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BtoBの展示会とは?目的や役割、出展手順や運営のポイントを解説

BtoB企業が展示会を活用することで、多くのビジネスチャンスが生まれ、質の高い見込み顧客の獲得から商談、受注までをスムーズにつなげることができます。
しかし、単にブースを出すだけでは期待する成果は得られません。LANYでは、展示会を「来場者にとって価値ある時間を提供する場」と捉えています。戦略的な準備と運営や、熱意あるコミュニケーションこそが展示会出展を成功させる鍵です。
本記事では、BtoB向けの展示会の目的や役割から、出展・運営の手順やポイント、集客方法や展示会後のフォローアップまで、LANYが実践から得た学びや具体的な取り組みを交えながら解説します。
展示会への出展を検討しているBtoB企業の方は、ぜひ参考にしてください。
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BtoBの展示会とは?
BtoB領域における展示会とは、企業が他の法人企業に向けて、自社の製品やサービスを展示・紹介するためのイベントを指します。多くの企業が一堂に会し、最新技術やソリューションを披露する場です。
一般消費者を対象とするBtoC向けの展示会とは異なり、BtoB向けの展示会は特定の業界や分野に特化している場合が多いです。来場者も企業の担当者(購買担当者、技術者、経営層など)が中心となります。ターゲットとする企業や担当者と直接対話でき、参加企業にとっては商談や情報交換が得られる絶好の機会です。
BtoB向け展示会は効率的に見込み顧客を発掘できることから、自社の製品やサービスをアピールする場だけでなく、マーケティング活動の一環としても活用できます。
BtoB向け展示会の目的・役割
BtoB向け展示会の目的・役割としては、主に以下が挙げられます。
役割 | 内容 |
---|---|
新規顧客・リード獲得 | 自社の製品やサービスに関心を持つ可能性のある企業担当者と直接出会える。 |
新規販路・チャネル開拓 | 新たな代理店や販売パートナーを見つけ、事業拡大の足がかりを築ける。 |
ブランディング・認知度向上 | 業界内での自社の存在感を示し、技術力やブランドイメージを高められる。新製品発表の場としても有効。 |
市場調査・情報収集 | 競合他社の動向や最新技術、業界トレンドや顧客ニーズなどの情報を効率的に収集できる。 |
既存顧客との関係強化 | 普段なかなか会えない既存顧客と対話によって関係性を深められ、アップセルやクロスセルの機会を狙える。 |
業界内ネットワーク構築 | 同業者や関連企業、業界のキーパーソンとの人脈を形成し、将来的な協業や情報交換につなげられる。 |
たとえば、ソフトウェア企業が展示会に出展した場合、ブースでのデモンストレーションを通じて新規顧客を獲得すると同時に、業界セミナーに参加することで最新技術の動向も把握できます。さらに、既存顧客をブースに招待して新機能を紹介するといった活動も可能です。
このように、BtoBの展示会は企業のマーケティング・営業・情報収集活動を包括的に活用できる重要な場です。
BtoB向け展示会の出展手順
BtoB向け展示会への出展を成功させるためには、適切な手順を踏むことが大切です。各ステップを着実に実行することで、準備不足によるトラブルや機会損失を防ぎ、出展効果を最大限に引き出せます。
一般的なBtoBの展示会における出展までのステップは、以下のとおりです。
- 情報収集と比較検討
- 展示会の選定と申し込み
- 出展計画の策定
- 出展準備
- 展示会当日・展示会後のフォローアップ
1.情報収集と比較検討
自社の出展目的やターゲット顧客層に合致する展示会を探し、開催概要・過去の来場者データ・出展企業リストなどの情報を収集します。加えて、来場者層の傾向や競合の出展状況、出展位置、ブース形式、開催地との相性なども含めて多角的に比較検討することが重要です。複数の展示会を比較し、出展費用に対して得られるリード数やブース位置、来場者層とのマッチ度などを踏まえ、費用対効果が最も高そうな展示会を選ぶことがポイントです。
たとえば、自社の目的(ブランディング/商談獲得など)や予算に応じて、造作ブースの自由度が高い展示会を選ぶか、統一レイアウト型でコストを抑えるかの判断も必要でしょう。また、“展示会の立地×ブースの大きさ×来場者層×想定獲得リード数”と“出展費用”を掛け合わせ、最も費用対効果が高くなりそうな展示会を選ぶという視点も有効です。
2.展示会の選定と申し込み
出展する展示会の決定後、主催者のウェブサイトなどを通じて正式に申し込み手続きをおこないます。人気の展示会は早期に締め切られることもあるため、早めの行動が肝心です。
3.出展計画の策定
具体的なKPI(目標数値)やターゲット層、出展コンセプトや必要な予算など、計画の全体像を詳細に定めます。
4.出展準備
出展計画に基づき、以下の準備を進めます。
- ブースの設計や施工業者の選定
- 展示物やデモ機の手配
- 展示会限定プランの検討(特別ディスカウント/トライアルプランなどの設定)
- 配布用パンフレット・ノベルティの作成
- 展示会への事前来場・商談予約者に対するフォロー設計
- 展示会終了後、獲得リードのティアごとに最適化されたフォロー設計
- 同行社員の確定と社内周知(スケジュール調整や展示会前後の業務分担、必要に応じた出張申請・宿泊手配も検討)
- 招待客リストの作成・送付(自社で招待券を管理・発送する場合は早めに体制を決定。運営側が送付システムを担う場合も、社内で送付対象リストの整理・確認が必要)
- クリエイティブ関連のリソース整理と外注判断(予算確定後、以下について内製か外注かを判断)
- ブースの造作(企画・施工)
- パネルや看板などのグラフィックデザイン
- 配布物(パンフレットやフライヤー)制作
- ノベルティの企画・制作
- 当日の集客スタッフ(社員かコンパニオンか)の手配
さらに、ウェブサイトやメールを活用した事前集客活動、説明員となるスタッフの手配・教育も並行して進めましょう。
5.展示会当日・展示会後のフォローアップ
展示会の当日におこなうことは、以下のとおりです。
- 設営ブースで来場者への声かけ
- 製品・サービスのデモンストレーション
- 商談・アンケート・名刺交換による情報収集
また、展示会後は獲得した名刺やアンケート情報を整理し、速やかにフォローアップをおこないます。出展の成果を測定・分析し、次回の改善につなげましょう。
LANYでは、展示会当日の運営において、集客担当、接客担当(ディスカッション担当)、後方支援担当(名刺管理・オペレーション担当)の3つの役割を設け、各担当が業務に集中することを推奨しています。
来場者との対話では、一方的なヒアリングではなく、来場者の「ぼんやりとした悩み」を「はっきりとした課題」に昇華させるためのディスカッションを意識することが重要です。
また、リード情報の整理や顧客管理ツールへの入力、ランクごとの後追い施策の検討・ディレクションなどを担当する「遠隔の後方支援部隊」を配置することで、接客担当が来場者との対話に集中できる体制を構築しています。
BtoBの展示会に出展する際のポイント
本章では、BtoBの展示会に出展する際のポイントを、以下の重要な項目にわけて解説します。
- 出展計画のポイント
- 集客戦略のポイント
- 他社と差別化をはかるポイント
出展計画のポイント
計画が曖昧なまま出展準備を進めてしまうと、目的を見失ったり、準備が間に合わなかったりなど、様々な問題が発生しかねません。
しっかりと計画を立てることで、目標達成に向けた具体的なアクションが明確になり、関係者全員が同じ方向を向いて効率的に準備を進めることができます。出展計画をおこなう際は、以下の要素を盛り込みましょう。
計画要素 | ポイント |
---|---|
目的・目標(KPI)設定 | 「新規リード150件獲得」「有効商談数20件」「ブランド認知度〇%向上」など、具体的で測定可能な目標(KPI)を設定する。 |
ターゲット設定 | アプローチしたい企業の業種・規模や部署・役職などを明確にする。具体的な人物像(ペルソナ)を設定することで、より的確な戦略が立てやすくなる。 |
コンセプト・メッセージ策定 | ターゲットに何を伝え、どのような価値を提供したいのか、展示全体を貫くコンセプトと、もっとも伝えたいメッセージを決定する。 |
予算策定 | 出展料やブース施工費、装飾費・展示物輸送費、人件費・販促費・雑費など、必要な費用項目を洗い出し、現実的な予算を策定・配分する。 |
スケジュール策定 | 申し込みから展示会後のフォローアップ完了まで、各タスクの担当者と実行期限を明確にした詳細なマスタースケジュールを作成する。 |
体制構築 | 出展プロジェクト全体の責任者(リーダー)を決め、マーケティング・営業・技術など、関連部署からのメンバーを選出し、それぞれの役割分担を明確にする。 |
これらの要素を網羅した計画書を作成し、プロジェクトメンバー間で共有・合意形成を図ることも重要です。
LANYでは、KPIの設定において特にコンサルティングのような無形商材の場合、単に名刺獲得数を増やすだけでは意味がないと考えています。そのため、名刺獲得数は追いかけつつも、ブースでのディスカッションを通じて、見込み客の課題と自社ソリューションがマッチする数(課題の合意数)を追いかけることを重視しています。
課題が合意できた見込み客とは、その後の商談設定率や会話の進行がスムーズになる傾向があるためです。
集客戦略のポイント
BtoBの展示会で見込み獲得や商談創出を実現するためには、自社ブースにターゲットとなる来場者を呼び込む集客活動も不可欠です。ただブースを構えて待っているだけでは、来場者には立ち寄ってもらえません。
とくに、自社ブースの位置がメイン通路から離れている場合は、より積極的な集客戦略が必要です。展示会前から計画的に、かつ多角的なアプローチをおこなうことで活気あるブースとなり、成果へとつながります。
集客戦略のポイントは、以下のとおりです。
ポイント | 具体例 |
---|---|
展示会前の告知 | 出展の決定後できる限り早い段階から、自社のウェブサイトや公式ブログ、メールマガジンやSNSなどを通じて出展情報を発信する。展示会の名称・会期・会場名を明記し、「どんな展示か」「どんなメリットがあるか」などの見どころも伝える。 |
ターゲット顧客に直接アプローチ | 保有している既存顧客リストや見込み顧客リストの中から、今回の展示会のターゲットに合致する層を選び出し、個別に招待状を送付する。担当営業から直接の声かけも有効。「特別セミナーへの優先案内」や「限定ノベルティ引換券」などの特典を付けることも効果的。 |
主催者提供ツールの活用 | 展示会では、公式ウェブサイト上の出展者情報ページや、来場者向けメールマガジンでの告知枠、公式ガイドブックへの掲載などが用意されている。これらの主催者提供ツールを最大限に活用し、自社ブースの露出を高める。 |
広告出稿の検討 | ターゲット層がよく読む業界専門誌やウェブメディア、あるいは展示会自体の公式メディアなどに広告を出稿することも、認知度向上と集客に有効。 |
魅力的なコンテンツの用意 | 製品デモンストレーションのスケジュールや、専門家によるミニセミナー、限定ノベルティなどを事前に用意し、自社ブースへの来場につながる動機を作る。 |
これらの集客施策と出展計画を連動させながら、適切なタイミングで実行していくことが重要です。オンラインとオフラインを組み合わせ、ターゲットに響くメッセージを発信しましょう。
展示会の主な目的は新規顧客との出会いですが、LANYでは既存のハウスリスト(自社をすでに知っている層)に来訪してもらうことも効果的だと感じています。ハウスリストの中には、かしこまった商談ではなく、フランクにサービスについて話したいと考えている層が一定数いるため、展示会はそのような交流の場として活用することが可能です。
事前のアナウンスやオンラインでの呼び込みを通じて、ハウスリストとの関係性を深める機会としても重要視しています。
他社と差別化をはかるポイント
数多くの企業が参加するBtoBの展示会において、自社の存在感を際立たせることも大切です。多くの来場者の関心を引きつけられるように、他社との差別化をはかりましょう。
差別化をはかるためのアプローチには、たとえば以下が挙げられます。
ポイント | 具体例 |
---|---|
独自性のある展示 | 製品を単に展示台に並べるだけでなく、来場者が実際に製品に触れたり、操作できる「体験型」のデモンストレーションを取り入れる。顧客の課題解決に焦点を当てた導入事例の紹介や、専門家によるミニセミナーの開催なども効果的。 |
引き込まれるプレゼンテーション | 製品説明が一方的な説明にならないよう、来場者の課題や関心に寄り添えるストーリー仕立ての説明や、質疑応答時に簡単なクイズを交えるなど、引き込まれる要素を取り入れる。 |
記憶に残るノベルティ・配布資料の用意 | ボールペンやクリアファイルなどのありふれた物ではなく、ターゲット層の興味を引くユニークなノベルティを選定する。配布資料は、情報を詰め込みすぎず要点を分かりやすくまとめ、後で見返したくなるようなデザインにする。 |
スタッフ対応の質 | 製品に関する知識の豊富さはもちろん、来場者の状況を素早く察知し、適切なコミュニケーションが取れるような対応も重要。統一されたユニフォームを用意し、丁寧な言葉遣いを心がける。 |
デジタルツールの活用 | 大型ディスプレイやタブレット端末を効果的に活用し、視覚的な訴求力を高める。デジタルツールの導入も、来場者情報の収集・管理をスムーズにおこなえ、企業イメージの向上にもつながる。 |
これらの要素を、自社の強みやターゲット顧客のニーズと組み合わせながら、独自性の高いブースを構築しましょう。他社にはないオリジナリティが、BtoBの展示会を成功させる鍵になります。
LANYでは、物理的なノベルティはあえて用意せず、「ためになる話」を届けることを重視しています。来場者が最も求めているのは「学び」や「気づき」、つまり仕事に役立つ情報であると考えているからです。
来場者の悩みに対して自社の事例や知見をもとに価値ある情報を提供することが、中長期的に役立つ”お土産”と考え、信頼の起点を築くことを目指しています。
BtoB展示会の当日運営を成功させる方法
本章では、展示会の成功確率をさらに高めるための方法を解説します。具体的には以下のとおりです。
- 魅力的なブースデザインにする
- 運営マニュアルを作成する
- リソースを最適配置する
- アンケート調査で来場者のニーズを把握する
- 役割ごとの動き方を工夫する
魅力的なブースデザインにする
BtoB向け展示会の会場で、数えきれないほどのブースの中から自社に注目してもらい、来場者に足を止めてもらうためには、第一印象を決めるブースデザインが極めて重要です。
もしデザインが魅力的でなければ、どんなに良い製品やサービスを用意していても、気づかれずに通り過ぎられてしまうかもしれません。
出展ブースをデザインする際のポイントは、以下のとおりです。
ポイント | 具体例 |
---|---|
コンセプトの反映 | 出展計画で定めたターゲット顧客と伝えたいメッセージに基づき、ブース全体で表現したいコンセプトを明確化する。デザイン全ての要素が、コンセプトに沿っているかも確認する。 |
ターゲットに響く見せ方 | ターゲット層が抱えるであろう課題や興味関心に直接訴えかけるような、魅力的なキャッチコピーや印象的なビジュアルを配置する。 |
通路からの視認性 | ブースの前を通る来場者の視線を集める工夫が必要。社名ロゴや主要なメッセージは、遠くからでも視認できるサイズと位置に設置する。ブース全体の明るさや、入りやすい雰囲気も重要。 |
スムーズな動線設計 | 展示物の閲覧やデモの参加などを、来場者がストレスなく回遊できるレイアウト・動線設計を心がける。スタッフと会話しやすい自然な流れを作ることも重要。 |
ブランドイメージの統一 | ロゴ・フォントなどの企業カラーを、ブースの造作・パネル・配布物に至るまで一貫して取り入れ、ブース全体が統一された演出を心がける。 |
展示物の配置 | 注目してほしい主力製品や、デモンストレーションをおこなうスペースは、ブースの中でとくに目立つ一等地に配置する。展示物にも優先順位をつけ、レイアウトを考える。 |
ブースデザインは、単に見た目の美しさを追求するだけでなく、設定した出展目的を達成するための重要な戦略ツールです。デザイン会社や施工会社とも連携し、設定したコンセプトに基づいた訴求力・集客力の高いブースを目指しましょう。
運営マニュアルを作成する
展示会当日は、様々な状況が発生します。そのため、運営マニュアルをあらかじめ作成し、関係者全員に共有することは極めて重要です。
事前に役割分担や対応フロー、ルールなどを明確に定めたマニュアルを準備することで、誰が対応しても一貫性のある統制の取れたブース運営が可能になります。
運営マニュアルには、少なくとも以下の内容を盛り込みましょう。
項目 | 内容例 |
---|---|
基本情報 | 展示会名・会期・開閉時間・会場アクセス・自社ブース番号・小間図・主催者名・緊急連絡先リスト など |
当日のスケジュール | スタッフ集合時間・朝礼内容・各自のシフト・休憩時間・役割交代のタイミング・搬入出の作業手順・閉場後の片付け・情報整理手順 など |
スタッフ体制・役割分担 | ブース全体の責任者・呼び込みや受付担当・製品説明やデモの担当・名刺やアンケート管理の担当 など |
運営ルール | 推奨される服装・身だしなみ、ブース内での飲食ルール、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の方法、個人情報取り扱いルール など |
接客対応フロー | 来場者への声のかけ方・最初の挨拶・名刺交換のタイミングと方法・ヒアリング項目・製品説明のポイント・クロージング(次のアクションへの誘導)・お見送りまでの標準的な流れ・ターゲット顧客層別の対応方法 など |
想定問答集(FAQ) | 製品サービスに関するよくある質問・価格や納期に関する質問・競合比較に関する質問・答えられない質問を受けた際の対応方法 など |
情報記録・管理方法 | 名刺情報の入力ルール・ヒアリングシートやアンケート用紙の記入方法・使用するツール(名刺管理アプリ、CRM/SFAなど)の操作方法 など |
緊急時対応 | 展示物や機材の故障・ネットワークトラブル・スタッフの急な体調不良・来場者からのクレーム・事故発生時などの連絡体制と対応方法 など |
作成したマニュアルは、必ず事前に全スタッフに配布し、読み合わせや質疑応答の時間を設けることも大切です。状況に応じて内容を更新し、より実用的なマニュアルをつくりましょう。
リソースを最適配置する
展示会運営におけるリソース配分は重要です。LANYは、ざっくりまとめると、下記の3つの役割を設けて、担当者を配置しています。
- 集客担当(声掛け担当)
- 接客担当(ディスカッション担当)
- 後方支援(名刺管理をはじめとする各種オペレーション担当)
集客担当が見込み客と一歩踏み込んだディスカッションまでしてしまうと、新しい見込み客の集客が棄損してしまったり、来場体験としてもイマイチになるでしょう。
また、接客担当が名刺管理や後追いメールの執筆、込み入った情報入力までしていると、ブースから接客担当が枯渇してしまい、集客担当が本来であればパスができて接客担当によって課題の合意までいけたであろう機会を損失する可能性も生まれます。
特に「集客担当(声掛け担当)」は、普段の業務内容とはかけ離れている場合も多いため、誰をアサインするかが重要になります。
自社のブースの前を通りがかる方に向かって積極的に声かけすることができ、お客様に話を聞いてもらいたいと足を止めてもらう必要があります。
普段の業務では測りきれない素養が必要になる役割もあるため、社内からの推薦等も含めながら、適切な体制を決めていけると、思わぬエースが生まれたりするかもしれません。
アンケート調査で来場者のニーズを把握する
BtoBの展示会では、多くの来場者と名刺交換を行います。しかし、それだけでは相手が具体的にどのようなニーズを持っているか、自社製品にどの程度の関心があるかといった詳細までは把握しきれません。
アンケート調査は、名刺情報だけでは得られない情報を補完できる有効な手段です。たとえば、以下のような貴重な情報を得られます。
- 来場者の属性
- 現在抱えている課題
- 興味や関心の度合い
- 導入検討の状況
- 予算感
- 決裁権の有無
こうした情報は、展示会後のフォローアップする際に優先順位をつける判断材料にもなります。また、集計・分析した結果は、今後の製品開発やサービスの改善、マーケティング戦略の見直しなどにも役立ち、現場の生の声として非常に価値があります。
効果的なアンケート調査にするポイントは、以下のとおりです。
ポイント | 具体例 |
---|---|
目的の明確化 | 「何を知りたいのか」「得た情報を何に活用するのか」という目的を明確に定める。 |
設問形式の簡略化 | 目的に沿った具体的な設問を作成する。回答者の負担を減らせる「はい/いいえ」や選択肢から選ぶ形式を中心に構成し、自由記述は必要最低限に留める。設問数は多くても5〜7問程度、回答時間が1〜2分で済むボリュームに収めるのが理想的。 |
回答者への特典 | アンケートに協力してもらうためには、何らかの「お礼」を用意するのが効果的。たとえば、オリジナルのノベルティグッズの提供、詳細資料のダウンロードURLの提供、後日開催するセミナーへの優先招待など。 |
タイミングの工夫 | 製品説明やデモの後など、会話の流れから自然なタイミングでアンケートへの協力を得られるようにする。簡単に入力でき、データ入力の手間が省けるデジタルツール(タブレット端末など)がおすすめ。 |
個人情報の取り扱いを明示 | アンケートで得た情報の利用目的やプライバシーポリシーの取り扱いを、口頭および書面または画面上で明確に伝え、必ず本人の同意を得てから実施する。 |
アンケート調査によって獲得した見込み顧客の質を見極め、その後のマーケティング・営業活動を効果的に進められます。設問をあらかじめ設計するなど、来場者が快く協力できるように工夫しましょう。
役割ごとの動き方を工夫する
展示会当日は、多くの来場者対応や突発的な対応が求められます。限られた時間の中で最大限の成果を得るには、スタッフ一人ひとりが自分の役割に応じた動き方を意識することが重要です。以下では、集客・セールス・全体対応という3つの視点から、実践的な工夫のポイントを紹介します。
集客担当者のポイント
- 手持ち看板+声がけの併用で“瞬間的に伝える”
来場者は歩きながら情報収集しており、視線の高さや行動パターンも様々です。手持ち看板と声がけを併用することで、通行中の来場者に自社の特徴を短時間で伝えるきっかけをつくれます。 - ネックカードの役職表示を活用し、優先アプローチ
来場者のネックカードに役職や部署が記載されている場合は、ターゲットとなる担当者(例:マーケティング・経営企画など)を見極め、優先的に声をかけることで、効率よく有望なリードを獲得できます。
セールス担当者のポイント
自社の支援実績を事前に頭に入れておく
「同業種での実績は?」「グループ会社にも対応可能か?」といった質問は頻出します。主要な事例は口頭でもすぐに伝えられるよう準備しておきましょう。補足資料がある場合は即提示できるよう携帯しておくと効果的です。
全員に共有しておきたいポイント
ブース混雑時の“つなぎ”対応を想定しておく
商談担当者が対応中でも、他のスタッフが「場をつなぐ」ことができれば機会損失を防げます。簡易的な説明、パンフレットの案内、デモ待ちのご案内など、全員が一通り把握しておくことが大切です。
BtoB向け展示会後に実施すべきこと
BtoBの展示会は、閉幕した瞬間がゴールではありません。むしろ、そこからが本当の勝負の始まりともいえます。本章では、以下の展示会後に実施すべきことについて解説します。
- アンケート結果の活用
- 展示会の振り返り
- 費用対効果の評価
- フォローアップ活動
アンケート結果の活用
展示会来場者から得たアンケート結果は、その後のフォローアップやマーケティング戦略に活かすためにも、アンケートの活用は必須事項です。
展示会後のアンケート結果は、以下のように活用しましょう。
活用例 | ポイント |
---|---|
迅速なデータ集計・整理 | 記憶が新しいうちに、回収したアンケートを速やかにデータ化する。入力・集計後は、データの抜け漏れや誤りがないかも確認する。 |
回答結果の分析 | 単純な回答数の集計だけでなく、自由記述欄のコメントを読み解き、来場者からの意見・要望や背景課題などを深く理解する。 |
見込み顧客の分類 | 収集したアンケート情報と名刺情報を組み合わせ、見込み顧客をグループに分類する。グループ分けすることで、その後のアプローチが見えてくる。 |
フォローアップ | 作成したセグメントごとに、フォローアップの優先順位をつける。関心度や緊急度が高い見込み顧客には電話や個別訪問でのアプローチを優先するなど、状況に合わせた計画を立てる。 |
社内フィードバック | アンケートから得られた顧客ニーズや製品・サービスへの要望や改善点などは、マーケティング部門だけでなく関連する部署へ速やかにフィードバックし、組織全体の改善活動や意思決定に役立てる。 |
展示会の振り返り
BtoB向け展示会への出展は、継続的なマーケティング活動の一環として捉えるべきです。出展が終了したら必ず振り返りをおこない、今回の成果や今後の改善点を見出します。
結果を振り返ることで、次回の出展に向けた現実的で効果的な戦略立案や、適切なKPI設定をおこなうことができます。効果分析する際のステップは、以下のとおりです。
手順 | 具体例 |
---|---|
1.目標達成度の定量的評価 | 出展前に設定した具体的なKPIに対して、実際の結果がどうであったかを数値で正確に把握し、目標達成度を評価する。目標を達成できた要因、あるいは未達に終わった要因をデータに基づき客観的に振り返る。 |
2.定性的評価と要因分析 | 出展計画に基づいて実施した個々の施策について、成功要因・失敗要因や次回以降の課題を洗い出す。 |
3.各種データの分析 | KPIデータや施策評価に加え、アンケート調査の結果や獲得した見込み顧客の属性分析、展示会後の商談化率や受注率の推移、自社ウェブサイトへのアクセス数の変化などを複合的に分析し、多角的な視点で成果と課題を捉える。 |
4.フィードバック収集 | 来場者と接したブーススタッフからの意見や感想をヒアリングする機会を設け、現場のリアルな声を役立てる。 |
5.改善策の立案 | 特定された課題や失敗要因を深掘りし、表面的な問題だけでなく根本原因にアプローチできる改善策を検討・立案する。 |
6.次回に向けたKPI再設定 | 今回の分析結果と立案した改善策を踏まえ、次回の展示会出展に向けて、達成可能かつ事業目標に貢献するような具体的なKPIを再設定する。同時にKPI達成に向けた、具体的なアクションプランも策定。 |
展示会終了後は、なるべく記憶が鮮明なうちに関連メンバーで集まり、これらのプロセスに基づいた反省会やレビューミーティングを実施することがおすすめです。
成功体験はチームの自信となり、失敗体験は次への貴重な学びになります。こうした継続的な改善サイクルこそが、展示会への出展をより効果的なものにします。
費用対効果の評価
展示会の費用対効果(ROI)を評価することは、今後のマーケティング戦略や予算配分を決定する上で重要です。
費用対効果を明確にすることで、今回の出展の成否を評価できるだけでなく、次回の展示会予算の妥当性を検証したり、ほかのマーケティング施策と比較・検討もできます。費用対効果の基本的な考え方は、以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
総費用の算出 | 請求書や領収書を元に実績値を正確に集計し、展示会の出展にかかった総費用を算出する。 |
成果の換算 | 出展によって得られた成果を、できるだけ金額ベースで評価する。ブランド認知度向上などは直接的な金額換算が難しい場合もあるが、アンケート結果などを参考に代替指標で評価することも可能。 |
ROIの計算 | ROIの計算式は「(展示会による成果額 – 展示会総費用) ÷ 展示会総費用 × 100 (%)」。この値がプラスであれば、投資額を上回るリターンがあったと評価できる。 |
関連指標の算出・比較 | ROIだけでなく他の指標も算出すると、より多角的な評価が可能。たとえば、「リード獲得単価(CPL = 総費用 ÷ リード獲得数)」や「商談獲得単価(CPA = 総費用 ÷ 商談獲得数)」を算出し、他のマーケティング施策における同様の指標と比較することで、展示会出展の効率性を相対的に評価できる。 |
展示会終了後は、経理部門とも連携しながら、算出した総費用や分析成果を突き合わせ、客観的に効果を評価することが重要です。
また、展示会で獲得したリードを受注に繋げるには、かなりの時間がかかる傾向があります。そのため、展示会直後に一度だけ費用対効果を評価するのではなく、その後も定期的に展示会経由の商談状況や受注額などの数字を追うことが重要です。
フォローアップによる集客
BtoBの展示会は一度出展したら終わりではなく、そこから得たつながりを大切に育んでいくことが重要です。次回の展示会や自社で開催するセミナーなど、未来のイベントへの集客基盤となります。
フォローアップを通じて満足度が高まった顧客は、単にリピーターになってくれるだけではありません。時には社内外で良い口コミを広めてくれたり、新たな顧客を紹介してもらえたりといった副次的な集客効果も期待できます。
フォローアップ活動の具体的な方法には、以下のようなものが考えられます。
項目 | 内容 |
---|---|
来場者リストの活用 | 展示会で獲得した名刺情報やアンケート回答者のリストに対して、定期的なメールマガジンの配信や、業界トレンドに関するレポートを送付し、関係性を維持する。次回の展示会出展が決まった際には、ほかのリストに先駆けて優先的に招待状を送付するなど、特別な案内をおこなう。 |
リードナーチャリングによる関係強化 | 展示会で獲得したリードを、アンケート結果やその後のWeb行動などに基づいてセグメント化し、関心度やニーズに合わせたコンテンツを継続的に提供する。これにより、徐々に関係性を深めながら、次のアクションへと自然に誘導できる。 |
既存顧客への特別なアプローチ | 日頃から取引のある重要な既存顧客に対しては、担当営業から個別に連絡を入れたり、新製品の先行情報を提供、ブースでの特別なデモンストレーション案内など、ロイヤリティが高まる配慮をおこなう。 |
BtoBのビジネスは、短期的な成果だけでなく、長期的な顧客との関係構築が成功の鍵となります。
展示会後のフォローアップ活動を、単なる営業プロセスの一部として捉えるだけでなく、未来のビジネスチャンスを広げる重要なマーケティング活動であると位置づけましょう。
まとめ
BtoBの展示会は、企業間のビジネスチャンスを生み出す重要なマーケティング施策です。成功させるためには、明確な目標設定やターゲットの特定、魅力的なブースデザインなど事前準備が鍵になります。
LANYは、展示会において単なる名刺獲得だけではなく、来場者との「課題の合意」を重視します。「ためになる話」をブースでの対話の中心に据え、提供することで、質の高いリード獲得と深い関係構築を目指すことが、特に無形商材を扱う企業にとっては有効です。
くわえて、展示会後のフォローアップも重要です。アンケート結果から顧客のニーズを分析し、次回の展示会に向けた改善策を見出しましょう。LANYでは、現地スタッフの負担を軽減し、質の高いコミュニケーションに集中できるよう、遠隔の後方支援部隊による迅速かつ適切なフォローアップ体制も成功のポイントと考えています。
適切な戦略と実行により、BtoBの展示会が自社をアピールできる場になるだけでなく、ビジネスの成長を継続的に加速させるプラットフォームになりえるのです。
LANYは、展示会経験は浅くとも、PDCAを回し独自の学びを得てきました。具体的なノウハウや、展示会出展を成果につなげるための戦略的なアプローチについてさらに知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。