSEO」がやり切れているのかを見直してみましょう。

SEOの全体像やベストプラクティスについては、下記の記事におまとめしておりますので、ぜひこちらも確認してみてください。

2.組織全体でSEOに取り組む

大企業は、マーケティング組織に何名もの優秀な人材がおり、SEO専属の担当者を複数名抱えている場合が多いかと思います。

それに対しスタートアップは、経営者がSEOを片手間で見ていたり、1人のマーケティング担当がいろいろな施策を同時に走らせており、SEOもそのうちの一つとして見ていたりする場合が多いでしょう。

そのような状態の中で、潤沢なリソースを保有する企業に対してSEOで勝っていく場合には、「組織全体でSEOに取り組む」姿勢が非常に重要です。

経営者も営業担当も、開発もCSも、全員がSEOを意識して日々のビジネス活動を進めていく必要があります。

下記のように、それぞれのメンバーがSEOを意識できていれば、日々の活動の中にSEOを強化するための機会が想像以上に落ちていることに気づくでしょう。

もちろん、ただでさえリソースの少ないスタートアップにとっては、組織全体でSEOに取り組むのはハードルが高いはずです。

だからこそ、次のような点を意識して欲しいです。

  • SEOの重要性を組織にインストールする
  • SEO担当者が誰よりもSEOの成長を信じて、最前線で取り組む

SEOの重要性を組織に理解してもらうなかで担当者の本気度も伝われば、各メンバーは徐々にSEOを意識して動くようになります。そうしたマインドがカルチャーとして浸透した組織になれば、全員でSEOに取り組んでいくことができるでしょう。

SEOを社内で浸透させる上で、下記の記事も参考になるかと思いますので、ぜひ目を通してみてください。

3.広報PRを本気でやる

スタートアップのような立ち上げたばかりの会社・サイトの場合、ドメインの力が低い場合が多いですが、SEOではドメインの力がある程度なければ、どれだけ良いコンテンツ・UXを提供していたとしても、上位表示は難しいでしょう。

ドメイン力を高めるためには被リンク獲得が必須ですが、スタートアップの被リンク獲得手法として最適なのが「広報PR」です。

広報PRとは、「あらゆる情報発信を通じて企業(または組織)とステークホルダーの望ましい関係を構築すること」と定義されます。

スタートアップは、資金調達や新規プロダクト・サービスのリリース、業務提携や社外取締役のジョインなど、メディアに取り上げてもらえる可能性のある活動が多くあります。

それらの活動をきちんと広報PRしていくことが重要です。

スタートアップの広報PRとして、下記のYOUTRUSTさんの事例が参考になるため、ぜひ合わせてお読みいただけるとよいかと思います。資金調達に際して全社一丸となって広報PRに取り組み、多くの権威性のあるメディア掲載(被リンク獲得)を達成しています。

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4.PLGを意識する

PLGとは、Product-Led Growthの略称で、「プロダクトでプロダクトを売ること」とされる考え方です。

繰り返しにはなりますが、スタートアップはリソースが潤沢ではないため、全社でSEOに取り組むのはもちろんのこと、プロダクトが勝手にSEOをする仕組みを構築することも重要になります。

SEOにおけるPLGとして最もわかりやすいのは、被リンク獲得戦略です。

PLGとしての被リンク獲得戦略は、下記のようなサイクルを構築します。

サイトの流入数が増えれば増えるほど、勝手に被リンクが増えていき、その結果としてさらにSEOが強化されサイトの流入数も増える……といった好循環のサイクルに入ることができれば、勝手にSEOが強くなり続ける仕組みとなります。

PLGによるSEOの良い事例として、症状検索エンジン「ユビー」があります。

ubieのサービスサイトTOP

質問に答えるだけで参考病名や受診先が調べられるユビーは、SEO担当者にとって参考になる被リンク獲得の仕組みを実現しています。

ユビーはYMYL領域で難易度の高いSEOで大きくコンディションを上げており、下記のようなクエリでも高い順位を獲得しています。

  • お腹痛い(87,000):1位
  • 子宮内膜症 症状チェック(33,000):1位
  • 左胸が痛い(33,000):1位
  • 背中の痛み(90,000):2位
  • 眠れない(60,000):3位
  • 足の甲が痛い(27,000):2位

※()内は月間検索ボリューム

ユビーはサービスが素晴らしいだけではなく、サービスグロースに合わせて被リンクが増える仕組みも設計されています。

ユビーのPLGに基づく被リンク獲得の流れは下記です。

  • 病院とユビー(医療機関向けのサービス)が提携する
  • 病院のサイトからユビーのリンクが貼られる(被リンク獲得)
  • 被リンクが増えてSEOが強くなり、さらに多くの企業がユビーと提携するようになる
Ubie(ユビー)の被リンク獲得戦略
ユビーの被リンク獲得戦略

ユビーは、ユビーAI問診という「患者さんが来院前にユビーを利用して問診ができる、医療機関向けの業務支援ツール」を提供しており、病院からの被リンクを多く集めることに成功しています。

詳しくは、下記のスライドをご確認ください。

病院との連携で病院から被リンクを獲得

病院の「外来受診の流れ」のページの中などから、ユビーAI問診へのリンクが貼られる形になっており、利用院数が増えるにつれて被リンクも増える仕組みとなっています。

医療機関との相性が良いプロダクトの活用が現場で浸透および拡大するに伴い、病院というE-A-Tの権化のようなドメインからの被リンクも自動で増える好循環を生み出したため、ユビーは難易度の高いYMYL系のクエリでも上位表示を獲得できているのでしょう。

PLGを意識したSEOについては、下記の記事にまとめているので、ぜひこちらも合わせて読んでみてください。

被リンク獲得コンサルティングサービス概要ページはこちら>>

5.勝てる&勝つべきキーワードを狙い撃つ

スタートアップが教科書的なマーケティング手法でSEOに取り組んでも、大企業に勝つことは不可能です。

LINEヤフー代表取締役会長である川邊健太郎による「ベンチャー企業は大企業を倒せるのか?」の名プレゼンで語られている通り、有限なリソースをどの領域に突っ込んでいくのか、が非常に重要になります。

プレゼンテーションの中で「局地戦であれば大企業とも十分に競い合える」と述べられていますが、SEOでもまさに同様のことが言えます。

出典:「ベンチャー企業は大企業を倒せるのか?」川邊健太郎 師範

手広くリソースを分配したとしても、大企業や老舗(ドメインエイジが長い)の企業には勝つことが難しいため、自分たちが勝てる&勝つべきキーワード(セグメント)で局地戦を仕掛けましょう。

具体例として、LANYでは、SEOのコンサルティングのお問い合わせを獲得するためのオウンドメディアのSEOとして、創業当初は下記のようなキーワードセグメントを狙いました。

検索ボリュームが少なく、大手が攻めにくい領域かつ、自分たちの特有の強みが活かせるセグメントを見つけ、そこに局地戦を仕掛けました。

その結果、特定セグメント経由での認知拡大や案件獲得に繋がり、事業成長に繋がりました。スタートアップは「勝てる&勝つべきキーワード(セグメント)」を狙うことを意識していきましょう。

6.E-E-A-Tを最強にする

E-E-A-Tとは、下記の4単語の頭文字を繋げたもので、情報の信頼性を測るためのGoogleの概念です。

  • Expertise:専門性
  • Experience:経験
  • Authoritativeness:権威性
  • Trust:信頼性

2018年頃から重要度が増してきた概念で、ドメインや運営元、記事であれば執筆者や監修者など、「誰がその情報を発信しているのか」が評価されるようになりました。

特にオウンドメディアなどの記事コンテンツを通したSEOに取り組む場合に、非常に重視される概念と言えます。

E-E-A-Tを高めるためには、記事コンテンツを作る際に「誰を巻き込んで作るか」が重要です。

完全にオペレーショナルなコンテンツ制作をしてしまうのではなく、コンテンツごとに「社内で一番E-E-A-Tの高い人」を巻き込んで作成するとよいでしょう。

その際に、各メンバーのSNSアカウントが育っていたり、メディア露出が進んでいたりすると、より高いE-E-A-TをGoogleに伝えられるため、日々の発信活動なども侮れません。

また、E-E-A-TをGoogleに適切に伝えるために、記事の執筆者情報をサイト上や構造化データ上にも表記するなども合わせて行いましょう。

詳しくは、下記の記事にておまとめしていますので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。

7.コンテンツを使い回す

SEOを通して多くのコンテンツが生み出されます。

LANYの見解としては、スタートアップは「質より量」が重要になると考えており、一つのコンテンツを作成したのであれば、いろいろな形に変換させて、多くのチャネルで配信していくのがよいと思っています。

LANYでは創業当初、コンサルタントが2名かつメイン業務はコンサルティングという状況で、1ヶ月に下記の量のコンテンツ制作を行なっていました。

  • オウンドメディアブログ:5記事
  • YouTube動画:5本
  • メルマガ:16本
  • ホワイトペーパー:3本
  • ウェビナー:3回
  • 事例コンテンツ:6記事
  • X:50投稿前後

上記が達成できた理由は、一つのコンテンツを作ったら、情報の形を変えて他のチャネルにも展開していくことを徹底していたからです。

コンテンツを変換していく際には、下記のような業務フローや体制を組んで行なっていました。

スタートアップは、人的リソースが非常に少ないですし、より良いプロダクトサービスを作るためになるべく多くのリソースを割くべきです。

その状況の中でSEOを強化していくためには、一つのコンテンツを多種多様なチャネルに配信しながら、直接的なトラフィックおよび間接的な各種効果(外部トラフィック流入の増大によるサイト評価の向上や指名検索や被リンクの増加によるドメイン力の強化など)を目指しましょう。

LANYのSEOコンサルティングの内容や事例をより詳しく知りたい方へ

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8.テクノロジーを存分に活用する

スタートアップの強みの一つに、意思決定のスピードや、組織としての柔軟性があります。

下記のように、大企業が新しいテクノロジーの導入に長時間かけて検討している間に、スタートアップは「えいや」で即座に活用できる可能性が高いです。

そして、存分にテクノロジーを利用して先発優位を取りに行くことで、SEOでもアドバンテージを作ることが可能です。

生成AIやモダンな開発フレームワーク、Googleが新しく発表する構造化データや機能など、目まぐるしく新しいテクノロジーは登場し続けます。

新しいテクノロジーが登場した瞬間に、自分たちのサイトで活用することはできないのか考え、なんらかの形で導入できるのであれば、先発者優位を獲得するためにも可能な限り早く利用してしまうことがおすすめです。

スタートアップは、スタートアップにしかできないスピード感や柔軟な対応によって、大企業を倒していくことを目指しましょう。

9.総合格闘技として取り組む

スタートアップでは専属のSEO担当者を配置するのはリソース的に難しく、全社的なマーケティング担当者がSEOも兼務したり、経営者自らSEOに取り組んだりすることも多いです。

その状況をネガティブに捉えているスタートアップは多いですが、現在のSEOは、SEO以外の施策がSEOの結果に与える影響が非常に大きくなっています。

具体的には下記の図のように、SEOで成果を出すために必要なスキルセットが過去と現在では大きく変わってきています。

SNSや広報PR、インターネット広告やCRMなど、幅広い知見を持っていなければ、思うような成果を出すことが難しい時代になってきています。

だからこそ、スタートアップでSEOを担当する方はSEO以外のスキルや経験も積極的に獲得しましょう。

数ある業務のうちの一つとしてSEOに取り組んでいることをチャンスとして捉え、総合格闘技的にSEOに取り組むこともおすすめです。

10.信じて、続ける

スタートアップのSEOが意識すべき最後の点は、「信じて、続ける」です。

SEOは中期的に取り組む施策で、成果が出るまでに時間がかかります。

また、インターネット広告と異なり、特定のタイミングまでは、一切の成果が出ていない状態も続きます。

SEOで成果を出せると信じて、本気で続けることができていなければ、取り組みから数ヶ月ほどのタイミングで諦めたくなる時期も訪れるでしょう。

しかし、SEOは主担当者が諦めてしまったらそこで試合終了です。

費用対効果を度外視して取り組み続ける必要はないですが、ある程度の時間と労力を投下しなければSEOで成果を出すことはできない、と腹を括って、諦めることなく、信じて取り組み続けましょう。

まとめ

スタートアップのSEOで意識すべき点を10個おまとめしました。

  1. 当たり前のSEOを、当たり前にやる
  2. 組織全体でSEOに取り組む
  3. 広報PRを本気でやる
  4. PLGを意識する
  5. 勝てる&勝つべきキーワードを狙い撃つ
  6. E-E-A-Tを最強にする
  7. コンテンツを使い回す
  8. テクノロジーを存分に活用する
  9. 総合格闘技として取り組む
  10. 信じて、続ける

結論、成果が出せると信じて、全社一丸となって総合格闘技的に取り組むことが重要です。

逆説的ではありますが、SEOを目的にしすぎず、サービスやプロダクトを磨き込んでいった結果としてSEOが伸びてくるのが理想です。

ぜひ、本記事でご紹介した内容も参考にしながら、スタートアップのSEOに全力で取り組んでみてください。

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